◆里見香奈女流名人へのインタビュー◆
――ノーマル三間飛車は少し珍しい印象でしたが用意の作戦でしたか。
居飛車でこられたら振り飛車でいこうと思っていたぐらいでした。
――27手目▲7六銀の構えが珍しかったように思います。
端歩が入っている関係で上がりました。考えてやってみようと思ったんですが、気になる変化が多く難しかったです。
――34手目の△8六歩を放置して、決戦になったが形勢はいかがでしたか?
本譜は8七の金は少し離れていますが、まずまずの展開だと思っていました。
――昼食休憩明けの局面をどう見ていましたか。
調子よく攻めれたらいいかなと。本譜の攻めは少し難しいかと思っていました。
――形勢を引き寄せた局面はどこでしょうか。
(少考後)、▲5四同角成(63手目)から▲6三歩成△同竜▲6四歩とできたので、攻めに専念できるようになり、いいかなと思いました。
――▲3一角は控室も沸いた一着でしたが、感触はどうだったでしょうか。
後手玉が上に逃げれそうになかったので、攻めが調子よく続くかなと。ほかの手では上に逃がしてしまいますしわからなかったので、いちばんいいかなと思って指しました。
――地元でいい結果を残せましたが、いかがでしょうか。
ほっとする場所なので、あまり気持ちが寄り道できないように気を引き締めていました。今回の対局では力を出しきれたのでよかったと思います。小さい頃から応援してくださる方がいつもいらしてくださるので、それを励みにしてこれからも頑張りたいと思っています。
――9連覇へ向けて意気込みをお願いします。
次は後手番なので、しっかり準備をして今回のような状態で挑みたいと思います。
◆伊藤沙恵女流二段へのインタビュー◆
――両対局者の過去の実戦でも珍しい序盤の進行になりましたが、どのように思われていましたか。
確実に振り飛車で来るかどうかわかっていなかったです。27手目に▲7六銀と上がられる発想があまりなくて、慎重に時間を使いながら戦ったのですが、最善が指せていないと思います。何かもっといい手があったかと思うのですが、よくわかりませんでした。
――動いていったあたりは指しやすさを意識されていましたか。
指しやすさはそんなになかったです。こちらが歩切れですし、3四の歩を取られてしまうので。ただ、思っていた以上によくなかったかもしれません。34手目に△8六歩を突いてしまうと、本譜のような順しかないような気がします。あれで指しにくいのなら、その前にもう少し違う手があったかもしれません。
――第3局、後がない形での対局となりますが、抱負をうかがえますか。
いつも一生懸命精一杯指すだけなので、集中して頑張りたいと思います。
(武蔵)
第44期女流名人戦五番勝負第2局は、91手で里見女流名人が勝ちました。終局時刻は15時49分。消費時間は▲里見女流名人2時間8分、△伊藤女流二段2時間57分。この結果、シリーズ成績は里見女流名人の2連勝になりました。
(夏芽)