2025年8月27日 (水)

渭水苑女将に聞く

Isu09

渭水苑は1980年開業の料亭。ここでの対局は1996年8月、第37期王位戦第5局▲深浦康市五段-△羽生善治王位戦(肩書・段位は当時)から始まりました。対局者からも主催者からも好評を得ている渭水苑対局。分からない点があれば、何でも女将に聞けばたちどころに解決するといわれています。ご自身、何期にわたって本棋戦に携わってきたのか、もう数えきれないという女将の蜂須賀恭子さんに話を伺いました。

Isu08

――渭水苑対局が始まったきっかけは?

私が聞いているのは、もともとのオーナーがすごく将棋が好きでもあり、徳島出身の棋士に武市先生がいたこともあって渭水苑での王位戦が始まったようです。

Isu06(女将の蜂須賀恭子さん。通常業務どおりにマスク姿をご希望)

――通常の料亭の業務とタイトル戦との違いは?

お迎えしたり、お料理を出したりはそこまで普段と違うことはないのですが、料理長たちが特別に献立を考えてくれているのと、スタッフさんの事前準備が全然違う。何かあってはいけないので、意識して準備しています。今回のように(本局の開催が確定した第4局から)日にちがないときはバタバタするのですが、あとは前もって段取り考えて。料理長含め、板場、仲居さん、皆分かってくれているので、一丸となっていつもしています。ご迷惑をかけていることも多々あると思うのですが、皆さんがしてくれているので、私も割りと安心しています。

Isu10 (今朝も出迎えに表に立つ)

――いままででいちばん印象に残っていることは?

いちばん変わったのが、王位を羽生さん(善治九段)から菅井さん(竜也八段)、豊島さん(将之九段)と持って、それから藤井さんが持って(※注。木村一基九段が王位を保持していた第61期は渭水苑対局は実現しなかった)。藤井さんになったとき、もともと人気があった方なので、例えば門を閉めるようになったなど、そのあたりがいちばん違うところでした。若い人に代替わりしていくと同時に、こちら側もそれに合わせた段取り、準備をしようと。最初はいままでと違った点がいくつかあって、都度「どうするんだろう」となりました。ですが、棋士の方も1回おいでいただいたら、ここはこうというのは分かってくれるので。皆さん文句もいわず、棋士の方にも助けられて。将棋は何にも分からないので、申し訳ないのですが。

――最後に、ブログ読者に向けて
これからどんどん若手の方が出てくると思うのですが、必ず将棋ファンであり続けてください。1人でも若い方が将棋を好きになってくれたらなと思います。

Isu07(撮影で選んだポーズは正座だった)