2022年7月

2022年7月21日 (木)

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図は藤井王位が8七に歩を垂らしたところ。この手は詰めろではありませんが、後手に角金銀のいずれかが渡ると先手玉は詰めろになります。したがって、ここで▲2八飛と寄って△2三歩▲同歩成△同金に▲3一馬から馬を捨てて詰めろを掛ける筋や、▲2三金と打ち、△同歩▲同歩成△同銀に▲2五歩と詰めろを掛ける筋はいずれも先手は詰まされてしまいます。控室では当初、この△8七歩の意図を計り知れないところがありましたが、検討を進めるにつれ「さすがですね。これはもう読みきっている感じの印象です」との声が上がりました。豊島九段はこの局面で30分考えており、残りは6分となりました。

Img_7382(16時頃の天神泉源。午後から降り出した雨は上がっていた)

Img_7384(この泉源から金泉が湧き出している)

202207206716時53分、豊島九段は歩頭に桂を打っていきました。船江六段は驚きの様子で「へー、こういう手がありましたか。これは検討していませんでした。先手を持って少し攻め駒が足りない感じがしていたところで、豊島九段としては尋常な手では追いつかないと見て勝負にいった印象です。この▲2四桂自体は終盤の手筋として頻出しますが、本局の場合は飛車が2筋にいないため、取られたあとに攻めが続くか微妙なところがあります。ただ、豊島九段はほかの変化と比べて、この▲2四桂が最も勝機があると先ほどの3時間を超える長考で判断して勝負を懸けたのだと思います。ここから△2四同歩▲同歩までは進みそうですが、藤井王位としては桂を取るしかないところなら、ここで指さずに先々を考えるかもしれませんね」と解説しました。

Photo_5(藤井王位は歩頭桂をどう見ているか)

202207205914時53分、豊島九段は昼食休憩を挟む3時間3分の大長考で▲5三角成と角を成りました。豊島九段の残り時間は36分で、2時間56分残す藤井王位とは2時間20分の差が開きました。
藤井王位はここで20分以上考えています。船江六段は「恐らく藤井王位からしても本命の一手で、読みの蓄積はかなりあるはずです。ただ、時間を残していますから、ここは考えるかもしれないですね」と推察しました。

Photo_4(3時間を超す大長考を見せた豊島九段。長考を結果に結びつけられるか)

15時に2日目午後のおやつが運ばれました。藤井王位が「アイスストレートティー」と「パインジュース」、豊島九段が「白玉冷やしぜんざい」と「オレンジジュース(氷なし)」。ドリンク類は対局室に、そのほかは対局者用控室にそれぞれ運ばれています。

Img_7359 (藤井王位が注文した「アイスストレートティー」と「パインジュース」)

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20220721025701 (豊島九段が注文した「白玉冷やしぜんざい」と「オレンジジュース(氷なし)」)

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2022072058_414時20分、図の局面での豊島九段の大長考が続いています。次の手の考慮時間はまもなく2時間30分で、残り時間も1時間に迫っています。昼食休憩を合わせると3時間30分が経過しており、1手前の▲6三歩成に34分使ったことなどを踏まえると、図の△2二玉を軽視や予想外、あるいは読み抜けに気づいたなどを思わせられるところですが、対局再開時に対局室に入った船江六段によれば「むしろ、そのときの豊島九段は、自信があるように見えました。実際には現局面はどう指しても後手に攻められる順が考えられ、やや先手が厳しそうではあるのですが」との印象と見解が述べられています。

Img_7356(14時10分頃、控室のモニターに映る両対局者)

有馬温泉駅は終着駅で、中の坊瑞苑から歩いて5分ほどのところにあります。

Img_6279(中の坊瑞苑から下り、太閤橋を右に見てさらに下ると、右手にオレンジのポストがある。そこをさらに直進)

Img_6306(中の坊瑞苑からは5分ほどで着いた)

Img_6287(有馬口行きの電車が止まっていた)

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Img_6294(駅に隣接する売店では、金泉の温泉で知られる有馬温泉らしく、きんせん堂という名の店が営まれていた)

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