第61期王位戦七番勝負第1局 Feed

2020年7月 1日 (水)

継ぎ盤の前に西尾七段が座っていました。

Hikae01 (早繰り銀の目が消え、「ゴリゴリの定跡形になりそう」)

Hikae02 (継ぎ盤の駒をしげしげと眺める。「高級品ですよ」)

Hikae03 (継ぎ盤には美水師作の駒が並ぶ。写真は「水無瀬」書)

ほどなく、西尾七段は現地をあとにしました。

Oui202007010101_1010手目△7七角成と、木村王位が角を換えて戦型は「角換わり」になりました。

Oui202007010101_1717手目▲3六歩までの局面。▲3七銀~▲4六銀の早繰り銀の目も残っていましたが……。

Oui202007010101_3310時25分頃の局面。相腰掛け銀の定跡形に進みそうな序盤戦です。

Fujii06 (藤井聡七段は早繰り銀にせず、腰掛け銀を含みにする)

10時ちょうどに両対局者に午前のおやつが出されました。藤井聡七段はブルーベリータルトとアイスコーヒー。木村王位は飲み物のみでリンゴジュースでした。

Oya01 (藤井聡七段のおやつ)

Oya03 (ブルーベリーがぎっしり)

Oya05 (木村王位のおやつ)

一方の藤井聡七段は、プロ棋士デビューをはじめとする、さまざまな最年少記録を塗り替えてきました。また、デビュー戦から積み上げた29連勝は30年ぶりの最多連勝記録更新でした。この七番勝負と並行して行われている第91期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負で史上最年少のタイトル戦登場、タイトル戦白星の記録を更新しており、最年少タイトル獲得の期待がかかっています。今回の王位戦で、初めて東京・将棋会館以外でのタイトル戦に臨みます。

Fujii(表はクリックで大きくなります)

Fujii05 (初手▲2六歩を指す藤井聡七段)

木村王位は本シリーズでタイトル戦登場8回。その歩みを下の表にまとめました。初めてのタイトル戦登場は32歳、七段のときでした。2009年に9戦目にしてタイトル戦初勝利を挙げると、何度も相手をカド番に追い込みます。タイトル獲得を目前にしながらもなかなか果たせませんでしたが、前期七番勝負第7局は自身9回目の「勝てばタイトル獲得」の将棋をものにしました。46歳3ヵ月、史上最年長の初タイトル獲得までの歩みは、まさに百折不撓。揮毫にも使われますが、何回失敗しても志を曲げないことを意味します。登場した王位戦七番勝負はすべて第7局まで戦っている点も特筆されます。

Kimura(表はクリックで大きくなります)

Kimura08 (2手目△8四歩を指す木村王位)

両者が駒を並べ終わると、第1局につき、振り駒で先後を決定します。記録係が上座の棋士(本局は木村王位)の3~7筋の歩を手に取り、よく振って白布に散らします。歩が多く出れば上座の棋士、と金が多く出れば下座の棋士の先手になります。

Asa10 (記録係が白布を広げる)

Asa12 (両手でよく振り、白布に散らす)

Asa14(と金が3枚)

と金が3枚出たので、本局の先手は藤井聡七段です。振り駒は第2~6局は行わず、そこまでは奇数局が藤井聡七段、偶数局が木村王位がそれぞれ先手になります。3勝3敗で第7局を迎えた場合は改めて振り駒で第7局の先後を決めます。

Kimura07 (振り駒に使われた歩を再び並べ直す木村王位)