第22期女流王位 表彰式
8月18日、東京・日比谷「松本楼」にて第22期女流王位表彰式が行われました。
(日比谷公園内にある「松本楼」)
(高橋純二・北海道新聞東京支社支社長)
「甲斐さんは外見からすると、おっとり型のイメージがあるかもしれませんが、実際は強い精神力の持ち主。甲斐さんは女流棋界を背負って立つエースの一人です。今後も女流王位を維持していただければと思います」
(米長邦雄・日本将棋連盟会長)
「甲斐さんに勝因は何だったの?と聞いたら「辛抱したことです。その甲斐がありました」とのことでした(笑)。今後も持ち味を発揮して、さらに精進していただき、プロらしい生き様や将棋を見せてほしいですね」
(石橋幸緒・日本女子プロ将棋協会代表理事)
「第1局、第2局は中飛車でしたが、第3局でいきなり2手目△3二飛戦法をぶつけ、それ以降は三間飛車で通されて防衛されました。甲斐さんの研究熱心さは存じておりますが、それを番勝負でぶつけるのは勇気のいることで感心させられました。最終局は五番勝負で苦しさもあったと思いますが、その中でも学ばれたことを出し切っての防衛で感銘を受けました」
(甲斐女流王位の師匠である中原誠十六世名人が祝辞を述べる)
「タイトル戦の2連勝3連敗は多く、私は5度くらい経験あります。甲斐さんが第4局で負けたときは流れが悪いと感じたので、第5局はよく勝ったなと思いました。
将棋に関してはうるさく言わないので、甲斐さんは私とは違って久保二冠に似た将棋を指されています。将棋は他人に言われて強くなるというわけではなく、自分で作っていかなければどうしようもないですから。自分で道を切り開いていくという心構えが一番大事ではないかと思います。タイトルを取り、防衛して一人前といいますが、いろんな経験を積んで頑張ってほしいですね」
(謝辞を述べる甲斐智美女流王位)
「今期の五番勝負は前期に続いて清水さんとの対戦となりました。第1局、第2局で連勝できましたが、悪い将棋を終盤で逆転する拾い勝ちに近い内容でしたので、第3局の前にいろいろと考えてしまいました。清水さんとの対局では、気が付かないうちに隙を突かれて形勢を損ねてしまう内容が多いので、第3局以降はどうしたら主導権を取れるのか、先に攻められるのかを強く意識しましたし、そこが自分にとっての課題だと思いました。しかし、思うように指させてもらえず、気が付いたら最終局を迎えている感じでした。
短い間に清水さんを前にして対戦すると、盤上だけでなく精神の強さを感じ、あらためて清水さんはすばらしい方だと思いました。最終局は勝てる自信はまるでなかったのですが、持っている力を出し切って精一杯指すしかないという気持ちになれました。そして、第5局では課題だった自分から先に攻める将棋を指せて、勝てたときはうれしかったです。
盤に向かえばまだまだ勉強不足だと感じる毎日ですが、自分なりに焦らずにできることをして一歩一歩努力したいです」
(谷川浩司・日本将棋連盟専務理事が乾杯の音頭を取った)
「地位や逆境が人を成長させるということがあります。今期の五番勝負で甲斐さんは防衛することの難しさや調子の悪い中での戦い方について経験されていたかと思います。
女流棋界の中で一番精神力が強いのは清水さんかと思いますが、2年連続で清水さんとタイトル戦を戦ったことは甲斐さんにとって貴重な経験です。これからは甲斐さん自身が強くなることで、女流棋界のレベルアップに努めて、女流棋界を引っ張ってもらいたいと思います」
(日本将棋連盟と日本女子プロ将棋協会の表彰状)
(銀杏)