2011年7月

2011年7月26日 (火)

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図は15時前の局面。
激しい手が飛び出した。▲6五歩があるので控室では指しにくいのではと言われていた。以下△7六歩▲6四歩△同歩で角・銀を持たれて手番が先手に渡る(棋譜コメントより)。

控室の酒井七段が指摘していたのは、△7五歩に代えて△8六歩(参考1図)▲同歩△同飛▲8七歩△8二飛で▲6五歩△7三銀▲7五歩(参考2図)の順。「先手が6・7筋の位を取って後手が2歩手持ちにする展開。この位を取られるのが面白くないと羽生さんが見れば△8六歩ではなく、じっと△7四歩と打っておくでしょう」と酒井七段。

本譜の順をみて、「激しい戦いになりそうでね」と関係者がつぶやいた。


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(若葉)

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対局が再開されてほどなくして、羽生は△8五歩を着手した。
これは控室でも指摘されていた一手。


23_30【Twitter解説】

佐藤六段 >
昼休の局面、次の手は△8五歩でしょう。そこで▲3五歩は△同歩▲同銀△8六歩▲同歩△8五歩の十字飛車(▲8五同歩は△同飛が銀桂両取り)があるので行きづらいです(参考図)。△8五歩には▲6六歩として、一旦は後手の攻めを受け止める方針にするはずです。


羽生の△8五飛を見て、広瀬はすぐに▲6六歩。佐藤六段の解説通りに進んでいる。
25手目▲6六歩で、第60回NHK杯戦の決勝戦▲羽生名人-△糸谷哲郎五段(肩書きはともに当時)戦と同じ局面になった。


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(若葉)

2004年9月7・8日、第45期王位戦第5局▲羽生善治王座-△谷川浩司王位(肩書きは当時)戦では▲5八金は入っておらず▲7九玉の形。この2004年の戦いも「中の坊瑞苑」で繰り広げられた。激しい攻め合いの末、羽生が勝利を収めた。
(棋譜コメントより)


<参考棋譜>

22_24先手:羽生 善治
後手:谷川 浩司

▲7六歩  △3四歩  ▲2六歩  △3二金
▲2五歩  △8八角成 ▲同 銀  △2二銀
▲3八銀  △3三銀  ▲7七銀  △6二銀
▲6八玉  △8四歩  ▲7八金  △7四歩
▲3六歩  △9四歩  ▲3七銀  △7三銀
▲4六銀  △8五歩  ▲7九玉  △6四銀(参考図)
▲3五歩  △同 歩  ▲同 銀  △7五歩
▲同 歩  △同 銀  ▲2四歩  △同 歩
▲同 銀  △6四角  ▲3七角  △2四銀
▲同 飛  △2三歩  ▲6四角  △同 歩
▲2五飛  △7六歩  ▲8八銀  △6五銀
▲4六角  △3六角  ▲6五飛  △4七角成
▲7五飛  △4六馬  ▲7六飛  △5七馬
▲6八銀  △7五歩  ▲5七銀  △7六歩
▲5五角  △4七角  ▲5八銀  △2九角成
▲5四歩  △同 歩  ▲1一角成 △3三桂
▲3六香  △4五桂  ▲3二香成 △同 飛
▲5三銀  △6二金  ▲3三歩  △5二飛
▲同銀成  △同 玉  ▲3二歩成 △5六香
▲4二飛  △6三玉  ▲4三飛成 △5三桂
▲5六銀  △同 馬  ▲4四馬  △6五銀
▲7五香  △5七桂成 ▲7二金

まで87手で先手の勝ち


(若葉)

13時31分、関係者が見守る中、先に対局室に入ったのは羽生だった。
定刻は13時30分。牧野四段が「時間に入っています」と声をかけた。
ゆっくりとした動作で下座に座ると、袋から扇子を取り出して盤側に置き、盤面を見つめながら眼鏡を拭き始めた。

広瀬が入室のはその直後。
上座に着くとすぐに盤に目を落とし、湯飲みに手をやった。


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(若葉)