2015年8月
第5局の急所
「図の△6九同銀不成に▲9六香が敗着ですね。▲2五金△同桂▲8六歩△同歩▲7七玉△7八銀不成▲8六玉△8四歩▲同馬△9三金は激戦でしたね」と感想戦後の広瀬。
上記の変化を「ギリギリで簡単に終わるような将棋ではない」と感想戦での羽生。
▲9六香に代えて立会人の桐山九段が▲7七玉を感想戦で指摘。
「▲7七玉は私としては五段目の竜に近づくので抵抗のある手ですが、非常に有力でした。以下△5六金(▲同歩は△2六竜▲同金△7八金以下詰み)▲7五歩△同歩▲8五角成△8二飛▲8四桂△2六竜▲同金△7六金▲同馬△同歩▲同玉△6七角▲7五玉△6六金▲同玉△8五角成▲2三歩△同桂▲2四歩△8四馬▲同馬△同飛(変化1図)を調べたのですが、そこで▲2三歩成△同金▲7二飛の王手のときに後手が対応に困ります。歩以外の合駒をしてしまうと先手玉の詰めろが解けてしまうので、△3二歩(変化2図)と合駒するのですが、▲3一銀△同玉▲4二金△2一玉▲7一飛成△1二玉▲2四桂△同金▲1三金△同玉▲1一竜△1二桂▲3一角△2三玉▲2二竜△3四玉▲3九香(変化3図)のときに歩合いができないので、後手玉が即詰みです。こうやって勝っていれば会心の寄せでした(笑)。ただ実際は変化が多いのでどちらが勝ちか分からないです。なので▲7七玉は有力でした。結果的にはここでの応手が勝敗を分けました。3つの中で1番悪い手を選んでしまいました」と感想戦後の広瀬。
「▲7七玉と上がられていれば負けでしたね」と感想戦での羽生。
感想戦(2)
感想戦(1)
両対局者、大盤解説会場へ
終局直後(インタビュー)
―一局を振り返っていかがだったでしょうか。
うーん…。△6五歩(44手目)と仕掛けていって積極的に動いたつもりだったんですけど、玉頭の反撃が思いの外きつくて、封じ手のところはちょっと失敗してしまったと思っていました。
―▲3五桂(81手目)と攻められたあたりはいかがでしたか。
そうですね、ずっと辛抱しないといけない将棋になってしまったのかなと。受けにまわって、という感じでした。
―そのあと後手玉が寄らなくなって、急所の見えにくい将棋になりました。
竜も押さえ込まれてしまったので、ちょっと足りないかなと思って指していたんですけど、具体的にはちょっとまだ。
―どのあたりで好転したと思いましたか。
△5二飛(114手目)とまわったところは結構おもしろくなったんじゃないかと思いました。
―4勝1敗で防衛となりました。シリーズを振り返っていかがでしたか。
そうですね。苦しい将棋も多かったですし、第3局もひどいミスで色々反省するところが多いシリーズだった気がします。
―一局を振り返っていかがでしたか。
途中は優勢を意識していたんですが、攻め急いでしまって。もうちょっとじっくり指すべきだったかもしれません。
―具体的にどのあたりですか。
▲2五桂(75手目)を跳ばないで、ええ。いや、いけるかなと思ったんですが、ちょっと読み抜けが一箇所あって、そのあと後悔しました。
―そのあとも終盤、複雑だったと思うのですが。
ちょっと、うーん…足りないかなと思っていて。頑張ってぎりぎりの勝負かなという感じでした。
―シリーズを振り返ってください。
課題もたくさん見えたというか、今の実力ならしょうがないかな、ということです。