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【永瀬拓矢王座のコメント】
――本局を振り返って。
永瀬「最初は均衡が保てているような気がしたんですが、徐々に徐々に形勢が悪くなってしまったような気がします」
――悪くなったのはどのあたりですか。
永瀬「徐々に悪くなっていった感じがしたんですが。全体的に自信がない感じです」
――最後に好転したのはどのあたりでしたか。
永瀬「△3八飛(120手目)に▲4八金が利けばと思いました」
【木村一基九段のコメント】
――本局を振り返って。
木村「お昼過ぎぐらいはまずまずというか、ちょっといいぐらいには思っていたんですが。いやー、そっか…。ちょっとよくわかりませんが、悪い手を多く指したような気がします」
――どのあたりがポイントでしたか。
木村「△7一金(46手目)は自重したかなというところと、△2七歩(100手目)はなかった。あれはない。いや、お恥ずかしいかぎりです。ちょっとひどかったです」
(琵琶)
永瀬拓矢王座に木村一基九段が挑戦する第69期王座戦五番勝負第3局は、20時16分に131手で永瀬王座の勝ちとなりました。消費時間は▲永瀬4時間49分、△木村5時間0分。
勝った永瀬王座は王座3連覇にあと1勝となりました。第4局は10月5日に神戸市「ホテルオークラ神戸」で指されます。(銀杏)
1図から△3八飛▲4八金△同飛成▲同玉△4七香▲同銀△同桂成▲同玉(2図)と進みました。先手玉は詰まず、後手玉はかなり危険な状況です。永瀬王座が抜け出したようです。
(琵琶)
互いに残り時間が少なくなる中で局面が大きく動きました。1図から△8四金に対して永瀬王座が竜を逃げず▲2四香と銀を取りました。以下△8五金▲2一香成△同玉▲2四桂(2図)と反撃に転じました。堅かった後手玉が薄くなって体が入れ替わり、永瀬王座が優勢になったようです。
(琵琶)
本局が行われている対局室「松風(写真・上)」は、明治天皇が宿泊するために黒田藩が大磯に建てた建物を三井財閥が現在の場所に移築しました。これまで数々の名勝負が繰り広げられています。立会人の塚田九段は1987年の第35期王座戦五番勝負第3局で勝ち、陣屋での勝利が王座獲得の原動力となりました。新聞解説の深浦九段が第48期王位戦七番勝負第7局で▲7七桂の名手を放って初タイトルの王位を獲得したのが「松風」でした。館内には将棋や囲碁の対局写真や色紙などファン垂涎のお宝グッズが展示されています。
(ロビーには升田幸三実力制第四代名人の写真や色紙が展示されている)
(升田幸三実力制第四代名人が執筆した「強がりが雪に轉んで(ころんで)廻り(まわり)見る」)
(第50期王位戦第6局の封じ手。深浦王位が赤ペンで書いた9八香成の文字と矢印が消えかけている)
(ロビーに展示されている升田幸三実力制第四代名人の肖像画と原田泰夫九段の書)
(琵琶)
18時に対局が再開しました。1図から△2七歩成▲同銀△9八竜▲7四成桂△5五銀▲6五角△9七角▲9九歩△同竜▲8六歩△4一玉(2図)と進んでいます。
先手の玉形が乱れた点、後手の竜が先手の竜よりも働いている点が大きく、控室では夜戦に入って後手が挽回したと見られています。とはいえ形勢は難しいようです。力のこもった攻防が展開されています。
(琵琶)