2017年7月

2017年7月 5日 (水)

両者はこれまで公式戦で2度対戦し、結果は1勝1敗。戦型はいずれも菅井七段のゴキゲン中飛車に対し、羽生王位が超速▲3七銀戦法を選んでいます。


◆大和証券杯ネット将棋最強戦 ▲羽生善治名人-△菅井竜也四段(2011年5月15日)

両者の初手合いはインターネット対局でした。仕掛けてすぐに飛車銀交換の定跡手順で進み、中盤は菅井四段が相手の歩切れを突く手厚い銀打ちでペースをつかみます。そこから羽生名人が飛車を切って猛攻に出ますが、最後は菅井四段が競り勝ちました。その後、菅井四段は大和証券杯で優勝し、五段に昇段しています。


◆朝日杯将棋オープン戦 ▲羽生善治王位(二冠)-△菅井竜也五段(2012年2月11日)

2度目の対戦は朝日杯の準決勝でした。当時「菅井流」と呼ばれていた形(△4四歩)に対し、羽生王位が新手(▲7八銀)を披露。そこから菅井五段がうまく食いついて勝負形に持ち込みますが、終盤で決め手を逃し、最後は羽生王位の受けきり勝ち。この対局を制した羽生王位は、決勝戦で広瀬章人七段(現八段)を破って優勝しています。


過去の2局はいずれも早指し棋戦で、長い持ち時間での対戦は本局が初となります。戦型選びだけでなく、両者の時間の使い方にも注目したいところです。

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第1局の対局場である「湯の山温泉グリーンホテル」は三重県菰野町にあり、湯の山温泉の掛け流しがある湯元温泉旅館です。全国でも有数の2種類の源泉を敷地内に持ち、泉質はアルカリ性単純温泉。神経痛や筋肉痛、疲労回復といった健康上の効果だけでなく、肌をきれいにする美容上の効果もあるようです。

将棋のタイトル戦が行われるのは今回が初めて。湯の山温泉での王位戦は、第29期(1988年)の七番勝負第1局▲森けい二九段-△谷川浩司王位戦以来、29年ぶりとなります(当時の対局場は「寿亭」)。

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(1階の浴場、露天風呂へと続く廊下)

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(敷地内の散歩道に咲いている紫陽花)

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(対局室の窓から見る外の景色)


【湯の山温泉 湯元 グリーンホテル】
510-1251三重県三重郡菰野町千草7054-173
電話059-392-3111/FAX059-392-2329
https://www.green-hotel.jp/

時刻は11時を回り、20手目△8二玉まで進みました。菅井七段は自ら角を交換し、向かい飛車に振り直しています。控室の杉本昌隆七段は「本譜は1手損しても、この形に持ち込めたというのが菅井さんの主張でしょうね」とコメント。まだしばらくは駒組みが続きそうです。

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(控室では杉本昌隆七段と甲斐智美女流五段が継ぎ盤を挟んでいる)

◆菅井 竜也(すがい たつや)七段◆

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1992年4月17日生まれの25歳。岡山県岡山市出身。井上慶太九段門下。2010年、四段(プロ入り)。2015年、七段。棋士番号278。タイトル戦は今回が初登場。棋戦優勝は2回。

王位戦の初参加は第52期(2010年)。5年目となる第56期では初めて挑戦者決定リーグ入りし、白組のプレーオフを制して優勝。今期は2度目の挑戦者決定戦で、澤田真吾六段を破り、初の王位挑戦権を獲得しました。棋戦成績は26勝8敗(勝率0.765)。


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【第56期(2015年)王位戦挑戦者決定リーグ白組プレーオフ】
初のリーグ入りとなった第56期は、4勝1敗で佐藤康光九段と並び、プレーオフを制して優勝。しかし挑戦者決定戦で敗れ、タイトル挑戦には届かなかった(写真:紋蛇記者)。

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【第58期(2017年)王位戦挑戦者決定戦】
3度目となる今期のリーグは、竜王、名人らを相手に厳しい戦いを4勝1敗で優勝。挑戦者決定戦では同世代の澤田真吾六段を破り、ついにタイトル初挑戦を決めた(写真:潤記者)。

◆羽生 善治(はぶ よしはる)王位(王座・棋聖)◆

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1970年9月27日生まれの46歳。埼玉県所沢市出身。(故)二上達也九段門下。1985年、四段(プロ入り)。1994年、九段。棋士番号は175。タイトル戦登場は131回。獲得は王位18期(永世王位)、竜王6期、名人9期(十九世名人)、王座24期(名誉王座)、棋王13期(永世棋王)、王将12期(永世王将)、棋聖15期(永世棋聖)の計97期。棋戦優勝は44回。

王位戦の初参加は第28期(1986年)。7年目の第34期で郷田真隆王位を4勝2敗で破り、初の王位を獲得。その後は9連覇、2度の復位があり、現在は第52期から数えて6連覇中です。棋戦成績は127勝59敗(勝率0.683)。


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【第52期(2011年)王位戦七番勝負第7局】
広瀬章人王位を4勝3敗のフルセットで破り、タイトルを奪取。当時、歴代1位だった(故)大山康晴十五世名人の通算タイトル獲得80期に並ぶ(写真:八雲記者)。

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【第57期(2016年)王位戦七番勝負第7局】
前期は木村一基八段の挑戦を4勝3敗で退け、自身2度目となる王位6連覇を達成(写真:牛蒡記者)。