(ガッツポーズで記念撮影)
――本局を振り返って。
序盤から難解な将棋で、先手番ながら攻め込まれてしまったあたりは自信がないのかなと。うまく粘ってチャンスを待つという展開でした。自分なりにしぶとく戦えたと思います。
――王位戦の印象について。
リーグ入りまでは、どの棋士にもチャンスがあります。自分もかなりリーグに入らせてもらっていますけど、若手棋士や実力者との厳しい当たりのなかで、なかなか結果がともなっていなかったので厳しいリーグだと思っていました。タイトル戦は2日制ということで、濃密な将棋になることが多い。師匠も獲っているタイトルですし、自分としても気持ちの入る棋戦です。
――王位戦七番勝負は2日制で戦う。
これまで指してきた対局では順位戦(各6時間)が最長ですが、そんなに結果を出せていません。王位戦のタイトル戦は各8時間の2日制ということで未知の世界です。ただ、自分はけっこう長考するほうなので、8時間を有意義に使っていきたいと思います。
――藤井王位についての印象。
第一線で活躍されていて、妥協なく最善を追い求める姿は、同じ棋士として影響を受けます。自分にないものを持っている棋士なので、番勝負でいろいろ吸収したいと思います。
――2棋戦連続で挑戦権を獲得した。好調の要因は。
集中して研究や練習将棋ができています。勝つことで好循環が続いていると思います。
――体調面も意識しているか。
やはり万全の態勢で自分の将棋を指せないと相手にならないと思っているので、日ごろの健康管理はしっかりと調整したいと思います。
――七番勝負では全国各地を対局で回る。
春に九州に帰ったときに地元の人に応援されていたので、タイトル戦の九州対局で夏に帰ってこれるのがうれしいですし、各地方にいくこと自体も気分転換になるので、対局にいい影響があるのかなと思います。
――棋聖戦とあわせて十二番勝負になる。
とんとん拍子でタイトル挑戦が2つ決まりましたが、これで終わりではなく、ここからが勝負だと思っているので、タイトル戦でしっかりといい将棋を指し、結果もともなうようにしたいと思います。
――最初はリーグで陥落したが、ここ数年は残留、そして挑戦。少しずづ階段を上っていくように結果を出した。
最初にリーグ入りしたときは上位陣の方と当たって、いいところなく陥落したんですけど、徐々に勝ち越せるようになりました。ただ、挑戦にはつながらなかったので、今期のチャンスを生かせてとてもうれしいです。
――棋聖戦で挑戦権を獲得したときは、師匠の深浦九段にアドバイスを求めたいと話していた。実際はどのようなアドバイスを受けたか。また王位戦でもアドバイスを聞く予定はあるか。
棋聖戦については、師匠と仕事前にお話しする機会をいただきました。具体的な内容は言いにくいですが……。王位戦は2日制になるので、時間の使い方だったり、わからないことも多くありますので、またアドバイスをもらえればと思います。
(記者会見でも真摯に答えていた)
――王位戦七番勝負では、どういう将棋を指したいか。
簡単には崩れないというのは意識しています。その粘り強さを2日制の王位戦でも出したいと思っています。
――大舞台で羽生九段と戦うにあたって、どういう気持ちだったか。
羽生九段は自分にないものを持っていて、読みの速さ、正確さでは劣っているなと実感していました。厳しい勝負になると思っていたんですけど、指していると自分の読みにない手があって、逆に楽しくなる感じでしたね。もちろん形勢が苦しい時もあったですけど、いろいろ吸収したいと思って指していました。
――改めてタイトル2棋戦連続挑戦について。
挑戦が続いたことに関しては、先手番での相掛かりを主体にして勝ち進めたのが大きかったと思います。よく集中して挑めたのがよかったかなと棋王戦の挑戦者決定戦(2019年12月)で敗れたときと比べて、落ち着いて挑めました。
――得意戦法の相掛かりについて。
相掛かりを始めたのは三段リーグに入ったぐらい。何か武器がないとリーグでは戦えないと思っていました。そのなかでも力戦模様で工夫のしやすい形かなと思って始めました。激しい展開もあれば、じっくりした流れになることもあり、それが相掛かりの魅力かなと思います。
棋聖戦と王位戦、あわせて十二番勝負になりますが、どこかで相掛かり……、どれぐらいの頻度になるかわかりませんが、これまで愛用してきた作戦なので使っていこうかなと思います。
――藤井王位との対戦成績は2勝2敗。盤を挟んだ印象について。
2勝2敗ではありますけど、かなり昔のデータなので、あまり参考にならないと思います。常に最善を求める将棋で、妥協しないのが藤井王位の特徴だと思います。師匠は(藤井王位に)勝ち越されているので、いろいろとアドバイスを聞いてみようと思っていますが、聞いてすぐに効果が出るとは思えないので、地道に自分の準備を進めたいと思います。
――藤井王位と十二番勝負となってワクワクしているか、それともプレッシャーになっているか。
私はプレッシャーのかかる場面ではないので、前向きというか、楽しみながら戦えるのではないかと思います。失うものは何もないので、自分の将棋に集中したいなと思っています。
――挑戦者決定リーグから全勝で挑戦した。その要因は。
見落としが単純に少なくなったのと、リーグの渡辺明名人戦が先手番だったように、要所要所で自分の好きな形にできたのがよかったのかなと思います。
――藤井聡太と佐々木大地が将棋界でいちばんアツい夏を送る。夏という季節は好きですか。
イベントの多い時期ですし、夏は比較的好きです。今回はダブルタイトル戦になるので、充実した夏にしたいと思います。
――棋聖戦は1日制、王位戦は2日制。違うスタイルの番勝負に臨む。
そもそもタイトル戦を1局もやっていないので、移動日だったりスピーチだったりの不安はありますけど、勝負が始まってしまえば変わりません。2日制は時間の使い方に気をつけたいと思います。