2014年9月

2014年9月24日 (水)

石田和雄九段に王位戦の思い出を伺いました。

「私が王位戦で一番活躍したのは第22期です。王位は中原先生。私は挑決リーグ白組にいまして、4回戦で3連勝同士で対戦したんです。これに勝てば優勝するかもしれないと思うと、自然と気合いが入りました。ところが負けちゃうんですよね。大山先生ははじめは好きなようにやらせてくれるんですけど、のらりくらりとかわされちゃったんだよなあ。結局、大山先生が優勝して挑戦するんだけど、いまでも心残りですね。それで私が挑戦していれば、地元の中日新聞に載せてもらえたんだから。
私は愛知出身なんで、家では中日新聞をとっていたんです。王位戦が始まったのは奨励会に入る前(1960年、石田和九段が奨励会に入会したのは1962年)。第1期は大山康晴-塚田正夫戦で、わくわくしながら見ていたなあ。第3期の大山康晴-花村元司戦は、棋譜を控室に伝えるお手伝いをさせていただきました。昔はコピー機とかビデオカメラがなかったからね。第7期の大山康晴-有吉道夫戦では記録係。両方とも八事の八勝館でやったのを覚えています」

Dsc_7305 (当時の棋譜を並べる石田和九段)

(紋蛇)

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羽生王位は▲6五歩と力をためてから、▲3五歩(図)と仕掛けました。今期王位戦七番勝負第2局と同一局面です。プロでも実戦例が多く、定跡が整備されている形です。
控室では「ゆっくりしていたけど、1日目はかなり進むんじゃないか」という声が上がっています。

(紋蛇)

44△2二玉に対して▲2五桂もよくある手です(参考1図 ※本譜は▲6五歩)。

44s1その目的は自分の攻めの銀(4六にある銀)と相手の守りの銀(2四にある銀)を交換することです。▲2五桂に対して例えば△6四歩と突いて▲3五歩△同歩▲1五歩△同歩▲3五銀△同銀▲同角△3四歩▲6八角と進んだとします(参考2図)。

44s2後手の1歩得ですがプロの将棋では先手に形勢が傾いています。先手は攻めの銀をさばいて駒台に乗せることに成功しました。持ち駒はどこにでも使うことができますから商品がお金にかわったのと似ています。
「でもそれは後手も一緒じゃん」とおもったあなた。思ったあなたは鋭い。その通りなのですが、後手の玉は先手の飛車、角、桂、香そして駒台の銀と歩によって、ものすごく危険な状態になっています。たとえるなら真冬のモスクワでコートを売って現金を手にしているようなものなのです。放っておいて▲1三歩から▲1五香とされてはたちまち危篤状態です。それで▲6八角には△2四銀と一度手にした現金ですぐにコートを買いなおさなければ持ちません。攻めの銀と守りの銀を交換することは思っている以上に大きいのです。
(以上、神谷八段のTwitter解説から転載)

Dsc_7283 (羽生王位の抹茶と和菓子。和菓子は、上用まんじゅうと菊)

Dsc_7288 (木村八段はホットコーヒーのブラック、和菓子)

Dsc_7298 (対局者に提供されている水は地元のもの。丹沢の山々の地下水を汲み上げたもので、環境省の名水百選に選ばれたこともある)

(紋蛇)

Dsc_7187 (源氏館前の池。優雅にコイが泳ぐ)

Dsc_7188_2 (ムクゲ)

Dsc_7165 (フヨウ)

Dsc_7215 (ヒガンバナ)

Dsc_7212 (マンリョウの実はまだ青い)

Dsc_7199 (ススキ)

Dsc_7204 (季節は本格的に秋へ変わろうとしている。紅葉も始まりそうだ)

(紋蛇)