検分後、対局に先立って記者会見が行われました。
(まずは藤井王位から)
――1年ぶりに豊島挑戦者を迎えての戦いになる。前期を踏まえて今期の気持ちは。
藤井 前期は結果は幸いしましたが、内容は押されている苦しい将棋が多かったのかなと思います。今期はそのことを踏まえて改善していかなくてはいけないかなと思います。
――先日の順位戦A級は名古屋の対局場で指されて白星スタートを切った。対局は昨年より減っているが、調子はどうか。
藤井 そうですね。調子がいいか悪いかは難しいですけど。これから王位戦も始まってそれ以外の対局も増えてくると思うので、それに向けてしっかりコンディションを維持していきたいと思います。
――犬山は藤井さんが奨励会時代に羽生王位と木村八段の対局(第57期七番勝負第1局、肩書・段位は当時)を見学された場所。戻ってこられた気持ちは。
藤井 奨励会員時代に犬山の王位戦の対局を見学させていただいたことがあって、当時それまでそういった機会がなかったので、トップの戦いを間近で見ることができてとても勉強になった記憶があります。そういった舞台を今回、対局者として迎えられるのがうれしく思います。
――東海地方出身者の対決になる。ファンに向けての意気込みを。
藤井 今年また王位戦七番勝負が愛知県からのスタートということでうれしく思っています。東海地方出身の豊島九段との対局ということで、地元のファンの方に大変多く注目していただいていると思いますので、期待に応えられるようなシリーズにしたいと思っています。
――今期、「進」という揮毫を書いた。
藤井 そうですね、前期は苦戦を強いられてしまったところがあるかなと思うので、前期より進歩したいという思いは持っています。
――豊島さんとの対局では新たな内容の将棋を期待されていると思う。
藤井 豊島九段とは昨年多く対戦しましたけど、今年に入ってからあまり対戦がないので、昨年までとは違った戦いになるのかなと思っています。
――去年、豪雨災害で行けなかった佐賀の嬉野での対局が第4局にある。
藤井 今期、嬉野市で予定していただいていて、前期は災害があって残念ながら開催できなかったのですが、今期また開催していただけることをうれしく思いますし、自分自身もうかがえることを楽しみにしています。
――王位防衛の意気込みを。
藤井 豊島九段とは昨年、タイトル戦の番勝負で対戦する機会があって、その中でいろいろ課題が見つかったと思うので、今回の王位戦七番勝負でその見つかった課題を取り出していきたいと思います。
――どんな点が課題か。
藤井 特に王位戦と竜王戦が2日制の対局でしたけど、その中で序盤の早い段階で先行されてしまう展開の対局が多くあったと思うので、そこが一番の課題になるのかなと考えています。
――並行して2つのタイトル戦を戦う。コンディション面でダブルタイトル戦をどう戦うか。
藤井 王位戦と棋聖戦を並行してという形になりますけど、うーん、番勝負、シリーズを意識するというよりは、次の一局、目の前の一局に集中して臨むという意識でやっていけたらいいかなと思っています。
――この王位戦の最中に19歳から20歳になる。心境の変化は。
藤井 そうですね、いや……。特段心境の変化はないんですけど、20代になるということで、すごく大事な時期なのかなと考えているので、今シリーズしっかり取り組んでいきたいと思います。
――名古屋将棋対局場ができた。環境の変化をどう受け止めているか。
藤井 名古屋に対局場を開設していただいて、私も先日対局したんですけど、やっぱり移動の負担がすごく軽減されたのかなと思いますし、新たな拠点を作っていただいたことで東海地方の将棋界が盛り上がっていけばと思っています。
(書き起こし:文)