井上慶太九段、福崎文吾九段、伊藤明日香女流初段、池永天志三段による明日の見所トーク。
福崎文吾九段(以下、福崎) 明日は我々が立会いということで張り切っていきたいと思いますけど、いちばん大変な記録係が……じゃあ、自己紹介を。
池永天志三段(以下、池永) 明日、記録係を務めます奨励会の池永です。どうぞよろしくお願いします。
福崎 明日は彼に嫌われると秒読みが速くなっちゃうので、嫌われない方がいいですね。伊藤さんは明日、聞き手ですけど、東京の方では結構こういうお仕事はされているのですか?
伊藤明日香女流初段(以下、伊藤) そうですね。『囲碁・将棋チャンネル』という専門チャンネルがありまして、そこで聞き手を務めさせていただくことはあります。関西の先生とコンビを組ませていただく機会が少ないので、明日は非常に楽しみにしています。
福崎 先ほど里見女流名人の「戦後70年」という真摯な挨拶で、ああいう挨拶はなかなかできないとよね。清水さんの挨拶は面白かったね。
井上慶太九段(以下、井上) 清水さんは面白いね、いつもウイットに富んだ感じの挨拶でね。
伊藤 里見女流名人が2勝、清水女流六段が1勝で迎える第4局です。
福崎 清水さんは本気の本気でくるでしょうし、内容的にはどうですか?
井上 ここまで3局とも熱戦でしたよ。
伊藤 では明日の戦型予想はいかがでしょう?じゃあ記録の池永三段から。
池永 実は先週、里見さんと三段リーグで対戦しまして、そのときはゴキゲン中飛車をやられたので、今回もそうなるかなと思います。
伊藤 では井上先生は?
井上 僕はね、ゴキゲン中飛車もあると思うけど、角交換の振り飛車みたいな、そっちの方を予想します。
福崎 大人の意見やねえ。伊藤さんは?
伊藤 2局目が向かい飛車だったので、私も中飛車が有力かなと思います。
福崎 僕はね、明日は(後手の)里見さんが先に▲7六歩と突くんちゃうかなと。
井上 そういうとき、立会人はどうするの?「あー!」とか言うの?(笑)
福崎 まあ、収拾がつかなくなったときは井上理事がいてるからね。
(夏芽)
◆里見香奈女流名人の挨拶◆
皆様こんばんは。里見香奈です。湯原温泉の皆様には、到着しますといつも温かい歓迎をしていただきまして、ありがとうございます。
今期の湯原温泉での対局は、第4局で指させていただくことになりました。いつもは第3局でこちらに来させていただくのですが、今期から岡田美術館様にご尽力いただきまして、第1局は箱根で開催していただきました。本当にこの女流名人戦を開催するにあたって、たくさんの皆様にご協力いただいていることを、心より感謝申し上げます。
一昨年に休場しまして、皆様に本当にご心配やご迷惑をお掛けしました。皆様の優しいお心遣いをいただきまして、もう一度頑張ろうと思うことができました。話は変わりますが、昨年は戦後70年ということで、改めてそのときの様子などを拝見しましたが、そのときに自分は無事に生活をすることができて、そのうえ楽しい将棋を指させていただけていて、本当に幸せな人生だなと思いました。明日は自分の力をすべて出しきれるように、とにかく一生懸命、前に向かって頑張っていきたいと思います。
◆清水市代女流六段の挨拶◆
改めまして、皆様こんばんは。挑戦者の清水市代です。本日は本当に温かく優しい前夜祭を賜りまして、ありがとうございます。また、こちらに入ります際に、立派な横断幕を掲げていただきまして、それを見上げて皆様のお心遣いを感じまして、うれしくこちらに参りました。そして1年ぶりに皆様にお会いできますことを楽しみにして、来させていただきました。
いま、里見女流名人の素晴らしいご挨拶を聞かせていただいて、自分自身、身が引き締まる思いであります。
こちらに来る前に、勝山に散策をさせていただきまして、皆さん御前酒をお飲みになられましたよね? どうでしたか? おいしかったですか?(「おいしかった」の返答に)はい、ありがとうございます。私が蔵元ではないのですが(笑)。実は辻本店を見学させていただいて、利き酒っていうんですかね。いろんなお酒を少しずつ対局前なんですがいただいちゃいまして、たいへんおいしくって、身も心もポカポカになりました。
先ほどから皆様の壇上のご挨拶で「ベテラン、ベテラン、ベテラン」と何度言われましたことか(笑)。ベテランではございますが、明日は新人になったつもりで、里見女流名人に思いきりぶつかっていきたいと思います。
ところで今日は何日でしたっけ?13日ですよね。ということは明日は14日です。14日は1と4が並んでおりまして「いちよの日」であります。明日は記念日ということで、皆様の記憶に残るようにいい将棋をしっかり指して、いい思い出を作って帰りたいと思いますので、里見女流名人、どうぞよろしくお願いします(笑)。
(書き起こし:潤記者/撮影:夏芽)