封じ手は▲3五歩でした。予想されていた手のひとつです。
第71期王将戦七番勝負第1局
2日目のスケジュール
封じ手
藤井竜王が47手目を封じる
18時5分、図の局面で藤井竜王が47手目を封じ、1日目の対局が終了しました。47手目の考慮時間は1時間3分。1日目の消費時間は、▲藤井3時間36分、△渡辺4時間5分(持ち時間は各8時間)。
封じ手まで残り15分を切る
超スローペースの1日目午後
指導対局
記者会見(3)
――明日の対局を控えての心境。
藤井 非常に注目されるシリーズだと感じています。それに応えられる戦いをしたいと思います。
――掛川市や対局場の印象。
藤井 掛川を訪れるのは今回が初めて。先ほど検分させていただきましたが、掛川城の天守も近くに見えて、よい雰囲気の対局場だと思いました。
――七番勝負に向けての抱負。
藤井 王将戦は2日制の対局になるので、一手一手、自分なりにしっかり考えて、いい内容にしていければと思います。
――王将戦に向けての対策。
藤井 しばらく対局がなかった(昨年最後の公式戦は12月2日)ので、王将戦を常に意識して取り組んできたところはあります。王将戦に向けて序盤の研究もある程度はしてきました。
――渡辺王将は「半年間ほど準備してきた成果を試してみたい」と話していた。その点についてどう思うか。
藤井 これまで棋聖戦で2回対戦していますが、今回は2日制ですし、これまでとは違った戦いになるのかなと思います。自分もしっかり対応できるようにやっていきたいと思います。
――初戦の意気込み。
藤井 自分自身、公式戦の対局は久しぶりになりますけど、持ち時間が各8時間と長いので、一手一手集中して指せればと思います。
――渡辺王将の1日制と2日制とでは違いは感じるか。
藤井 渡辺王将は対局を見ていてもタイムマネジメントが巧みだという印象を受けることが多いです。特に2日制だと封じ手のタイミングなどもあるので、そのあたりはこちらも慎重にというか、しっかり対応しなければいけないと思っています。
――渡辺王将が掛川対局で負けがない。そのことは知っていたか。
藤井 初めてうかがいました。知りたくないことを知ってしまったと思うんですけど(笑)、自分自身は掛川で初対局になりますので、フラットな気持ちで全力を尽くしたいと思います。
――三冠と四冠のタイトル戦は史上初。藤井さんにとっては冬のタイトル戦も初めて。体調管理やモチベーションについて。
藤井 自分としてはタイトルの数を意識することはないかなと思っています。今回の王将戦は非常に注目していただけるシリーズだと思うので、それにふさわしい将棋にできるように頑張りたい。自分自身は冬のタイトル戦は初めてになるので、気温や体調には気をつけたいと思います。
――渡辺さんとのタイトル争いは、しばらく続くと思う。このシリーズはどのように位置付けるか。
藤井 渡辺王将と2日制のタイトル戦を指すのは初めて。これまでとは、また違った強さを感じることになると思います。しっかり対応して、その経験を生かしていきたいと思います。
――渡辺王将のどのあたりを作戦家だと感じるか。
藤井 序盤の定跡だけでなく、その後の流れも含めて一局をうまくコントロールされている印象があります。そこは自分にない部分だと感じています。
――渡辺さんも藤井さんも将棋ソフトをフルに活用していると聞いている。この半年間でも将棋が進化していると感じるか。
藤井 ソフトを使った研究によって、定跡に関しても新しくなってきたところはあると思います。それ以外の部分でも、ソフトの強さを少しでも取り入れられるように取り組んでいるので、今回もそういったところを少しは出せればと思っています。
(書き起こし=牛蒡、撮影=紋蛇)
記者会見(2)
(渡辺王将の記者会見)
――明日の対局を控えての心境。
渡辺 こちらに来て検分と会見をやって、いよいよ始まると感じています。(掛川は)何回も指しているので、快適に指せる場所だとわかっています。将棋に集中できる環境を用意していただいていると思っています。
――七番勝負に向けての抱負。
渡辺 藤井さんは非常に勢いがあり、昨年もタイトルを増やされて、当然ながら厳しい相手です。タイトル戦で当たるのは昨年の棋聖戦以来で、それから半年ほど空きました。その間に取り組んできたことを出せるか、自分でも見ていきたい。そういう位置付けの番勝負だと思っています。
――2日制であること、直近の藤井戦に勝っていること、掛川対局で渡辺王将は6戦全勝ということ。この3点は過去のタイトル戦とは違う何かを与えているか。
渡辺 2日制は自分にとってアドバンテージではなく、2日制で藤井さんと対戦するのが初めてということにすぎない。どういったペースで指し手が進むか、どういう流れで進むか、明日やってみて何となくとらえていきたい。
棋聖戦のあとの藤井戦もけっこう前(9月)ですし、条件も違います。2日制の長い持ち時間でどうなるか、また新しい気持ちでいます。掛川対局は5局以上指しているなかでは数少ない縁起がいい場所なので、いいイメージで臨めると思っています。
――「藤井さんは厳しい相手」という発言があった。どのあたりが厳しいと感じているか。
渡辺 タイトル戦で2回戦って、自分から見ると結果が出ていない。昨年の棋聖戦はストレートで負けた。それを踏まえての今回。藤井さんはまだ10代で、これからも進化されていくと思う。自分のほうが年齢が上なので大変な相手だと思います。
――初戦の意気込み。
渡辺 七番勝負は長丁場なので、初戦に特別こういう入り方をしたい、という考えはない。2日制で1局やってみての感触というか、2局目以降につながっていくような内容の将棋にしたいです。
――四冠対三冠は史上初の戦い。このシリーズをどのように位置付けるか。
渡辺 将棋界が八冠になってから間もないこともあり、そういう数のタイトルを持ち合ってのタイトル戦というのは、言われてから初めて気づきました。注目度が高いので、期待に応える将棋を指さないといけないという責任感、緊張感はもちろんあります。
――これまでは年上とのタイトル戦が続いた。今回は下の世代の藤井さんと3回目のタイトル戦となる。自身のなかで変化はあるか。
渡辺 自分は上の世代の方々が指した将棋を勉強し、そういう方々に挑戦してきました。自分が30代になってからは、年下の方との戦いがほとんどです。技術的にも新しいものが出てきて、自分がやってきたことが古くなり、対応が難しくなっていく。年長者の難しさはすごく感じています。
――昨年は藤井竜王と豊島将之九段のタイトル戦が多かった。その対局を見ていて、自分の将棋に生かせるものはあったか。
渡辺 もちろん注目して見ていました。豊島さん側の視点に立ち、藤井さんとどう戦うかを見ていたが、豊島さんと自分はタイプも違いますし、参考になるようでならない、というのが正直なところかと思います。
――昨年の棋聖戦から半年ほど空いた。王将戦に向けて、どのように取り組んだか。
渡辺 昨年の棋聖戦で結果が出なかったので、次に対戦したらどういう感じでやるかと何となく考えていました。11月に藤井さんの挑戦が決まり、そこから漠然とやってきたことを具体的に詰めてきた感じです。半年もないくらいの期間なので、そこまで大きく変わることはないと思いますが、その成果がどれくらい出るか、自分でも見たいと思っています。
(書き起こし=牛蒡、撮影=紋蛇)