2024年5月

2024年5月30日 (木)

千駄ヶ谷には東京の拠点となる将棋会館があります。1961年、かつて徳川家の馬場として使われていたと伝わる土地に、木造2階建ての将棋会館が建てられました。同じ土地に現在の将棋会館が建設されたのが1976年のこと。入り口には会館建設に貢献した大山康晴十五世名人のレリーフが飾られています。対局室や事務室だけでなく道場や売店があり、棋士だけでなく将棋ファンにも親しまれてきました。老朽化に伴い、2024年に移転が予定されています。

1階のオフィシャルショップをのぞくと、藤井聡太王位と斎藤八段の揮毫扇子やグッズが置いてありました。

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じっくりした流れになるかと思われましたが、渡辺九段の大駒を使った動きに斎藤八段が堂々と受けて、盤上に緊張が走っています。図は▲5五角(41手目)の揺さぶりに△6三金(42手目)と受けたところですが、▲8三飛成△同飛▲7二銀という決戦策があります。以下△5四金▲8三銀成△5五金と角を取られますが、▲6一飛が期待の飛車打ち。先手陣が飛車打ちに強いことが頼もしい要素です。

実戦は決戦を見送って▲3七桂でした。大きな分岐点だっただけに、両対局者がどのように考えていたのか気になるところです。

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互いに穏やかな方針を選んで駒組みに入りました。先手は歩得と9筋の位、後手は銀冠の堅さがそれぞれ主張になりそうです。渡辺九段が指した▲7五歩(37手目)は相手の方針を見ての牽制です。飛車の横利きを通して▲8六飛のぶつけが切り札。後手は△4三金右~△3一玉と守りを固めると隙も増えるため、飛車交換に弱くなることが狙い目です。3筋と7筋で位を取ってバランス重視の先手陣と、堅さ志向の後手陣という興味深い構図になっています。

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12時、渡辺九段が9分使って昼食休憩に入りました。消費時間は▲渡辺九段44分、△斎藤八段1時間1分。昼食の注文は渡辺九段がB定食「鶏肉と厚揚げの塩胡麻炒め」ご飯少なめ(紫金飯店)、斎藤八段が五目焼きそば(紫金飯店)でした。対局は12時40分に再開されます。

本局に使われている駒は久徳作、清安書の盛上駒です。

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戦型は相掛かり。斎藤八段の△5二金(20手目)が形を決めて趣向の駒組みといえます。渡辺九段は▲9五歩(21手目)と端の位を取りました。長期戦になれば確実な主張になりますが、激しい流れになると端にかけた2手が緩手になる恐れもあります。斎藤八段が序盤から長考に沈みました。近年は事前研究を入念に行って序盤は早く進むケースも多く見られますが、本局はスローペースになっています。