2021年5月
豊島竜王インタビュー
感想戦終了後、挑戦権を獲得した豊島竜王の記者会見が行われました。
--今日の将棋を振り返って
豊島 先手から▲1六歩(31手目)と突かれたタイミングであったり、▲2四歩(39手目)と突き捨てられたタイミングであったり、序盤から工夫を凝らして指してこられ、それにどう対処していくかを苦心して指していた。基本的にずっと受ける展開だったが、途中で竜を作って玉を上部に逃げ出していくような展開になって、いけるのかなと。
--羽生九段との対戦について
豊島 強敵なので自分のよさが出る形にして引っ張っていこうと思っていた。
--藤井聡太王位の印象について
豊島 全体的に非常に精度が高く、最近の将棋だとずっと優勢を維持したまま勝つという将棋が多い。非常に強敵という印象。
--どのような七番勝負にしたいか
豊島 藤井王位は強敵だが、自分の力が出るような展開にできるよう、しっかり準備をして臨みたい。
--藤井王位との対戦について
豊島 自分は長い時間でゆっくり考えるのは好きで、藤井王位も順位戦など長い時間の将棋のほうがより精度の高い将棋を指されている印象がある。自分がいまの段階でどれだけやれるか、自分なりに精一杯指してどうなるかやってみたい。
--タイトル戦を並行して戦う点について
豊島 日程が詰まって大変なところはあると思う。ただ、竜王戦が終わってから対局が少なくなって(調整が)難しいところもあった。たくさん対局できるのはうれしいこと。体力に気をつけて頑張りたい。
--愛知県出身の二冠王同士の対戦となった点について
豊島 藤井王位は国民的なスーパースター。同じ愛知県出身同士の対戦で地元の方もよろこんでいただけると思う。地元の方には普段からお世話になっているので、開幕に向けて頑張りたい。
感想戦
終局直後インタビュー
(勝った豊島将之竜王。第60期以来の七番勝負を戦う)
□豊島将之竜王のインタビュー
――本局を振り返って
豊島 序盤は先手に工夫をされて、うまく対応できないと苦しくなると思いました。本譜がうまく対応できているのかは分からなかったです。
――どこから手応えがあったか
豊島 途中はちょっとよく分かっていなかったですが、竜を作って、1三に玉を移動すれば寄せられにくいので、そのあたりでよくなったと思います。
――藤井聡太王位との七番勝負について
豊島 大変な相手ですけど精いっぱい指して、何とかよい勝負ができればと。
(羽生善治九段は細い攻めをつなげられなかった)
■羽生善治九段のインタビュー
――序中盤の手応え
羽生 どう打開をするのかという将棋でした。2筋の歩を突き捨てたのがどうだったか。作戦の組み立てに問題があった可能性はあります。ちょっとずつ攻めが細くなってしまい、苦しくなっていったと思います。
――今期リーグは若手との対戦が多かった
羽生 どの対局もすごく大変で、そういう意味では充実したリーグだったかなと思います。
豊島竜王が挑戦者に
18時18分、110手で豊島竜王の勝ちとなりました。消費時間は▲羽生3時間22分、△豊島3時間12分(持ち時間各4時間)。勝った豊島竜王は、七番勝負で藤井聡太王位と対戦します。第1局は6月29・30日(火・水)、愛知県名古屋市「名古屋能楽堂」で行われます。