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2022年1月16日 (日)

終局直後

終局直後に主催の報知新聞社が対局者にインタビューしました。Dsc_7565 (終局後の様子)

Dsc_7603 (113手目▲4九玉で終局)

Dsc_7587 (インタビューに答える伊藤沙恵女流三段)

――一局全体を振り返っていただきます。

伊藤 早い段階からミスが許されない将棋と思って指していました。ずっと難しいかなと思って指していました。

――序盤で工夫があったと思います。角交換から▲5三角(13手目)の成否はいかがでしたか。

伊藤 何局か指したことはありますが、端歩の突き合いがどのように影響してくるのかはわかっていませんでした。後手が香を走ってくる順もあるのでわかりませんでした。

――▲5六歩(35手目)と突いてさらに激しくなりました。そのあたりについてはいかがでしょうか。

伊藤 △4四銀(34手目)が何でも△6五銀と取ってくる将棋と思いました。こちらは仕方ないと思って▲5六歩を選びましたが、結構攻められる感じだったので、どうなっているかしっかりとはわかっていなかったです。

――△7七角(42手目)で昼食休憩になりました。その局面をどう見ていましたか。


伊藤 清算して△5六飛(46手目)と進んだときに△5七飛成をどう受けるかで相当悩みました。▲4八玉(65手目)と逃げた形が意外と耐久力があるといいますか、すぐには先手玉への寄せが見えませんでした。どうなっているか難しいと思いますが、しっかり考えて、こうかなと思っていました。

――▲4八玉で収まるまでは玉が危険でしたが、そのあたりはどうでしたか。

伊藤 ほかの順が逆にわかりませんでした。つぶされてしまう順はいろいろあると思いますが、▲5八歩(47手目)にどのようにつぶされるかわからなくて本譜を選びました。

――終盤はいかがでしたか。

伊藤 本当にわからなくて。桂を取ったとき(73手目▲6四歩)にどのように指されるかわかりませんでした。どう応じても味が悪いと言いますか、後手の嫌みを突いていると思いましたが、わからなかったですね。

――明確によくなったと思ったのはどのあたりでしょうか。

伊藤 ▲6四角(95手目)と銀を取れたあたりです。

――勝ちになったと思われたのは?

伊藤 本当に最後、▲7三金(111手目)と打って受けが難しいので、読み抜けがなければ勝ちかなと思いました。

――五番勝負を白星でのスタートとなりました。1勝を挙げた気持ちはいかがですか。

伊藤 結果はうれしいですが、先は続いていくので、また次局も頑張ろうと思います。

――里見さんとの7度目の番勝負で初めて白星スタートです。いままでの違いはありますか。

伊藤 結果は本当にうれしいですけども、気を緩めてはいけないと思うので引き締めたいと思います。

――3年前、4年前は悔しい結果だったと思います。箱根対局を白星で終えたことについてコメントをお願いいたします。

伊藤 3年前は一方的になってしまったので、そういう風にならないようにできたのがまずよかったと思います。配信の時間で形勢に差がついているとよくないと思うので、早い終局にならなくてよかったです。

――大きなものに向かっていくうえでの1勝になりました。次局以降に向けてうかがえたらと思います。

伊藤 五番勝負なので、まず1勝できたのはよかったです。あとも一生懸命頑張りたいと思います。

Dsc_7613 (伊藤女流三段は7回目となる里見女流名人とのタイトル戦で初めて開幕局を制した。大きな白星スタート)

Dsc_7598 (インタビューに応じる里見香奈女流名人)

――一局を振り返っていただけたらと思います。

里見 早く攻めていく展開にしましたが、やりすぎてしまったかなという気がしています。

――序盤で△9五歩(22手目)と早いテンポで指されたのは想定の順という気がします。序盤についてどのように感じていましたか。

里見 端歩を生かして指そうと思っていました。

――昼食休憩で△7七角(42手目)と力強く打ち込まれましたが、局面をどう感じていましたか。

里見 やっているときはいけるんじゃないかと思いましたが、▲5八歩(47手目)のときにあまり思わしい攻めがなかったです。いい手順があったかなという気はしています。本譜は純粋に駒損の手順になってしまい、先手玉の薄さとの代償がなくなってしまいました。そこではっきり苦しくなったと思います。

――第2局に向けて出直しになると思いますが、抱負をお願いいたします。

里見 今日の将棋は内容がひどかったので、次局までにコンディションを整えていけたらと思います。

――第2局は地元の出雲になります。そこで指すことについてお聞かせください。

里見 コロナ禍の中でも、地方対局を開催していただいています。自分の力を出しきれるように努めたいと思います。

Dsc_7626 (里見女流名人は反省の言葉を口にしていた)

(銀杏)

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