両対局者が会場をあとにすると、青野九段、森下九段、豊川七段、安食女流初段が第2局のみどころを語った。
青野 私の師匠である広津久雄九段が博多の出身でした。お兄さんが造船をされていたそうです。そうしたことから親しい人も多くて、縁があります。
青野 豊川さんはこちらに住んでいるそうですが、奥さんも一緒なんですか。
豊川 そうですね。カミさんがこちらの出身で、福岡に住んで6年くらいになります。コンパクトな都市なので、悪いことはできません。
森下 王位戦は挑戦者が先勝しました。こういう形だと盛り上がりますね。
本人は必勝を期していると思うが、羽生さんの実績がすごいので、菅井さんが勝ってホッとしたところもあります。
豊川 20代の棋士が挑戦者になる流れなんですね。王座戦も中村太地六段と青嶋未来五段との対戦です。
青野 挑戦者が4-0はおお、やるなと思いますが、挑戦者が0-4で負けるのはなんだとなりますよね。昔のある棋戦担当者が「0-4なら自分もできる」といったことがあったそうです。
安食 見どころはいかがでしょうか。
豊川 羽生さんは背水の陣だと思います。2回り年下の挑戦者が出ると危ないといわれています。
菅井さんはわずかに2回り年下ではありませんけど。先ほど、菅井さんは緊張しているといっていましたが、全然そうではなかったと思いますよ。お顔はプリティですが、将棋は図太くて登り坂です。
第1局は羽生さんが競り負けたんですね。
なので、羽生さんが危ないんじゃないかと心配しています。「羽生はないっすねー」というのはつまらない冗談ですが、第2局が勝負だと思います。
青野 私も最近2回りずつで王者が出てくると書いたことがあります。それくらい年が離れていると、なかなか闘志がわかないみたいです。次の世代たちで棋界を盛り上げてくれるだろうみたいに感じてしまうようです。
豊川 第1局は羽生さんが菅井さんに打ちのめされた将棋ではないかと思っています。菅井さんは先後あまり関係ない力戦の振り飛車党だと思います。
青野 彼の場合は中飛車がほとんどで、たまに三間飛車という印象があります。
森下 去年の順位戦で中川大輔八段に負けたんですね。それから自分は振り飛車と思った見たいで、振り飛車一本に決めて迫力が出たように思います。迷ったり悩んだりするとロクなことがないですから。
青野 羽生さんのすごさは同年代が挑戦者になるのが大変な年代になってもタイトルを3つも持っていることで、若手の挑戦をはねのけて、強さが抜けているんですね。通算勝率が7割を超えていますし。
同世代のライバルともかなり勝率差がありますから。
谷川さんは十数年前に王位を獲得したときに、40を超えてもまだタイトルを取れる力が残っているのがうれしいという意味のことをいっていましたけど、羽生さんは45を超えていますからすごいですね。
(手ぶりを加えてユニークな豊川七段)
安食 あさっては大盤解説会が開かれます。豊川七段のダジャレを楽しみにしている方もいるんじゃないですか。
豊川 あさって15時からここで行われます。大先生の前でとるいちなんていったら大変なことですけど、あさってはぜひお越しください。先生すみません。
青野 いやいやとんでもない。私も解説会に少し顔を出したいと思います。ひとりでも多くの方に臨場感を味わっていただければと思います。
以上で本日の更新は終了します。明日からの王位戦第2局をお楽しみに。
(書き起こし・銀杏、写真・吟)