2019年6月 4日 (火)

羽生九段の記者会見

【日本将棋連盟HP|羽生善治九段、通算1434勝達成】
https://www.shogi.or.jp/news/2019/06/14341.html

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――歴代最多勝(1434勝)を達成した。

「今年はそれをひとつの大きな目標としてやってきました。大山先生(大山康晴十五世名人=1433勝)の頃といまでは、棋戦の数も時代背景も違いますし、比較することは難しいと思いますが、数字の上でひとつ先にいけたことは、棋士としてありがたいことだと思っています」

――次はタイトル通算100期(現在99期)という目標がある。

「最近は若手で強い人がたくさんいる状況ですので、タイトル戦に出るのもなかなか容易なことではありません。王位戦はここまで勝ち進むことができたので、2日後の挑戦者決定戦に集中して、檜舞台にまた出られるように頑張っていきたいと思います」

――大山十五世名人について。

「私が10代のとき、晩年の大山先生と公式戦で何局か顔を合わせましたが、60代後半でも昔の棋譜で見た強さと変わらない迫力がありました。私自身は大山先生の領域にはまだまだ達していないと思います。息長く活躍できるように頑張っていかないといけない思っています」

――師匠の二上達也九段について。

「入門したのは11歳のとき、もう三十数年前です。当時は情報が少なくて、将棋界にどういう人がいるのかもわかっていませんでした。機会があって入門できまして、かなり時間がたってから、師匠の弟子になれたのは幸運なことだったのだと実感するようになりました」

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――勝負に対する、衰えることのない執念、集中力について。

「将棋は1手間違えると逆転することが多いですから、形勢が悪いときでも、最善を尽くしてチャンスを待つ姿勢が大事だと思います。プロ同士の対局で逆転するのは大変ですが、根気強くやっていくことを心がけています」

――2000局近く積み重ねてきて、どこがターニングポイントだったか。

「15歳でデビューしたときは棋士の世界をよくわかっていなかったので、個性的で迫力のある大先輩たちと対局するなかで、これは大変な世界に来てしまったな、というところは最初の出発点としてはあったと思います」

一一2年前の永世七冠達成時に「将棋の本質は見えていない」と語った。

「非常に難易度の高い局面や状況を迎えることが多くなりました。間違いやすい局面に出会うことが多くなっているということは、ここ1年くらいの大きな流れとしてはあるのかな、と思います」

――いま考える「将棋の本質」とは。

「いろいろな可能性がありますし、手段を尽くせば簡単には終わらないという側面もあると思っています」

――ここまで勝数を重ねられた要因とは。

「負けたときの修正や反省はしないといけませんが、ある程度はきれいさっぱり忘れて次に臨んでいく。長く続けていく上では大切なことだと思ってます」

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――モチベーションにしているのは、勝利か、将棋を理解したいという思いか。

「一局指せば新しい発見があるので、そこは間違いなくモチベーションになっています。ただ、将棋そのものを解明しようとは思っていなくて、限りなく不可能なことと思っています。自分なりに前に進んでいけたらとは思います」

――更新すべき記録はもうないのではないか。

「ここ最近のほうがやるべきことが多いというか、若くて強い人がたくさんいるので、そういう意味では課題はたくさんあるので、前に進んでいく原動力になればいいなと思っています」

――動画中継を見ているファンにひと言。

「いつもご視聴いただいてありがとうございます。最近はありがたいことに中継していただく機会が増えています。ファンの皆さまに楽しんでいただけるような将棋を指していきたいと思っていますので、今後ともよろしくお願いします」

――今日は対局中、新記録のことは考えたか。

「まったくと言っていいくらい考えませんでした。今日は中盤の途中で攻められる展開になって、ここで(相手に)うまい手があったらまずいという局面がありましたが、なんとかバランスを取ることができました。その先はいろいろありすぎて、ずっと際どいと思いながら無我夢中で指していました」