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2025年7月

2025年7月 3日 (木)

先手に圧をかける後手

250703_094後手が攻め続けています。△7五香(図)に(1)▲同金△同銀▲同玉は△7七馬が詰めろ飛車取り。(2)▲7六歩で受かりそうですが、△9七銀▲8七玉△7三銀があるようです。△7五香ではなく単に△7三銀なら▲7二馬で切り返せるのですが、△7五香▲7六歩△9七銀▲8七玉△7三銀の手順だと、飛車を取った手が△8八飛以下の詰めろになります。

川上七段は「△7五香だけで決まっている感じはしない」と言いますが、それは「先手が最善を尽くせば」という条件付き。最善手を導き出すには時間がいります。しかし、時間は有限です。このまま難解な状況が続くと、いずれは先手の時間がなくなり、ミスが出る可能性が高くなります。伊藤叡王としては、このまま圧をかけ続けて先手の体力(時間)を削りたい、羽生九段としては、時間のあるうちに流れを変えたい、という状況です。

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(牛蒡)

鳩森八幡神社

本日の東京は、晴れ時々曇り。予想最高気温は33度。

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Dsc_9634(アジサイの花手水)

(牛蒡)

対局再開

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Dsc_0185 (羽生九段は再開後も考え続けている)

(牛蒡)

昼食休憩

250703_090_2図の局面で羽生九段が39分使って昼食休憩に入りました。休憩時間は12時から40分間。ここまでの消費時間は、▲羽生2時間27分、△伊藤31分(持ち時間は各5時間)。羽生九段の出前注文は「サバの南蛮酢弁当」(鳩やぐら)、伊藤叡王は「ビーフカレー」(rico curry)。

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Dsc_0043(休憩中の対局室。伊藤叡王は、棋譜とタブレットの盤面図を眺めていた)

Dsc_0054(すぐにも終局しそうな、恐ろしい図ができている)

Dsc_0061(棋譜に書ける手は1枚につき150手。午前のうちに90手も指された)

(牛蒡)

時間差がつく

250703_090図の局面で羽生九段が時間を使っています。図の△6五銀(5四から移動)も守りを薄くして怖い手なのですが、伊藤叡王は55秒で指しました。羽生九段が考え続けて11時35分現在、1時間半の差がついています。

先手は1手でも間違うと寄せられてしまいそうです。まさに綱渡り。強烈な重圧を受けながら指し続けることになります。心身ともに負担の大きいと思われます。後手も攻め間違えた瞬間に負けになる恐れがありますが、伊藤叡王は早指しで進めていますから、まだ想定内の可能性が高いです。

Dsc_9720(伊藤叡王の研究はどこまで行き届いているのか)

(牛蒡)

前例を離れるも手は止まらず

250703_082上図で前例は▲7一馬△6一歩▲7七桂でした。本局は単に▲7七桂。前例は後手勝ちだったので、先手から手を変えるのは自然です。

しかし、前例を離れたにもかかわらず、伊藤叡王はわずか2分で△8七歩成としました。まだ研究の範囲内と思われます。羽生九段も14分で▲8七同金を指しましたが、今度は12秒で△8六歩。そこまで進んで時刻は10時45分。形勢は不明ですが、研究勝負という観点では、伊藤叡王が先をいっている印象です。

Dsc_9709(伊藤叡王)

Dsc_9790(羽生九段)

(牛蒡)

前例踏襲、まもなく80手

250703_079上図は10時20分の局面、79手目▲8二飛。すさまじい早さで進んでいます。

前例は今年2月17日の▲丸山忠久九段-△佐々木勇気八段戦(王位戦)のみとなりました。その対局は△7二歩▲7五玉△9二桂▲7一馬△6一歩▲7七歩と進み、120手で後手が勝っています。先手玉に入玉されてしまいそうですが、手順中の△9二桂で後手もギリギリ耐えているようです。

Dsc_9987(関係者控室。左は観戦記担当の近藤正和七段。右は東京の対局立会人、川上猛七段)

(牛蒡)

タイトル戦出場の年長記録

羽生九段はタイトル戦登場138回、タイトル獲得99期。前回のタイトル戦に出たのは2023年1月に開幕した第72期王将戦七番勝負で当時52歳でした。

50歳以上でタイトル戦に出場した棋士は過去に6人。以下は当該棋戦の番勝負第1局の時点の年齢における、年長ランキングです。羽生九段は1970年9月27日生まれ。王座戦は例年9月上旬に始まります。本局に勝てば54歳11ヵ月でのタイトル戦出場となり、大山康晴十五世名人に次ぐ記録になります。

66歳11ヵ月 大山 1990年 第15期棋王戦(挑戦者)
53歳0ヵ月 升田 1971年 第30期名人戦(挑戦者)
52歳5ヵ月 土居 1940年 第2期名人戦(挑戦者)
52歳3ヵ月 羽生 2023年 第72期王将戦(挑戦者)
50歳10ヵ月 米長 1994年 第52期名人戦(タイトル保持者)
50歳5ヵ月 二上 1982年 第40期棋聖戦(タイトル保持者)

上記のうち、米長邦雄永世棋聖と二上達也九段は防衛戦でしたから、「50代の挑戦者」としては、羽生九段が史上4人目、戦後では3人目です(土居市太郎名誉名人の名人戦は戦前)。大山十五世名人は、50代後半以降もタイトル挑戦・タイトル獲得を成し遂げています。

なお、王座戦において、挑戦者の年長記録は森けい二九段の49歳4ヵ月、王座獲得の年長記録は羽生九段の46歳0ヵ月です。全棋戦を通じて、タイトル奪取の年長記録は56歳11ヵ月(第29期王将戦)、タイトル防衛は59歳0ヵ月(第31期王将戦)、いずれも大山十五世名人戦の記録です。

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(牛蒡)

初の王座挑戦を懸けて

伊藤叡王は2023年度に竜王戦、棋王戦、叡王戦と次々に挑戦権を獲得しました。24年4月に開幕した第9期叡王戦では、3勝2敗で藤井聡太叡王からタイトルを奪取し、八冠独占の一角を崩しました。

今年6月には叡王の防衛に成功。タイトル2期で八段昇段も果たしています。直近8局も7勝1敗と好調です。本局に勝てば1年半ぶりに挑戦者としてタイトル戦に出ることになり、さらに王座を獲得すればタイトル3期で九段に昇段します。

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(牛蒡)

角換わり腰掛け銀の定跡形

250703_037本局は角換わり腰掛け銀の定跡形になりました。上図はその基本形。羽生九段がこの形を指すのは、2024年8月22日の第83期順位戦B級1組、▲羽生九段-△斎藤慎太郎八段戦以来のことです。

伊藤叡王の角換わり研究は、棋界でも屈指の精度を誇ります。相手の得意戦法に羽生九段は真っ向勝負を挑みました。

250703_0529時42分、52手目△6五歩まで進みました。まだ40局程度の前例があり、定跡の進行です。最近では2月の伊藤園お~いお茶杯第66期王位戦の挑戦者決定リーグ、▲佐々木大地七段-△大橋貴洸七段戦や▲丸山忠久九段-△佐々木勇気八段戦で指されています。

Dsc_9931(初手▲2六歩)

Dsc_9944(2手目△8四歩)

(牛蒡)

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