第51期王位戦七番勝負第1局
昼食休憩
11時半頃の控え室
【54手目~59手目】チャット解説・佐藤慎一四段の見解
▲3三角成といきましたね。対して△同銀でした。形が乱れるのでやりづらいと思っていましたが。▲7六歩と継続して手を繋いでいくでしょう。以下△同飛▲6五飛△7九飛成▲6三飛成が一番自然な進行です。▲6三飛成まで進んだ局面は、通常一段目に飛車を成り込んだ後手に分があるのですが、本局では▲5四歩と連動して次の▲5三歩成があるので先手の三段竜もなかなか迫力あります。後手が変化に出るとすれば▲6五飛の局面ですね。
(△3三同銀以下、▲7六歩△同飛▲6五飛に)△7九飛成といきましたね。ここまで封じ手から予想される手順としては一番激しい手順です。▲6三飛成にはとりあえず一回△6二歩と打って竜を追います。以下▲8三竜に△8二歩(参考1図)が継続の好手です。
▲同竜なら△6四角で竜取り+△3九竜の狙いで後手勝勢です。進んでみればなるほどという感じです。後手は角を△7五、△6四に使うための54手目△3三同銀だったのですね。
▲6三飛成、△6二歩のときに▲5三歩成は△6四歩▲4二と△同金上で先手不利です。
▲6三飛成、△6二歩の局面で竜が引き揚げるようでは先手不利ですから、ここで一回▲4四歩と突くのが一目筋です。▲4四歩に△同歩ならそこで▲6三飛成として、以下△6二歩に▲4三銀(参考2図)と放り込んでいきます。これは食いつけそうです。なので▲4四歩には△同銀でしょうか。そこで先手は▲4六桂と打っておいてあとの▲3四桂を狙う。これは▲4九歩の底歩も用意していてありそうです。
▲4四歩以外の攻めの筋としては▲3五歩(参考3図)という手もあります。△同歩なら▲2五桂や▲3四歩、▲4四歩いずれの攻めでも攻めが繋がります。なので後手は▲3五歩には手抜きで△8七角か△8九竜のような感じだと思います。
▲5三銀・・・とりあえず感触は良くない。相穴熊特有の攻めなのでしょうか。ここら辺の感覚が優れているのが広瀬六段の「振り穴王子」の所以なのですが。深浦王位はここで長考すると思います。後手は手の広い局面です。一番自然な指し手は△8九竜として次に△1五桂を狙う。但し先手も▲6九歩の底歩を用意してるので簡単にはやられません。△3一角と逃げると▲4四歩、△同歩として▲6三飛成ですかね。後手としては角がお荷物になる展開だけは避けたいので、△3一角とは逃げないで別の手を探したいところです。▲5三銀は広瀬六段の才能の片鱗が見える一手です。後手が優勢になる順がなかなかみつかりません。やはり並みの感覚ではないですね。
(佐藤慎一四段のチャット解説より)