2013年5月

2013年5月29日 (水)

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(広瀬七段)

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(広瀬七段が永瀬案を「改良」して▲3八銀~▲3七銀という活用を考えている)

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(広瀬七段と盤を挟んでいるのは中村太六段)

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Kifu_43行方八段は▲5七金上(図)で上部に厚く備えた。この手は鈴木八段が「裾空きになるのでマイナスになる可能性もあるんです」と話していた。先手は歩の下から金銀を押し上げる形。一方後手陣は金と角が歩の上に乗っている。この形の差がどう戦いに影響をおよぼすだろうか。
17時過ぎ、持ち時間は互いに約1時間。現状は中盤だが、いつ戦いが起こるのだろうか。鈴木八段に聞いてみると、次のように答えが返ってきた。
「お互いに薄いので、終盤になれば大差になりやすい展開だと思います。いい勝負にはなりにくいでしょうね。いつ戦いになってどう進むかはなんともいえないのですが」
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(17時3分ごろの対局室カメラより。行方八段が▲5七金上を着手する)

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(こちらは控室の継ぎ盤。実戦は上図から△4四銀と進み、それに対し▲4六金が検討された。永瀬五段はさらに▲6八銀~▲5七銀と4筋に援軍を送る順を提案。金銀が玉からどんどん遠ざかっていく)

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Kifu_41図は16時30分ごろの局面。控室では「先手持ち」で一貫していた意見が変わってきた。後手を持ちたい、という声が高まりつつあるのだ。野月七段に話を聞いてみた。
「先手は2七銀、5八金の2枚が動けないのでちょっと気になりますね。まとめ方が難しくなっていると感じます。逆に後手は駒の位置がよくなっています。特に△5四角~△4二飛は大きな手です。先手の▲6七金は7筋に備えた手ですが、それほど気にしなくても、攻めさせて反撃する順で十分だったのではないでしょうか」
森下九段も「金角はいい手でしたね」と話し、△6四金で5四にスペースを作ってから△5四角と活用した順に感心していた。
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(検討する野月七段=左と、検討の様子を見守る井道千尋女流初段)

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Kifu_40佐藤九段が△4二飛(図)と寄って成り込みを見せた。この手を見て行方八段が時間を使っている。控室ではどう受けるのかが話題に。予想手は▲5八金。金が逆に上がるので不思議な感もあるが、▲5七金では▲6七金の1手が損になってしまうのだ。「▲5七金は指せないだろうね。指すとしたら頭に手をやりながら指すでしょうね」と鈴木八段。
「金は寄れないよ。だって人間だもの」
前に指した手を生かして局面を組み立てていくのが人間の考え方。一方、コンピュータはその局面ごとに最善手を考えるので、結論が▲5七金なら手損だろうが躊躇なく(そういった概念もない)指す。ただしその善悪はまた別の次元の話だ。
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16時ごろ、控室に鈴木大介八段、広瀬章人七段、中村太地六段、永瀬拓矢五段が来訪。継ぎ盤がにぎやかになってきた。

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(左から鈴木八段、永瀬五段、中村太六段)

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(広瀬七段。第51期王位だ)

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Kifu_36佐藤九段は△3二角から△6四金(図)と先手の玉頭に狙いを定めた。次に△7五歩▲同歩△同金と進めば7筋の勢力は後手がまさっている。あらかじめ受けるなら▲6七金だが、これには△5四角~△4二飛が「気になる筋」と野月七段。
そこで先手は図から▲7八金△7五歩▲同歩△同金▲6七金右とどっしり構える順が有力と見られている。たとえ玉頭にキズがついても、金銀の枚数、すなわち厚みが違いすぎるから先手が指せるという大局観だ。
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(文)