2015年7月

2015年7月 7日 (火)
2015年7月 6日 (月)

立会人の福崎九段、副立会人の松尾八段がステージに上がります。二人から対局の展望が語られました。19時過ぎ、前夜祭は盛況のうちに終了しました。

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松尾 皆様、前夜祭にお集まりいただきましてありがとうございます。福崎先生よろしくお願いします。
福崎 よろしくお願いします。ところで我々は立会人と副立会人ということやけど、明日はどちらが勝つの?
松尾 えっ。えーっと……。
福崎 (固まる松尾八段に対し)あ、大丈夫大丈夫。2日制だから、明日は多分決着がつかないんじゃないかな。
松尾 あ、ちょっと緊張していて頭が回らなかったです。
福崎 えーと、広瀬さんが今20代ですが、羽生さんは何十代でしたっけ?
松尾 40代……ですかね。
福崎 いつも羽生さんの笑顔が爽やかすぎて、羽生さんの年齢がよく分かんないんですよね。
松尾 確かに羽生先生は年齢を感じさせないですね。お若いなと感じます。

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福崎 ところで広瀬さんは昔、王位だったんだよね。戦型は穴熊を得意にしていたと思うんだけど。
松尾 そうですね。穴熊を主力にして指されて、王位のタイトルを獲得されました。それとやっぱり穴熊と言えば福崎先生ですね。
福崎 別にそっちにふらなくても(笑)。
松尾 私は福崎先生の穴熊にずっと憧れていまして。
福崎 酔っ払ってるからいいこと言うね。
松尾 まだそんなに酔っぱらってはいないです(笑)。ファンの皆様も広瀬さんの穴熊を期待されている方がいらっしゃるのではないかなと思います。福崎先生が立会いでもありますし。戦型がどうなるのか。
福崎 広瀬さんが考える作戦はよくわからない感じですよね。
松尾 そうですね。最近は棋風も変わって、穴熊もあまり指されなくなりましたし、戦型がどうなるのかちょっと分からないです。
福崎 松尾さんと広瀬さんは棋風が緻密で似ているんじゃない?
松尾 私はそんなに緻密ではないと思いますが……。最後にシリーズの展望ですが、私はやっぱり広瀬さんの穴熊に期待したいです。序盤は広瀬さんの穴熊が出るかどうかというところですね。中終盤の強いお二人で、特に終盤は目の離せない戦いに注目したいと思っています。福崎先生はいかがですか?
福崎 そうですね。憎らしいほど強い羽生さんに対し、広瀬さんがどう戦っていくかというところがポイントになるかと思います。ということで、展望を終えたいと思います。

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■閉会の辞

中日新聞社 石川保典 豊橋総局長

(書き起こし=潤、写真=文)

ステージに上がった両対局者に花束が贈られました。羽生王位へは兼子真由美さん、広瀬八段へは高須羽沙さんがそれぞれプレゼンターを務めます。決意表明ののち、両対局者は会場を後にしました。

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■羽生善治王位

皆様こんばんは。第56期王位戦第1局の前夜祭にお越しいただきまして、誠にありがとうございます。
こちらの銀波荘では今まで数多くの対局を行ってきました。またこれまでタイトル戦においても、数多くのタイトル戦が行われてきた場所でもあり、安心して対局に臨める場所というふうに思っております。
広瀬さんとは4年ぶりのタイトル戦となります。今回のシリーズはまた新たな気持ちで臨めればと思っております。
今日はあいにくの雨空ですが、暑い日が続く中、全国各地を転戦する棋戦というのが王位戦での特徴でもあると思っています。気力を振り絞って、また、明後日には大盤解説会が現地で行われますので、ファンの皆様に楽しんでいただけるような将棋が指せるように一生懸命頑張りたいと思います。関係者の皆様には大変お世話になります。

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■広瀬章人八段

皆様こんばんは。第56期王位戦第1局の前夜祭にお越しいただきましてありがとうございます。
私はタイトル戦は4年ぶりということで、こうして地元の方に熱烈な歓迎をいただいていることと、またステージの上でご挨拶させていただいて、少しずつ久々のタイトル戦を実感している次第です。
改めまして銀波荘様の60周年、おめでとうございます。60年という数字は私の年齢の倍以上で、想像できない大変な数字であります。長い歴史の間では大山先生や中原先生、そして谷川九段や羽生王位といった数多くの名棋士達が対戦を行ってきた場所で、その対局場にこうして対局者として来られたことは、棋士冥利に尽きるといったところです。
先ほど検分で対局室に入ったんですけど、景色が本当に綺麗で、対局するにはこれ以上ない場所だというふうに感じました。冒頭にも申しましたが4年ぶりのタイトル戦になります。4年前と言えば羽生さんにタイトルを取られたときでありますが、ただリベンジというには私の実績では足りず、初挑戦の頃を思い出して、今日ここにいる皆様、全国の将棋ファンの方々に、いいシリーズだったと言っていただけるような戦いにしたいと思っています。関係者の皆様どうぞよろしくお願いします。

(書き起こし=潤、写真=文)

歓談では両対局者の笑顔が見られました。会場には地元愛知県出身、杉本昌隆七段と中澤沙耶女流1級の師弟の姿も。料理は三河湾で穫れた海の幸を中心に、味噌だれのかかったフライなど、愛知県の特色が出たものも並んでいました。

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(名古屋市出身の杉本七段)

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(中澤女流1級は杉本門下。一宮市出身)

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■歓迎の言葉

旬景浪漫 銀波荘 大浦武夫 会長

何回か将棋のタイトル戦をお引き受けしておりますけれども、対局はやっぱり大変だなと思います。以前二十数年前に羽生さんが対局で来られたときに、女将が聞いたそうですが、羽生さんが対局で「6キロやせました」とおっしゃったそうです。対局にいかに大変な労力がいるかと、しみじみ思いました。どうか両先生方には意見を言っていただいて、元気になったところで、名棋譜を残していただければと思います。今日はお足元の悪い中たくさんの方にお越しいただきまして、まことにありがとうございます。どうぞお時間の許す限り、ごゆっくりとご観戦いただければと思います。

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18時、2階コンベンションホール「有明」で前夜祭が始まりました。

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■主催者あいさつ

中日新聞社 河津市三 常務取締役編集担当

この銀波荘での対局は王位戦を2年前にやったとき、羽生さんと行方さんが対局されたときでそれ以来で、今回は羽生さんと広瀬さんとの対局ということで楽しみにしています。
(扇子を会場に広げ)この扇子ですが、今日お見えの谷川会長や羽生さんは覚えていらっしゃることだと思いますが、平成21年に王位戦が50周年を迎えた時に、東京の椿山荘で記念パーティーをやった時に作られたもので、歴代の11人の王位の名前が書かれておりまして、最初の大山さんから始まり、谷川会長や羽生さんの名前も当然入っていて私の宝物でもあります。
これがその6年前のものでして、そのちょっと後に広瀬さんが王位を獲られまして、ですから広瀬さんの名前はここにはまだありません。ただあと4年ほど経って60年記念などをやるでしょうから、その時はめでたく広瀬さんの名が12人目として入ることになります。
今回のタイトル戦は広瀬さんとしては復位といいますか、もう一度王位を獲ると。順位戦でも最後は行方さんが挑戦者になりましたが、広瀬さんが挑戦者になるんじゃないかという成績を挙げられて、20代後半というか最後に近いところで、これからますます勢いをつけられるのかなと思う次第です。それを迎え撃つ羽生さんは、現在は四冠、かつては七冠も保持され最高峰の羽生王位ということで、非常にこの対戦を楽しみにしております。

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(歴代王位の揮毫が入った扇子。2009年に作られた)

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■主催者あいさつ

日本将棋連盟会長 谷川浩司 九段

今回の王位戦は羽生さんに広瀬さんが挑戦するという、大変楽しみなカードとなりました。羽生さんと広瀬さんと言えばやはり王位戦でありまして、5年前にはこの両者によって挑戦者決定戦が行われ、広瀬さんが勝って挑戦者になり、そして深浦さんに勝って初タイトルを獲得しました。またその翌年には羽生さんが挑戦者になって、王位に復位となりました。5年前の挑戦者決定戦は私もよく覚えていますが、広瀬さんが鮮烈な終盤の寄せを見せ、全国区に躍り出たという気がします。翌年のタイトル戦もフルセットの大激戦の末に羽生さんがタイトル獲得となりましたが、大山十五世名人のタイトル獲得80期に並んだということで、非常に印象に残るシリーズとなりました。両者のタイトル戦はそれ以来ですが、広瀬さんはこの4年ほどの間にずいぶん将棋のスタイルが変わりましたので、また新たな戦い、熱戦を見せていただけるのではないかと期待しております。
この度は旬景浪漫・銀波荘様で第1局を行わせていただくことになりました。銀波荘様は創業60周年ということで、改めましておめでとうございます。5月にはちびっこ銀王戦という小学生の大会をこの会場で行っていただき、60名以上の小学生に参加していただきました。銀波荘は私も20局ほど対局を行っているとは思いますが、魅力があって、対局場に落ち着きがあって、安心して将棋に打ち込める環境であります。この素晴らしい対局場の中で、熱戦が繰り広げられることを期待致します。

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■歓迎の言葉

蒲郡市 稲葉正吉 市長

皆様、ようこそ観光のまち、蒲郡にお越しいただきました。また羽生善治王位、広瀬章人八段の両先生にお越しいただきまして、市民をあげて御礼申し上げます。
蒲郡は観光のまちでございまして、年間670万人の方々にお越しいただいております。この蒲郡で両先生にはおいしいものを食べていただき、またゆっくりとお風呂に入っていただいて、明日からの対局に向け体調を整えていただきたいと思います。
今回会場をお貸しいただいてます銀波荘さんは、何度もタイトル戦を行って来られ、「将棋の館」と言われるほどの全国でも将棋ファンに名を馳せた旅館であります。明日からの対局も大きな期待が寄せられるところであります。
広瀬八段は強豪ぞろいの王位リーグを勝ち抜かれ、また挑戦者決定戦にも勝たれ、4年ぶりのタイトル獲得に向け気力も十分なのではないかと思っております。また羽生王位におかれましては、昨年16期目の王位を獲得され、今回は5連覇をと皆様も大きな期待を寄せられているのではないかと思います。明日からの対局が将棋界の歴史に残る棋譜となることを期待します。

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■乾杯

中日新聞社 臼田信行 取締役編集局長

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(書き起こし=潤、写真=文)