2023年8月23日 (水)

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Img_1577(防衛を果たした藤井聡太王位)

□勝った藤井聡太王位の談話

── △4四金(44手目)に対して▲4六歩と突きました。1日目を振り返って。
藤井 序盤は比較的穏やかな変化になったのですけど、類型の少ない形で、どう判断すればよいか難しかったです。▲4六歩は、ほかの手では進展性がないかなと思ったのですが、踏み込んでしまうことになるので。序盤の構想でどう指していいか分からなかったです。

── 封じ手の△1四角(46手目)については。
藤井 △1四角は一番指されたら嫌な手かなと思っていました。

── ▲5六角(53手目)と打った辺りは。
藤井 △1四角に対してどういう風に進めるか考えたのですが、本譜は少し誤算があって、苦しくしてしまったかなと思っていました。

── △8三同金(61手目)に対して▲7三歩成が35分の長考でした。
藤井 と金ができたことを主張にできるかなと思っていたのですが、こちらの玉形がキズを多く抱えていたので、どこかで攻め合いになってしまう展開かなと思っていました。

── その後、△2七歩成(70手目)から2筋、3筋を受ける展開になりました。
藤井 △2七飛成(76手目)の局面で、こちらの手が広いと思ったのですが、結局、何がよいのか分からず本譜は手を渡すような感じになってしまい、何か厳しい手が飛んできてもおかしくないと思っていました。

── ▲2四歩(77手目)と挟撃した辺りは。

藤井 代えて▲5三銀とか直接迫っていくような手も考えたのですが、成算が持てなかったので。ただ、▲2四歩はその瞬間が怖いので自信が持てる局面ではないのかなと。

── △3六銀(76手目)から挑戦者の攻めを受ける展開になりました。

藤井 △3六銀▲同金△同金▲6八玉の辺りまでは仕方がないかなと。ただ、条件次第では△7八竜~△7七金という筋で詰んでしまう可能性があるので、どうなっているのか分からなかったです。本譜は▲6八銀(87手目)と弾いてから▲7三桂成として、自玉を安定にできたので、少し指しやすくなったかなと思いました。

── 最後▲8三飛成(95手目)が「詰めろ逃れの詰めろ」でした。

藤井 そうですね。▲7三桂成のあと、どこかでタイミングよく金を取れればと思っていました。

── 一局を振り返って。

藤井 かなり難しい将棋で、序盤から中盤にかけて失敗してしまった気がするので、その辺りをしっかり振り返ることができればと思います。

── 改めて七番勝負を振り返って。

藤井 序盤からじっくり考える将棋が多く、自分に足りない部分が明確になったところもあったので、そういう将棋を経験できたことは勉強になったと思います。


Img_1583(敗れた佐々木大地七段)

■敗れた佐々木大地七段の談話

── 1日目を振り返って。

佐々木 横歩取りの後手番で、歩の損得は解消したのですが、こちらが愚形で手も後れているので。普通に組み合うと自信がないかなと思って動いたのですが、具体的な手順が見えていなくて、苦しい時間が長かったと思います。

── △1四角は124分の大長考でした。

佐々木 もう少し自陣を整備する変化もありましたが、やっぱり手損が響くと思ったので。本譜は△1四角と打ったのですが、そんなに成算があったわけではなく、先手に▲4七銀~▲3七桂の好形を作られたら相当勝ちづらくなることを懸念しました。

── ▲5六角の受けに対しては。

佐々木 常に8筋を突破される筋が残って、どうやって受けるか難しかったですし、こちらの角が効いているか分からなかったので、的確に対応されているように感じました。

── その後の8筋、7筋の攻防は。

佐々木 △7四歩(54手目)は仕方がないと思いましたが、本譜はこちらの玉がと金から近くて、どうやってアヤを求めるかという感じだったと思います。

── △2七歩成から猛攻をかけます。

佐々木 こちらの飛車が成り込んで、少し先手玉にプレッシャーをかけられるかなと思ったのですが、▲2四歩と垂らされた局面はどの変化も自信がなくて、やはり困っているのかなと感じました。

── △3六銀に96分の長考でした。

佐々木 本譜は相手に駒を渡していますし、安全地帯に逃げられて勝負形に持ち込めなくなってしまったかと思います。ただ、代わる手も見つけられなかったです。自信がない局面がずっと続いていた感じですね。

── 一局を振り返って。

佐々木 横歩取りの△3三金(24手目)と上がる形を目指したのですが、本譜は2筋、8筋に飛車を回ったあとのビジョンが明確ではなくて、手が後れているぶん、こちらが何かやらないといけないところが難しかったです。封じ手辺りから動いたものの、そんなに手応えがなくて、終始先手にペースを握られた気がします。

── 改めて七番勝負を振り返って。

佐々木 2日制で8時間という普段指したことのない時間で、序盤から濃密な長考もできましたし、非常に勉強になる将棋が多かったです。ただ、その中で自分の力不足を感じる部分も多かったので、さらに精進して、いい内容の将棋を指していけるようにしたいと思います。



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(書き起こし=夏芽)

投了図

伊藤園お~いお茶杯第64期王位戦七番勝負第5局は、95手で藤井王位が勝ちました。終局時刻は18時39分。消費時間は▲藤井王位7時間52分、△佐々木七段7時間55分。

この結果、七番勝負は藤井王位が4勝1敗でタイトルを防衛。4連覇を達成しました。

2023082295▲8三飛成が、△6九竜▲8八玉△8九金以下の詰めろを解除しながら、後手玉に▲5二と△同玉▲6三角以下の詰めろをかける「詰めろ逃れの詰めろ」です。関係者は終局に向けて、準備を始めました。
Img_1473(4連覇が目前に迫る)

2023082288銀を受けに使った先手は、攻め駒が少なくなりました。上図から▲2三歩成としても、△2九竜が王手と金取りです。どちらの玉も簡単に寄る格好ではなくなりました。控室では長期戦を予想する声が聞かれます。
Img_200(現地は大雨とともに雷が鳴る)

2023082278▲2四歩に対して、△同竜では▲2五歩と押さえられて先手玉が遠のきます。佐々木七段は1時間48分あった持ち時間の大半を費やし、△3六銀を決断しました。銀打ちの攻め合いで先手玉に迫りました。
残り時間は▲藤井27分、△佐々木12分です。
Img_1539(モニターに近づく中村修九段)