前夜祭 明日の見どころ
(両対局者が退席し、会場では先崎九段、豊川七段、室谷女流二段が第1局の見どころを話した)
室谷 いよいよ明日は第42期岡田美術館杯女流名人戦第1局が始まります。ずばり見どころは。
先崎 清水さんはだいたい僕と同世代なんですが、勝負の世界で若い人と戦うのはすごい厳しい。そのあたりをどう乗り切っていくか。
豊川 里見さんは強いですよね。ただ、スポーツ報知にいろいろ書いてあります。清水さんの負けが込んでいたんですが、直近は勝ったんですね。先ほど話していたときに耳から落ちましたけれども、あれで厄が落ちたかもしれない。
室谷 私も女流名人戦リーグに入りまして、清水さんとも対局しました。清水さんは8勝1敗という圧倒的な成績での挑戦というわけですが……。
先崎 あっ、わかった。その1敗が自分ということだな。
室谷 違います。
豊川 上田さん(初美女流三段)。上田プロ。
室谷 最後はプレーオフもあるかといわれていたところですが、しっかりと勝たれて、いま絶好調の清水さんと、7連覇を狙う里見さんとの戦い。楽しみですね。
先崎 2人は明日、大盤解説なんだよね。
室谷 今日、会場を見てまいりまして、岡田美術館の5階にあるスペースで。対局場と少し離れてはいるんですけれども。とてもきれいな会場でした。
豊川 対局場が離れにありまして、先崎さんが立会人で、盤もチェック、駒もチェック、照明もチェック、いろいろやりました。
室谷 和やかな雰囲気でしたか?
先崎 非常にいい雰囲気でした。
室谷 戦型予想は。
先崎 里見さんは居飛車も振り飛車もやるから、わからんねえ。2人でやると毎回、中終盤が盛り上がる展開になっているので、ポッキリ折れるような感じにはならないですね。
豊川 だいたい先崎さんと同歩なんですけど、あいさつも前哨戦という感じでしたね。
室谷 美術館は1時間ほど見させていただきました。
先崎 僕は台湾に行ったことが多いんですけども、台湾の国立美術館で5時間見たんですが、そのとき以来の中国の展示品を、山のように見て。でも日本も負けていないじゃないかと、こんなに素晴らしいものがあるんだと。台湾の人を招待したらいいんじゃないかという気持ちです。
豊川 僕も先崎さんに対抗して。フランスのルーブル美術館に一度だけ行ったことがあるんですが、そのときはあんまり感じなかったんです。でも今日、入り口で見た風神・雷神ですか、あれは驚きました。あまりに巨大すぎて、見やすいように斜めになっているんですね。
室谷 風神と雷神は、足湯に入りながら見ることができるということで、先ほど行ってきました。すごいきれいでして、1時間くらい浸かってしまいました。ぜひ皆さんも。
豊川 甘いものもあるんですよね。
室谷 はい。カフェになっていまして、飲み物を飲みながら、絵も見ながら、足湯もできて、とても有意義な時間を過ごしました。
(書き起こし・文、写真・吟)