2025年7月

2025年7月14日 (月)

検分は対局に使用する盤駒や部屋の明るさ、空調の具合、手洗いの場所などを確認する作業です。永瀬九段は蛍光灯の明るさを指摘。蛍光灯を消す本数を試したため、検分は約20分ほどを費やしました。
Img_9187(藤井聡太王位)
20250714img_9188(永瀬拓矢九段)
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20250714img_9211(検分終了時、主催紙の要望でカメラに視線を向ける対局者)

藤井聡太王位(七冠)に永瀬拓矢九段が挑戦する伊藤園お~いお茶杯第66期王位戦七番勝負(主催:新聞三社連合、日本将棋連盟、特別協賛:伊藤園)は、千日手の末に藤井王位が先勝。防衛に向けて幸先のいいスタートを切りました。
第2局は神戸新聞社による主催(協賛:アスタッフ株式会社)で、7月15日(火)から16日(水)にかけて、兵庫県神戸市「中の坊瑞苑」で指されます。持ち時間は各8時間で、先手は藤井王位。対局開始は9時。立会人は福崎文吾九段、副立会人は船江恒平七段。記録係は関祐人三段(井上慶太九段門下)が務めます。本局の観戦記は池田将之指導棋士五段が執筆します。
インターネット中継は棋譜コメント入力を潤、ブログを武蔵が担当します。よろしくお願いします。

【神戸新聞NEXT】
http://www.kobe-np.co.jp/
【伊藤園お~いお茶】
https://www.itoen.jp/oiocha/
【アスタッフ株式会社】
https://www.astaff-green.com/
【棋譜中継ページ】
http://live.shogi.or.jp/oui/kifu/66/oui202507150101.html

2025年7月 6日 (日)

Dsc00758 終局直後の対局室では、両者が口頭で感想戦を始めていた。

Dsc00770 報道陣が揃い、両者にインタビューが行われた。

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【藤井王位の談話】
――千日手局を振り返っていかがでしたか。
「▲5八玉(47手目)と立たれたところで、手が広いかなと感じたのですけれど。それほど、しっくりくる手がなかったので。本譜だと、バランスが取れているかどうか、きわどいところかなと思いながらやっていました」

――千日手になって手番が変わったことはいかがでしたか。
「後手番ですので、千日手という結果自体は悪くはないのかなと思っていました」

――指し直し局について伺います。中盤の△4七歩(54手目)に▲2四歩と攻め合う展開になりました。ここから非常に激しい戦いになりましたが、中盤戦はどのようにご覧になっていましたか。
「そのちょっと手前、△5四角(50手目)と打たれたところで、単に▲2四歩(△同歩に▲2五歩)と継ぎ歩をやるか、▲5六銀(本譜)とぶつけるか迷ってはいたのですけど。どちらも、あまり自信があるという感じではなかったので。形勢自体はあまりうまくいっていないのかなと思っていました」

――中盤以降の攻め合いはどのように見ていましたか。
「▲4三銀(63手目)自体はちょっと足りない可能性が高いような気もしたのですが。ただ、▲7六銀とか引いても、ちょっと自信が持てない可能性が高い気がしたので。進んでみると自信のない局面になってしまっていたのかなと思っていました」

――△2五歩(72手目)に▲同桂△2七歩▲3三桂成と、この辺りから攻めていく展開になりました。この辺りの形勢判断はいかがでしたか。
「もう最終盤といっていい局面なので。▲2七飛(77手目)と取った局面がどうなっているか、かなとは思っていました」

――△6六角(82手目)に▲7七歩と受けた最終盤はどのようにご覧になっていましたか。
「▲7七歩のあと、△9六桂を利かされて、その後、上を目指されて来られるような手もありそうなので、はっきりとはわかっていなかったのですけど。ただ、こちらの玉が何か受けがありそうな形なので。そういう順を見つけられれば指しやすい可能性はあるかなと思っていました」

――激戦となった第1局を改めて振り返っていただけますか。
「△5四角(50手目)と打たれたところは、何か手があるかなというつもりでやっていたのですけれど。それが思ったよりも難しい気がしたので。形勢判断の難しい将棋だったのかなと思います」

――次局に向けて一言お願いいたします。
「10日後ぐらいですので。それまでにしっかり準備をして、いい状態で対局を迎えられるようにしたいと思います」

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【永瀬九段の談話】
――千日手局はどのように受け止めていましたか。
「▲5八玉(47手目)で手を渡して、という感じだったのですが。本譜、△6四銀(50手目)のときにどう指していいかわからなかったので。千日手にするつもりはあまりなかったのですけど。ちょっとバランスを崩しやすい将棋なので。互角と思える順が正確に判断できなかったです」

――指し直し局について伺います。△5四角(50手目)と打った辺りの形勢判断はいかがでしたか。
「そうですね、難しいのかなと思っていました」

――△4七歩(54手目)に▲2四歩と攻め合う展開に進み、ここから激しくなりました。中終盤にかけての攻め合いはどのようにご覧になっていましたか。
「判断が難しいですけど、楽しみが少しあるのかなと思いました」

――△2四歩(62手目)と受け、△6七歩成(64手目)と攻めた辺りはどのようにご覧になっていましたか。
「難しいと思ったのですが、△2五歩(72手目)▲同桂に△2四銀が利かないのが、ちょっとすっぽ抜けてしまったので。それが痛かった気がします。▲2五歩(69手目)に対して△4三金(直または右)を指さなければいけなかったかなと思います」

――△2七歩(74手目)以降の最終盤はどのようにご覧になっていましたか。
「全然ダメかと思ったのですけど、難しいんですね。△2五歩(72手目)▲同桂でダメにしてしまったのかと思ったので。粘る順があればと思ったのですけど。手前でもう少し違う順を選びたかったかなという気がします」

――本局、一局を振り返っていかがでしたか。
「難しいのかなと思ったのですが、終盤で、その難しい順を拾い切れなかったのかなと思います」

――次局に向けて一言お願いいたします。
「次も後手番ですけど、しっかり準備をして臨みたいと思います」

Oui202507050102_89千日手指し直しとなった七番勝負第1局は89手で藤井王位の勝ちとなりました。終局時刻は19時51分。消費時間は▲藤井7時間50分、△永瀬7時間59分。七番勝負は藤井王位が幸先よく先勝しました。第2局は7月15日(火)から16日(水)にかけて、再び藤井王位の先手で神戸市北区「中の坊瑞苑」で行われます。

2025070581図は19時30分頃の局面。残り時間は▲藤井16分、△永瀬9分。
▲8八玉は非常に怖い手ですが、この一手と見られていました。これで先手玉は詰みません。後手玉は▲2二角までの詰めろなので、手を戻す必要があります。しかし、手を戻しても先手が寄せ切れそうと見られています。