2022年5月

2022年5月31日 (火)

お~いお茶杯第63期王位戦七番勝負は、前期に続いて藤井聡太王位と豊島将之九段の対戦になりました。七番勝負の日程、対局会場は以下の通りです。

  • 第1局 6月28、29日(火、水) 愛知県犬山市「ホテルインディゴ犬山有楽苑」
  • 第2局 7月13、14日(水、木) 北海道札幌市「ぬくもりの宿ふる川」
  • 第3局 7月20、21日(水、木) 兵庫県神戸市「中の坊瑞苑」
  • 第4局 8月15、16日(月、火) 佐賀県嬉野市「和多屋別荘」
  • 第5局 8月24、25日(水、木) 徳島県徳島市「渭水苑」
  • 第6局 9月 5、6日(月、火) 静岡県牧之原市「平田寺」
  • 第7局 9月19、20日(月祝、火) 神奈川県秦野市「元湯陣屋」

以上で、お~いお茶杯第63期王位戦挑戦者決定戦の中継を終了いたします。本日はご観戦ありがとうございました。

感想戦終了後、豊島九段の囲み取材が行われました。

囲み取材

豊島九段

── 藤井聡太王位への挑戦権を獲得した感想は。

豊島 (今日の将棋は)調べてみないと分からないところもありますが、途中で結構まずい手を指してしまった感触はあったので、最後まで集中して指すことができたのはよかったと思います。

── 昨年の失冠後、半年でタイトル戦の舞台に戻ってこられました。

豊島 無冠になって、タイトル戦に出られるかどうか分からない状況だったので、うれしく思います。

── 半年で戻ってこられたことについては。

豊島 失冠したあと、12月あたりは成績も内容も悪かったので、もう少しかかるのかなとは思っていました。

── 藤井王位へのリベンジマッチになります。

豊島 王位戦は前回1勝4敗でしたし、竜王戦は0勝4敗なので。竜王戦が終わったあとも、そこまで内容が改善できている感じはないので、1ヵ月弱でしっかり頑張って内容をよくしていきたいと思っています。

── 昨年の藤井王位との「十九番勝負」はどのような糧になったと感じていますか。

豊島 実力不足を痛感しましたし、自分の将棋を変えようと思うきっかけにもなりました。

── いま現在の藤井王位については。

豊島 非常に充実されていて、竜王戦のあとも内容のよい将棋で、結果を出されている印象です。

── 一年前のご自身と比べて、ここが変わったと思う部分はありますか。

豊島 いろいろ駄目なところに気づいて改善している途中という感じです。一年前は結構気づいていない点もたくさんあったので、そこは違うのかな思います。

── 王位戦のイメージは。

豊島 2日制の七番勝負ですし、夏場の対局が続くので、体調に気をつけながら指していけたらと思います。

── ファンの方々にどのような将棋を見せたいですか。

豊島 やっぱり接戦で最後までどちらが勝つか分からないような戦いをしていけたらと思います。

── 第1局の愛知県犬山市は、ご出身の一宮市と近いところですが。

豊島 (犬山市は)結構昔ですけど、年末年始に家族でご飯を食べに行ったりとかはありました。

── 王位戦は全国と転戦するシリーズですが。

豊島 いろんな場所で対局できるので、それは楽しみです。

── 先ほどおっしゃっていた自分で「変えよう」と思っていたところとは。

豊島 はっきりと言語化するのは難しいのですが、20代の後半のときと比べて、うまく指せたと思う将棋の感じは変わらないのですが、さえない将棋、ひどい将棋が増えている印象があって。いろいろとつまずくポイントがあるので、それと1個1個潰していっている感じですね。

── 年齢的な変化ということですか。

豊島 藤井王位とのタイトル戦が終わった後も結構負けが続いたので。自分では年齢どうこうは思っていなかったのですが、そういうところもあるのかなと。

── AIを使った研究についての変化などは。

豊島 微妙な変化はありますが、そこまで大きく変わった感じはないです。ソフトは新しいものも出ていますが、以前と比べると、大会後にすごいソフトがたくさん出てくる、という感じではなくなっているので。フリーソフトで出してくださる方もいらっしゃるのですが、以前と比べると……いう感じはありますね。

── 2018年に(第59期)王位を奪取されたころと比べて成長したと感じる部分はありますか。

豊島 経験を積んだことで、知らない局面になっても割と形勢判断とかどういう風に指し進めていくかとか、判断できる局面は増えた感じがしています。

豊島九段

終局直後
(終局直後)

豊島将之九段

■勝った豊島将之九段の談話

――本局は中盤の拮抗した戦いが長く続いた。振り返って

豊島 指していても形勢判断が分からなかったですね。攻めを呼び込みすぎたような気がしていました。自玉がかなり危ない形になってしまい、上部に逃げ込んで意外と難しかったのかもしれませんが、指しているときは自信がありませんでした。

――勝ちが見えたのは?

豊島 後手玉の上部を手厚くされて、詰むか詰まないかになってしまいがちでした。読みきれてはいなかったのですが、▲3八桂(155手目)△3六馬▲2七銀と馬を追って、いけそうになったかと思いました。

――今期の王位リーグを振り返って

豊島 リーグ戦も結構苦しい将棋が多かった印象で、勝った中にも内容的には負けていた将棋もあります。負けた将棋はかなりひどい内容だったので、内容以上に成績がよくなったという感じでした。

――印象に残った対局は?

豊島 際どい将棋が多かったので、特にこの一局というのはありません。

――七番勝負の意気込みを

豊島 しっかり準備をしていい内容の将棋を指せるようにしたいです。前回は1勝しかできませんでした。あと1ヵ月弱あるので、もう少しいい戦いができるようにしっかりと準備したいと思います。

池永天志五段

■敗れた池永天志五段の談話

――本局を振り返って

池永 出だしは少し自信のない戦いだったのですが、ずっと難しい将棋で形勢がよく分からなかったです。終盤に入ったあたりの折衝で間違えて、終盤戦はずっと苦しいのかなと思ってやっていました。

――見ていてハラハラドキドキの熱戦だった

池永 注目される舞台での対局だったので、熱戦になったのはよかったと思います。

――今期を振り返って

池永 負けの将棋を拾ったこともあったのですが、成績に関しては自分にしては上出来だったかと思います。

(書き起こし:飛龍/撮影:夏芽)

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豊島九段が171手で挑戦者決定戦を制しました。終局時刻は20時30分。消費時間は▲豊島3時間59分、△池永3時間59分。勝った豊島九段は2期連続で藤井聡太王位への挑戦を決め、七番勝負は6月28日(火)から29日(水)にかけて、愛知県犬山市の「ホテルインディゴ犬山有楽苑」で開幕します。

▲6三同角成

その後も一進一退の攻防が続いていましたが、図の▲6三同角成で豊島九段が勝ちに近づいているようです。(1)△6三同玉は▲6四歩、(2)△6三同金には▲7二飛成で厳しい王手が続きます。

豊島九段

池永五段