第52期王位戦七番勝負第4局 Feed

2011年8月 9日 (火)

おはようございます。

第52期王位戦七番勝負第4局は本日9時開始です。
今日も一日よろしくお願いいたします。

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対局室の窓から見える門司港の風景。

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準備が整えられています。

(八雲)

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対局者と立会などの関係者が壇上に上がって挨拶。

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広瀬章人王位。
「昨年は初めてのタイトル戦で、深浦さんの地元の佐世保に行ってきました。佐世保はまさに私にとってアウェーで、将棋も負けてしまいました。今回は北九州なので安心しています(笑)。北九州に来るのは初めてでして、門司港レトロを少しだけ観光させていただきました。伝統のある港町と感じ、また歴史的な建築物を見ることができて非常によかったなと思っています。今期の王位戦は第1局、第3局、そしてこの第4局とどの町も海が近いんですね。部屋から見える景色が素晴らしく、普段海と縁のない私にはとても新鮮です。明日からは、新聞にもある通り、『自分らしい将棋』を指したいと思います」

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羽生善治二冠。
「北九州は何度も来ているのですが、門司は初めてということで、うれしく思っております。古くからある素敵な港町の、歴史的な建物を見学しました。王位戦は毎年暑い時期にやって、全国各地を転戦します。するとどこでもファンの方からの熱気を感じるんですね。今回もみなさまの熱意に応えられるよう、熱い対局をしたいと思います。若き王位に挑戦するということで、全力を尽くして、おもしろい将棋を指したいと思います」

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■みどころ紹介
藤田 見どころの前に聞きたいことがあるんですが、中座先生は北九州は初めてですか?
中座 初めてです。北海道出身なので、なじみがなかったですね。
藤田 印象はどうでしたか?
中座 非常にきれいなところだと思いました。このあと歩いてみようかと思います。
森下 私は北九州にずっといますので、ええ。ゆっくりご案内いたしますよ。

藤田 では、明日の見どころですが。
森下 広瀬王位といえば、後輩(※)の深浦王位(当時)から振り穴(振り飛車穴熊)でタイトルを獲ったんですね。でも振り飛車だけじゃなくて、居飛車も指せる。万能なんですね。中座さんは居飛車党。藤田さんは……。
藤田 振り飛車です。
森下 そう。広瀬さんはオールラウンダーですが、こういう人は羽生さんの頃から増えてきた気がします。オールラウンダー同士の戦いですから、明日から駆け引きがあるかなと思います。
中座 そうですね。まだ広瀬王位のエース、四間飛車穴熊を見てませんから、それを出すのか。そして羽生さんが受けて立つのか、気になりますね。
藤田 ここまで相振り飛車、角換わり、ゴキゲン中飛車と来ています。
森下 羽生さんが意表をついてゴキゲン中飛車をやる気もします。しかし戦型予想はとても難しいと思いますよ。矢倉かもしれませんし、中座流の横歩取りかもしれません。私としては、広瀬流四間飛車穴熊と羽生居飛車の戦いを見てみたいです。
中座 ええ、見てみたいですね。

藤田 次に、戦型以外でお話をうかがいたいと思います。
森下 はい、ええ。先ほど広瀬王位のあいさつを聞いていたんですが、声にすごく力があったんですね。私『おおっ』と思いまして。それからの羽生さんのスピーチなんですが、これが声が大きくなってまして。あれは意地ですね。
中座 意地ですか。
森下 普段あんな大きな声出さないですからね。
藤田 私は出発前の空港で広瀬王位と話してたんですが、「寝不足」と言っていました。
森下 でも若いですからね。大丈夫です。
中座 ところで、広瀬さんは先手では羽生さんに負けてないんです。
森下 おっ、よく調べてますね!
中座 いえいえ(笑)。広瀬さんは終盤がとても強くて、第1局の最後の寄せも見事でしたし、羽生さんと競り合っています。そういう意味では今回は終盤が見どころだと思います。
藤田 明日からほんとうに楽しみですね!

※森下九段と深浦九段は(故)花村元司九段門下の兄弟弟子。

(八雲)

2011年8月 8日 (月)

前夜祭で乾杯のグラスに注がれたのが「サクラビール」。これは「門司港レトロ 大正浪漫100年祭」と「北九州水道100年祭」のコラボレーションを記念した期間限定の復刻ビールだ。門司港には九州最古のビール工場がかつてあり、その当時の味を再現したものになっている。甘くやわらかな口当たりと、ふわっと立ち上る豊かな香りが特徴だ。飲みやすさに加え、どこか懐かしさを感じさせる仕上がりになっている。

・門司港地ビール工房 http://mojibeer.ntf.ne.jp/mojiko/topic_sakurabeer.htm

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前夜祭は18時から開催されました。

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■主催社あいさつ
西日本新聞社 川崎隆生社長
「あいさつの前にひとこと。みなさん、もっと前に来てください。広瀬王位と羽生二冠のお顔がよく見えますので。さて、ここ門司ですが、私が前に来たのは13年前のことです。きょうこの地に降り立ちまして、改めて、落ち着いたいい町だと感じました。歴史ある港町のよさを実感しているところです。また、今回の立会人である森下九段は北九州市出身ということで、こんなにたくさんファンの方にお集まりいただけたのかなと思います。野球の日本シリーズでもそうですが、第4番目の試合は毎年大事な試合になっています。この王位戦でも、第4局ということの大事さがあるのかなと思います。今回の対局が素晴らしい将棋になることを願って、あいさつに代えさせていただきます」

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■歓迎のあいさつ
北九州市 梅本和秀副市長
「お越しのみなさま、市外からようこそいらっしゃいました。心から歓迎します。北九州市での開催は8年ぶりということです。北九州市では毎年『北九州ハイビジョン将棋フェスティバル』をやっておりまして、そうしたことからか昨年『大山康晴賞』をいただくことができました。ここ門司港レトロは昭和63年から官民一体となって整備してきた観光地区でありまして、いまでは年間200万人が訪れる、本市を代表する観光地となりました。今年は『大正浪漫100年祭』と銘打って、さまざまなイベントが行われております。みなさまぜひ足を運んでいただきたいと思います」

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■乾杯
西日本産業コンベンション協会 三坂敏博専務理事
「我々はとても文字数の多い組織名なんですが、『なんでこんなのがいるんだ』と思う方もおられると思いますので、そこから説明したいと思います。我々は市の指導のもと、コンベンションやイベントの誘致を担当している団体です。今回は西日本新聞さんのお手伝いができて、非常に光栄に思っております。さて、北九州市は将棋が盛んな市でして、先ほどのお話にもありましたが、『北九州ハイビジョン将棋フェスティバル』が毎年3月に開催されるんですね。ところが今年は震災の影響で開催が見送られまして、地元のファンには残念なことだったと思います。ですので今回の王位戦はファンもきっと喜んでいるのではないでしょうか。明日からの対局、両対局者には大いにワクワクさせていただきたいと思います。では、この第4局の成功を祈念して、乾杯!」

(八雲)

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検分の後は、両対局者により揮毫が行われました。

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これは「鋭」と書かれたようです。

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見守っていた関係者からは「広瀬王位は、ぐんぐん上達して書が立派になっている」の声。

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完成した揮毫は「鋭敏」。

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続いて羽生二冠が揮毫。涼しげな表情で書いているのは、お馴染みの「玲瓏」。

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完成した揮毫。中央の題字は立会の森下卓九段の書。

(八雲)

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(森下九段は北九州文化大使、中座七段は稚内観光大使。名刺交換から、大使の話題に。「羽生さんはたくさんやってらっしゃるんですよね」と中座七段。羽生二冠は笑って「いえいえ、八王子だけです」)

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(「いいなあ、これ」。中座七段が惚れ込んでいた駒入れ。木目と色合いの調和が見事)

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(日向産の榧(かや)から作られた天柾の七寸盤。担当者によると、「天地柾にはこだわらずに、将来盤を削りなおしたときに綺麗な柾目が出続けるように天側の柾目を重視した天柾の木取りになっています」とのこと)

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(用意された3組の駒のひとつで、書体は奥野錦旗(おくのきんき)。奥野錦旗は駒師・奥野一香が「昇龍」という書体を改良して「錦旗」と名づけたもの。これは当時の駒師・豊島龍山の錦旗に対抗するためであったと言われる。一般的に知られる錦旗と異なるのはそのため)

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(用意された3組の駒のひとつで、書体は水無瀬(みなせ)。虎斑(とらふ)の美しさが目を引く)

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(こちらが本局で使用されることになった王羲之書の駒。「歩兵」の流麗さに特徴がある)

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(対局室から見える風景)

(文)