2017年7月 4日 (火)

前夜祭(2)

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【主催者挨拶】平田浩二・中日新聞名古屋本社編集局長

「本日は台風が心配されるなか、このように大勢の皆様方にお集まりいただき、まことにありがとうございます。王位戦は昭和35年(1960年)から続いています、将棋界のタイトル戦の1つです。今年からタイトル戦が1つ増え、七大タイトルから八大タイトルになりました。今回の王位戦は羽生善治王位と菅井竜也七段の対戦となり、明日午前9時から、このグリーンホテルの対局場で指されます。 羽生王位は本当に長く将棋界を牽引されてきたトップ棋士で、七大タイトル時代、同時にすべてを制覇された棋士は羽生王位しかおられません。今回は通算で19期目がかかったタイトル戦になります。羽生王位は人工知能についても早くから注目され、非常に造詣が深い。常に斬新、意欲的、果敢な指し回しで、ここのところずっとタイトルの数を重ねておられます。 一方で挑戦者の菅井七段。王位戦の七番勝負は初めての登場です。挑戦者決定リーグでは激戦区だった白組で、渡辺明竜王、佐藤天彦名人ら強い棋士を次々に破って優勝されました。挑戦者決定戦では、ここ地元の澤田真吾六段を破って挑戦権を獲得しました。地元の方たちにとっては澤田六段が敗れたことで、少し複雑な気持ちかもしれませんが、全国の将棋ファンが見守る、王者と新鋭の対決です。すばらしい熱闘が繰り広げられるものと期待しております」

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【主催者挨拶】脇謙二・日本将棋連盟常務理事

「明日からいよいよ第58期の王位戦七番勝負が開幕いたします。絶対王者の羽生王位に関西の若手新鋭の菅井七段が挑む、非常に興味深いシリーズになったと思います。私は理事になる前に奨励会幹事を7年務めさせていただき、その間に約10人がプロ棋士になりました。ですが、6級で入会してから卒業するまで見守ることができたのは、菅井七段と澤田六段、2人だけです。そのふたりがついこの間、挑戦者決定戦で相まみえることになりまして、非常に感慨深い思いがありました。 菅井七段は振り飛車党で、アマチュアの方は居飛車対振り飛車の対抗形を好まれる傾向にあるように思います。ファンにとって楽しみなシリーズになったのではないかと思います。私たちプロも、菅井振り飛車に対して羽生王位がいかなる作戦を用意しているのか、とても楽しみです。これから王位戦は全国を回って戦いが行われます。両対局者においては体調に気をつけて、全国のファンを熱狂させるような、すばらしい熱闘を期待しております」

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【歓迎の言葉】石原正敬・菰野町長

「今日は天候が『どうなるかな』と心配でしたが、かくも盛大に第58期王位戦の前夜祭が開催されましたことをお喜び申し上げます。羽生王位、菅井七段を迎えて、多くの方々が菰野町にお越しいただきましたことを改めて感謝申し上げます。湯の山温泉は来年が開湯1300年を迎える、歴史ある温泉地です。また来年は鈴鹿国定公園が50周年の節目の年を迎え、菰野町としても観光振興など、しっかりと取り組んでいく年に第58期王位戦第1局が開催されることはまことに喜ばしいことです。関係各位のご尽力に改めて感謝申し上げます。 羽生王位は年齢でいいますと私の1つ上に当たり、私が若い頃から本当に『この人はすごいな』と。羽生王位とイチロー(野球大リーガー)と武豊さん(競馬騎手)、この3人は我々の同世代としては本当に憧れの的でした。そういう方が菰野の故郷に来ていただき、私も一ファンとしてドキドキしているところです。 一方で菅井七段は若い棋士ですが、新進気鋭の独特の棋風を持たれている。事前の新聞の対談などから、羽生王位がどういう作戦を練ってくるかが注目の的になっていると聞いております。2日間にわたる勝負、ぜひともスピーディーでハラハラするような、ファンを喜ばせる対局を期待しております。手に汗握る熱戦、両者のご健闘を祈ります」

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【乾杯の言葉】稲垣清文・三重県副知事

「この伝統ある王位戦が三重県菰野町、湯の山温泉で開催されますことは本当に我々の喜びでございまして、主催者関係各位、心より御礼を申し上げたいと思います。将棋界、近頃の若い力が非常に隆盛を極めておりまして、昨今、新聞でも藤井(聡太)四段の連勝記録が非常に取り上げられております。実を申しますと、藤井さんの連勝記録のときに、先ほどおっしゃられました当地の澤田六段もやられていまして、そのときには『澤田六段、頑張れよ』と心の中で応援しておりました。菅井七段には申し訳ないですけど、菅井さんのとき(挑戦者決定戦)も『澤田六段、頑張れよ』と(笑)。そういうことはさておきまして、将棋界の重鎮であられます羽生さんに新進気鋭の菅井さんがどのように挑んでいくのか、私も心の中でドキドキワクワクしておりますので、皆さん、おふたりの対戦、対局を非常に心待ちにしているところでございます。少しだけ三重県の宣伝をさせてください。私ども昔から「うまし国」と呼ばれていまして、実は伊勢神宮の外宮に鎮座されています神様は、豊受大御神(とようけのおおみかみ)と言いまして、この方は食の神でございまして、従いまして私たちも三重県では食材も宝庫でございまして、先ほど行われましたサミットでも国内の評価が高まっているところで、対戦されるおふたりに、今日は前夜祭でございますので、明日に向かって今日の食事も楽しんでいただいて、英気を養っていただければと思います」

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(乾杯!)


(書き起こし:飛龍記者/撮影:夏芽)