2024年7月 5日 (金)

記者会見

検分後、対局室で記者会見が行われました。

Img_3783(まずは藤井聡王位から)

――今回の名古屋対局場にお越しになられてのご感想は。
藤井 徳川園は自宅から比較的近くにあるのですが、今回初めてきました。庭園や建物にすごく趣があり、また徳川美術館も見学させていただきましたが、収蔵品の将棋盤や駒をはじめとして興味深いものが多く、こんなに素晴らしいところがあったんだなというのを改めて感じた次第です。

――尾張徳川家の将棋盤を間近で見られて。
藤井 状態がよくてきれいなことにまず驚きましたし、盤の装飾も現代のものとは違ったところもあって、そのあたりも非常に興味深かったです。

――永世王位が懸かったシリーズについて。
藤井 これまでの4年間の経験を生かしながら、全力を尽くして戦いたいと思います。

――渡辺九段は何度かタイトル戦でも戦ってきた相手。どのような将棋を繰り広げたいか。
藤井 渡辺九段は作戦巧者で、先後どちらでもいろいろな作戦を指されている印象があります。それに明日は振り駒ですし、始まってみないと分かりません。王位戦は2日制の長い対局になるので、それを生かしてどの局面でも読みを深めたいと思っています。

――渡辺九段はおやつを対局室で食べると話されている。藤井王位の予定は。
藤井 私は控室でいただく予定です。私自身がタイトル戦に出始めた頃からそのような形でしたので。逆に渡辺九段のほうは、それ以前が対局室でいただくことも多かったので、そのスタイルを選ばれたということかなと思います。席を外すことで持ち時間を使うことにはなりますが、確実に気分転換できますのでよい面もあると考えています。

――名古屋市でおやつを募集したところ、105店もの応募があった。
藤井 すごい規模ですし、それだけこの第1局を歓迎してくださっていることをうれしく思います。対局をいろいろな形で盛り上げていただいて、ありがたいことだなと感じています。

――ファンに向けて。
藤井 明日から七番勝負が開幕します。今期は渡辺九段とのシリーズになって、どういった展開になるかは始まってみないと分かりませんが、全力を尽くして、見ていただいている方に楽しんでいただける将棋を指したいと思っています。

Img_3836b(続いて渡辺明九段)

――今回の名古屋対局場にお越しになられてのご感想は。
渡辺 挑戦者決定戦から1ヵ月ちょっとが経過しました。今回いろいろなところを寄らせてもらって、いよいよ明日から始まるんだな、という感じになってきたところです。

――尾張徳川家の将棋盤を間近で見られて。
渡辺 こういったものを見学するのは初めてのことでした。十九世紀の品と聞きましたが、すごくよい状態で残っているというのが驚きだったのと、数百年前からある将棋が現代もプロ競技として成立していることに将棋の奥深さを感じました。タイトル戦の前にそういったものを感じられたのはよい機会だったなと思います。

――開幕前のインタビューでは、「対藤井戦の作戦は白紙。これから考えたい」ということだった。1ヵ月の準備の中で万全になったか。
渡辺 なかなか万全ということはないですけど、限られた時間の中での準備はしてきました。あとはいまの状態でどれぐらいやれるのか、というところになってくると思います。

――名古屋市の将棋ファンに向けて。
渡辺 王位戦の注目度の高さに、いまこうして会見をしていても感じているので、期待に応えられる将棋を明日から指さないといけないと思ってます。自分が1年ぶりのタイトル戦ということで、ずっと出場していた頃とは違う思いもありますし、頑張っていければと思います。

――渡辺九段はおやつを対局室で食べると仰っていた。その思いは。
渡辺 コロナ禍になる前は対局室で食べていて、別室で食べるというのはその対応だと思っていた。しかし不便な面もあり、その対応ができているのであればということで要望を出させていただきました。

――夏のタイトル戦の経験が少ない中、本日の名古屋は気温37度を超えていた。体調面など不安はあるか。
渡辺 王位戦七番勝負に初めて出場するので、真夏のタイトル戦というのは初めてです。2020年には名人戦七番勝負の時期がずれて夏に指したこともありましたが、それは将棋会館だったりしたので意味合いがちょっと違うかなと。これだけ暑い中で現地入りするなど、王位戦らしいなといま感じているところです。この1週間で急に暑くなったので、自分でコントロールできるところではありませんが、体調に変化が出なければよいなとは思っています。

――七夕付近での開幕。いま短冊に願いを書くとしたら。
渡辺 うーん……強いていえば、いま足を怪我しているのでそれを治すために休みが4週間ぐらいほしいな、ということぐらいですかね。

――挑戦権を獲得したときの率直な気持ちは。
渡辺 挑戦者決定戦では2度負けていて、その負けたのもだいぶ前のことなので、そういった意味では王位戦に縁がなかったのかなと思っていた部分もありました。なので今回初出場すると決まったときはうれしかったですね。

――タイトルを失ってからの今回のタイトル戦。何か期するところはあるか。
渡辺 当時はタイトル戦に出ることに慣れてしまっていたところがありましたが、実際にタイトルを失ってからは次にいつ出られるか分からない。この機会を大事にしたいという思いは、以前よりも強くなっています。

Img_3820_2(両者が入れ替わる前に、記者のリクエストに応えて撮影が行われた)