2014年9月

2014年9月24日 (水)

に出ていた▲石田和雄八段-△大山康晴王将戦(いずれも肩書・段位は当時)をご紹介します。

開始日時:1981/05/19
棋戦:王位戦
戦型:四間飛車
持ち時間:6時間
場所:東京「将棋会館」
先手:石田和雄
後手:大山康晴

*棋戦詳細:第22期王位戦リーグ白組4回戦
*「石田和雄八段」vs「大山康晴王将」
▲7六歩    △3四歩    ▲2六歩    △4四歩    ▲4八銀    △3二銀
▲5六歩    △4二飛    ▲6八玉    △6二玉    ▲7八玉    △7二銀
▲5八金右  △7一玉    ▲3六歩    △6四歩    ▲6八銀    △7四歩
▲5七銀左  △9四歩    ▲2五歩    △3三角    ▲3五歩    △同 歩
▲4六銀    △3六歩    ▲3五銀    △4五歩    ▲3三角成  △同 銀
▲2四歩    △同 歩    ▲同 銀    △同 銀    ▲同 飛    △2二歩
▲5五角    △3二金    ▲3四歩    △6二飛    ▲2六飛    △8二玉
▲3六飛    △5四歩    ▲8八角    △6三飛    ▲2六飛    △6五歩
▲3七桂    △4九銀    ▲5五歩    △5八銀不成▲同 金    △6六歩
▲同 飛    △同 飛    ▲同 角    △2九飛    ▲5九銀打  △1九飛成
▲4一飛    △5六香    ▲5七銀打  △同香成    ▲同 角    △5六銀
▲2一飛成  △5七銀成  ▲同 銀    △3五角    ▲6八銀引  △同角成
▲同 玉    △3五角    ▲5七香    △5六銀    ▲4八銀打  △5七銀成
▲同 銀    △5六香    ▲4六歩    △5七香成  ▲同 金    △4六歩
▲8六桂    △7三銀打  ▲3二龍    △4七歩成
まで88手で後手の勝ち

20140924aishidaooyama22_2

「△9四歩に▲2五歩△3三角▲3五歩と仕掛けました。▲9六歩とあいさつするのは普通なんだけど、相手の玉形が中途半端なのでチャンスだと思ったんですよ」(石田和九段)

▲3五歩以下、△同歩▲4六銀△3六歩▲3五銀△4五歩。山田定跡でよく見られる進行です。

20140924aishidaooyama58_2石田和八段は攻め続けます。▲3三角成△同銀▲2四歩△同歩▲同銀と銀をさばいてから、▲5五角。急所の角打ちで、一見先手好調です。

20140924aishidaooyama37_2しかし、ここから大山流の受けが出ます。△3二金▲3四歩△6二飛。

20140924aishidaooyama40_2事前に飛車をかわしたのが好手で、先手は▲3三銀と打ち込みにくくなりました。実戦は▲2六飛と態勢を立て直そうとしますが、△8二玉▲3六飛△5四歩▲8八角△6三飛となっては後手有利です。

20140924aishidaooyama46_2後手は玉を囲うことに成功し、飛車が軽くなりました。△6三飛以下、▲2六飛△6五歩▲3七桂△4九銀と大山王将が反撃し、攻め続けてそのまま押し切っています。

「△6三飛ではっきりだめになっちゃったね。こっちは角を打った甲斐がないもの。はじめは行けるかと思ったんだけど、意外と向こうが大丈夫でねぇ。はじめはやりたいようにできるんだけど、そこからフワフワかわされて負けてしまったよ」とぼやく石田和九段。33年ぶりに検討し直し、「▲3三角成で▲5五歩が有力だったか」と言われました。

20141021aishidaooyama1324前から二つ目の図面も合わせてご覧ください。実戦は▲3三角成から攻めましたが、代えて「▲5五歩が現代流」(石田和九段)。▲5五歩は角を交換せず、後手の角を負担にして指そうという狙いです。例えば、▲5五歩以下△4三銀に▲2四歩△同歩▲2六飛と浮いて、3六歩を取りにいってどうか。先手は3六歩をとれば2~3筋を制圧できます。後手は3六歩を取られる前にさばきたいところですが、あの玉形では駒がぶつけにくいです。

「▲2六飛に△5四歩と角をさばこうとするのは王手飛車(▲5三角)があるからやりにくいでしょ。そうか、▲5五歩だったなぁ。でもねぇ、攻めていけると思っちゃったの。▲5五歩ねぇ、▲5五歩。思い起こせば、当時は子供が生まれる数か月前の対局だったか。いやー、やりたかったねぇ。紅組を優勝した、二上(達也九段)先生との挑戦者決定戦」(石田和九段)

後手の玉形の悪さを、猛攻して直接とがめるのではなく、反撃できないことを見越してじっと攻撃態勢を整えてとがめる。大山王将には渋い指し回しが必要だった将棋でした。

なお、石田和雄九段は石田和雄名局集を出版されており、日本将棋連盟東葛支部・柏将棋センターの師範を務めていらっしゃいます。そちらもぜひご覧ください。

(紋蛇)

Dsc_7321 (羽生王位は別室で封じ手を記入中。木村八段はじっと待つ)

Dsc_7323

Dsc_7327 (記入し終えた羽生王位が部屋に戻る)

Dsc_7330 (木村八段が封じ手にサインしたあと、羽生王位から石田和九段に渡された)

Dsc_7332 (駒をしまう羽生王位)

Dsc_7336_2 (一礼。1日目が終了した)


(紋蛇)

6218時21分、羽生王位が63手目を封じて1日目の対局が終了しました。対局再開は25日9時の予定です。63手目に羽生王位が使った時間は45分。1日目終了時点の消費時間は▲羽生3時間46分、△木村4時間5分(持ち時間、各8時間)。

(牛蒡)

20140924ahabukimura62

17時36分、木村八段は▲1四歩に△3七銀と反撃しました。攻め駒を責める手で、木村八段らしい手です。
先手は後手の銀が負担になるように指したいところ。控室では飛車を見捨てて攻める順も視野にいれたいと話されていました。ここは先手の方針を定めたい局面なので、このまま封じ手を迎える可能性が濃厚と思われます。

(紋蛇)