2012年8月

2012年8月22日 (水)

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図の▲1六角が羽生の新手。前例は2局あり▲松尾歩七段-△藤井九段戦(2007年6月棋王戦本戦・先手勝ち)は▲3五歩△4六飛▲2四飛。▲屋敷伸之九段-△室岡克彦七段戦(2009年10月王位戦予選・後手勝ち)は▲3三銀不成△同銀▲3八飛の進行だった。

■Twitter解説■
飯塚祐紀>▲1六角でしたね。これはちょっと考えましたが、△2五歩でダメではないかと思いました。ただもう一歩掘り下げますと▲3五歩△4六飛▲2四歩(変化1図)のような手があります。この時に1六角が△4九飛成を消しています。しかしそこで△5六飛として、△5五角を見せれば難しそうです。
△2五歩に▲3八飛もあります。次に▲2四歩と▲3三銀不成の狙いです。そこで後手に2通りの手段があります。△4六飛▲3三銀不成△3七歩がひとつ。△4九角▲3三銀不成△4六飛がもうひとつ。どちらも先手大変そうです。
角を打ったということは、先手は後手のさばきを一回おさえてゆるゆると、たとえば歩の数の多さを主張していく考えでしょう。
▲1六角に△2五桂は、▲4五銀で先手がよくなります。他の候補は△6五歩くらいでしょうか。ただこれは▲2四飛△2三歩▲同銀成△2四飛▲同成銀(変化2図)で、切り札の△6六歩の効果が薄く先手良しでしょう。

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いまさら△4六飛でもないでしょうから、△2五歩を最有力と見ます。ここは藤井さんも考えどころ。長考になるでしょう。▲1六角は羽生さんらしい玄妙な角ですね。少し時間がたったので改めて考えを推し量ってみました。△2五歩には▲3八飛が有力かと思います。前述の△4六飛▲3三銀不成△3七歩は、以下▲同桂△3三銀▲2五桂で、銀を逃げれば飛車を成って先手よさそうです。
△2五歩▲3八飛に△4九角▲3三銀不成△4六飛は、▲3五飛△1六角成▲同歩としてどうか。以下△3四歩▲2五飛△3三銀▲2一飛成の展開は、歩切れで後手がつらそうです。通常なら後手が攻め合い勝ちしそうな手順ですが、6二玉・6三銀型が美濃囲いより3手分くらい薄いのですね。

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端に角を放つ新趣向を見せた羽生王位。

(吟)