澤田六段にチャンス ずっと難解で均衡が保たれていた本局ですが、△5九角打の痛打が放たれました。金取りで△7七歩成、△7七角成、△8六角成と複数の狙いがあります。△5九角打までの残り時間は▲豊島20分、△澤田4分。 (大阪の雨は上がり、暗くなってきた)
18時50分頃の進行 豊島八段が34分の考慮で▲6四歩と突くと、パタパタと△3一玉▲5四角△同歩▲4五銀と進みました。棋士室では▲4五銀に代えて▲6三歩成(△同金に▲5二銀が飛車金両取り)が予想されており、「▲4五銀では……」と先手が自信を持てない旨の声が上がっています。さらに△7五歩▲同銀△7六歩の進行でした。対して▲7六同金は△6七角が金銀両取りなので、▲6六金か▲7八金か。どちらを選ぶかで大きく違う展開になりそうです。 (豊島八段は飛車の押さえ込みを優先した)
18時過ぎの棋士室 難解な形勢と見られており、駒を動かして検討したいところのようです。奨励会員によって本局の継ぎ盤が用意されました。 (勢いよく検討が進められる) (継ぎ盤の向こうから平藤七段が意見を出し、里見咲女流初段が見守る) (脇八段もパソコン越しに継ぎ盤を注視する)
井上九段来訪 棋士室を井上慶太九段が訪れました。福岡県飯塚市で行われている第29期女流王位戦五番勝負第3局に日本将棋連盟常務理事として足を運んでおり、朝まで現地にいたとのことです。 (にこやかに本局のモニターに視線を向ける。モニターには上座が上に映るため先後反転) (やがて真剣な表情で考える) 澤田六段は24分の考慮で△4一飛と回りました。残り時間は▲豊島1時間2分、△澤田14分。
高度な手順 上図から澤田六段は△6六角▲7七角△同角成▲同金と、8七の金を7七に呼んでから△7四歩と打ちました。△7四歩は▲7四歩を打たせない意味がありますが、7七に金を呼んだ効果が見えにくく、棋士室では難しい手順だと見られています。ニコニコ生放送では将棋電王トーナメントを制した将棋ソフト「電王ぽんぽこ」がこの順を示していました。 (金を7七に呼んだ澤田六段の真意やいかに)
豊島八段が長考を返す 澤田六段が8筋の歩を交換し、飛車を下段に引き揚げました。対しては8筋に歩を打つだけでも▲8二歩、▲8四歩、▲8六歩など複数の選択肢があり、手の広い局面だったようです。豊島八段は42分の長考で▲8六歩と指しました。自玉の弱点を修復していちばん手堅い手だと見られています。 (豊島八段はようやく持ち時間の半分の2時間を使ったところ) (同じ頃、棋士室に里見咲紀女流初段が顔を出した)