―― 第1局と似た形になりまして、積極的に△4五銀といきましたが。
里見 考えながら指していたのですが、飛車交換になって、落ち着けば、手持ちの分、まずまずかなと思っていました。動かれて対処の仕方がわからなくて。昼食休憩明けは自信がなかったです。
―― 形勢を引き寄せたのは?
里見 よくなったと思ったのは、あとのほうですね。△9七竜と引っ張って、少し指しやすくなったかなと。
―― 控室では形勢を損ねるような悪手はなかったといわれていましたが。
里見 局面自体は自信がなかったです。▲2五飛と回られるような変化が気になって。
―― 女流名人9連覇になりました。結果については。
里見 結果を残せたことに関しては、素直にうれしいです。
―― 最強の挑戦者を迎えてのシリーズになりました。里見さんの充実ぶりをよく耳にしたのですが、これまでの8回と手応えの違いなどはありましたか。
里見 準備段階で楽しく、精神的に安定して勉強できたかなと思います。
―― 伊藤女流二段とは今年度4回目のタイトル戦になりましたが。
里見 形勢を損ねたら、逆転をするのは難しいので、最初をしっかり指さないといけないと思っていました。
―― 女流五冠を堅持されまして、ファンのみなさんは、女流六冠制覇を期待すると思うのですが。
里見 まだ足りないところもたくさんありますので、結果というよりも、いい状態で勉強を続けられるように頑張りたいと思います。
―― 三段リーグでも重要な対局が続くと思いますが。
里見 勉強していくしかないので、日々の積み重ねを大事にしていきたいと思います。
―― 来期は大台の10連覇が懸かるシリーズになりますが。
里見 いまは何ともいえないのですが、その時に充実できるようにしたいなと思います。
(伊藤女流二段)
―― 序盤はどのように。
伊藤 第1局の反省というか。早めに飛車先を交換してみようかと。それでも△4五銀と出られる形なんですね。
―― 飛車交換から、▲8六飛と打ちましたが成算は。
伊藤 よくできそうな予感がしたので、動いたのですが。飛車交換したら、早めに戦いにしようと思っていました。
―― 昼食休憩のあたりの形勢は。
伊藤 よくできそうな気はしたのですが、わからなかったですね。
―― 本局を振り返ってどうでしたか。
伊藤 選択肢がいろいろ多い将棋で、終始わからなかったです。結果は残念でしたが、また次にいかせるように頑張りたいと思います。
―― 3局を通して、シリーズを振り返ってください。
伊藤 ちょっと第1局、第2局は後悔が残っています。第3局は悔いが残らないようにと思って指していたのですが。結果に繋がらなかったのは残念です。
―― 里見女流名人とは今年度4回目のタイトル戦になりました。ほかの棋戦でもまた当たる可能性があり、超えなくてはいけない相手だと思うのですが。
伊藤 チャンスがつかめなかった対局もいろいろあるので、実力不足だと思います。
―― 来期は女流名人リーグを戦うことになります。今期が全勝で来期も挑戦の最右翼になると思います。抱負を。
伊藤 一局、一局集中して指すだけです。頑張ります。
(吟)
第44期岡田美術館杯女流名人戦五番勝負第3局は、104手までで里見女流名人が制しました。終局時刻は16時1分。消費時間は▲伊藤2時間57分、△里見2時間16分。これによりシリーズ成績は里見女流名人の3勝0敗となり、タイトル防衛が決まりました。里見女流名人は、自身の持つ連覇記録を9に伸ばしました。
(睡蓮)