牧之原市将棋によるまちづくり実行委員会会長 永田正之さんに本局の開催に向けての話をうかがいました。
(永田さんは青野九段〔焼津市出身〕や神谷広志八段〔浜松市出身〕、加藤桃女流三段の父、康次さんとも交流があったそうだ。加藤康次さんは地元静岡の将棋の名門、藤枝明誠高校の顧問として慕われていた)
王位戦は伊藤園が特別協賛になったことで、お茶の印象が強くなりました。牧之原市内には伊藤園の静岡相良工場や中央研究所があるので縁があります。永田さんはそこに目をつけました。この市で王位戦のタイトル戦ができないかと思ったのです。「(ほかの棋戦でなく)その一本に絞りました」と笑みを浮かべました。
しかし誘致に向けては財政面や対局場についての問題がありました。個人や支部だけの力だけでは難しく、行政の協力がないと動けません。
そこで永田さんが牧之原市長の杉本基久雄さんに企画書を提出しました。市長が積極的に動いたことで誘致が決まったそうです。そして対局場となる歴史のある相応しい地を探すことになり、すぐに市長が「平田寺がいいのでは」と候補に挙げたとのことでした。
今回は当初第4局の開催予定だった嬉野市での対局が流れたため実現しましたが、シリーズが始まる前は「藤井さんは8割3分勝っていますので、開催できる確率は2割もないのではないか」という思いだったそうです。事情が事情なため、心から喜ばれた様子ではありませんでした。
対局日前日(4日)に行われた市長のあいさつでは「もっと将棋のまちとしてさらに広めていきたい」とのことでしたので、今回の誘致を機に、牧之原市が中部地方を代表する将棋のまちになるかもしれません。