2021年8月26日 (木)

一夜明けて

対局から一夜明けて、再び記者会見が行われました。

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Img_3858(防衛から一夜明けての思いを話す藤井王位)

■藤井王位の会見■

――ほかのタイトル戦など重要対局が続く忙しい夏でした。2021年の夏はどのようなものでしたか。
 対局が多かったですが、去年の経験を生かして状態を維持して指すことができたと思っています。防衛戦は初めての経験で、成長できたと感じています。これからも叡王戦や竜王戦がありますので、引き続き、気を引き締めてやっていきたいと思っています。

――課題点として挙げられている序盤を、どのように修正していくのかを教えて下さい。
 今回のシリーズでは序盤の細かな形の違いをうまく把握できていない部分があったと思うので、すぐに改善するというのは難しいですが、序盤の様々な形の認識力を高めていく必要があると感じています。戦型選択も含めて、どのような展開になってもしっかり対応する力をつける必要があると感じました。

――初防衛から一夜明けての感想は。
 防衛という結果を出すことができてホッとした気持ちがありますが、今後も重要な対局が続きますので、番勝負の経験を次につなげていくということを考えなくてはいけないと思っています。

――家族や師匠に防衛の連絡はされましたか。
 家族と師匠には電話で話をしました。「おめでとう」といっていただけましたが、結果については普段から話をしませんので、今回の結果とは関係のない話が多かったです。

――豊島竜王に対しての印象の変化は。
 タイトル戦の番勝負で初めて対戦することで、作戦面の精度の高さを感じました。うまく勝ちに結びつけられる対局も多かったので、その辺りも含めて叡王戦第5局を戦いたいと思っています。

――徳島のファンに向けて。
 初めての徳島対局で、対局場の渭水苑様はとても素晴らしいところで、気持ちよく対局ができました。また来年を楽しみにしていますし、徳島の将棋ファンの方に熱戦を見ていただけるよう、頑張りたいです。

――タイトなスケジュールが続いています。体調管理については。
 対局が続いていますが、去年のほうが今年よりも過密だったように思うので、いい状態でこれまでできているのかなと思います。対局の合間にしっかり休むように心がけています。

――今後の抱負について。
 まずは叡王戦と竜王戦で、充実した内容にできるようにと思います。序盤の指し方が課題として残っていると思いましたので、今回の番勝負の経験を踏まえて改善できるよう取り組んでいけたらと思います。

――豊島竜王の△8四飛について思ったこと。
 △8四飛に代えて△6六銀を本線で読んでいました。△8四飛は意外でしたが、流れを断ち切っても最善を追求するという姿勢が、豊島竜王の強さのひとつだなと思いますし、自分も見習わなければいけない部分だと思います。

――第1局の敗戦は、このシリーズでどのように生かされたのか。
 第1局は豊島竜王にうまく指されて完敗でした。序盤で甘い手を指すと、一気に持っていかれてしまうと感じたのでそういったことがないように、序盤から慎重に指そうと思っていました。

――▲7四歩の局面で2時間を超える長考を見せました。この長考に込められた思いは。
 難しい局面で、指し手によっては激しくなる可能性があると思っていました。▲7四歩というのはいちばん自然な手ではありますが、激しい変化になったときにバランスが取れているのか際どいと感じたので、時間をかけてでも考えなければならないと思っていました。

――タイトルホルダーとして将棋を指す思いについて。
 今シリーズ、大変な状況で素晴らしい環境を整えてくださった関係者の方に非常に感謝しています。対局者として盤上で全力を尽くすことしかないと思っていたので、しっかり集中して熱戦にできればいいなと思って指していました。