2010年5月

2010年5月28日 (金)

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三浦-高崎戦は、高崎五段の「ゴキゲン中飛車」に三浦八段が急戦を挑んでいる。図は3四の歩をタダ取りしたところ。駒をタダ取りできれば先手が成功しているようだが、後手も銀をぶつけて交換する「さばき」が狙いになっている。考えなければならないのは互いの陣形で、後手は堅陣と名高い「美濃囲い」に囲っているが、先手は少々心もとない陣形。したがって、盤面の右半分では先手がポイントを上げ、左半分では後手がひっそりと後半戦に向けて「貯金」をしている状態だ。先手の積極的な攻めの姿勢と、後手の狙いすましたカウンターにご注目。

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木村-大石戦は、最初に戦略的な駆け引きが行われて、ちょっと珍しい戦型になった。純正の矢倉ではないが、互いに居飛車でじっくり駒組みをする「持久戦」になりそうな気配。趣向を凝らしてきた大石四段、ここからどんな作戦を採るのか要注目だ。いっぽうの木村八段は「千駄ヶ谷の受け師」の異名を持つ受けの達人。「ギリギリ崖っぷちの局面から綱渡りのようにしのぐ」、そんな将棋を期待したい。

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橋本-戸辺戦は、戸辺六段得意の中飛車に。橋本七段は、足早に銀を出る最新の対策で迎え撃つ。先手は飛銀桂を攻撃配置につけ、守りは頼れる「美濃囲い」。後手はバランスを取った陣形で、不動の一段金が角の打ち込みを防いでいる。ここから先手がどう手を作っていくのか、後手は先手の動きにどう対応していくのか、が一つの着目点。しばらくはじりじりと間合いを測る展開が続きそうだ。

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高雄の間で行われている佐藤-松尾戦。羽生-丸山戦と同じく、横歩取りに進んだ。互いに「中住まい」と呼ばれる位置に玉を構えている。固くはないが、飛車角、大駒の打ち込みには強い陣形だ。飛角が激しく動く横歩取りにはうってつけの囲いとも言える。横歩取りは、互いに少しでも誤ればすぐに「終わり」になってしまうような怖い戦型。緊張感漂いつつも、華々しい戦いを見られることだろう。

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羽生-丸山戦。「横歩取り」と呼ばれる戦型だ。先手は一枚歩を得しているが、その代償に飛車の動きが遅れている。後手はその間にすばやく陣形をまとめ、自分から動く展開にできる。飛角桂が盤上を舞う、華麗な空中戦を堪能できることだろう。

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渡辺-広瀬戦。先手の広瀬五段が「中飛車」を採用している。5筋の位を取ってのびのびとした陣形だ。後手は密集隊形で固め、穴熊へ潜ってからのハードパンチが狙い。先手もこの後穴熊に組む順が有力。後手の渡辺竜王は穴熊を得意とする現代将棋の申し子。いっぽうの広瀬五段も「穴熊王子」と呼ばれ、穴熊の使い手として名高い。両者実力を出せる熱い戦いが期待できそうだ。

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016

王位戦挑戦者決定リーグ戦は、紅組・白組からそれぞれ一人ずつ、挑戦者決定戦を争う対局者を選出する。今期のリーグ戦は、3勝1敗が6人という混戦になっている。状況を少し整理してみよう。

まず紅組から。3勝は渡辺竜王・佐藤九段・広瀬五段の三者。決定戦進出に絡むのは、渡辺竜王-広瀬五段戦、佐藤九段-松尾七段戦の二局だ。

(1)佐藤九段が勝ちの場合……渡辺竜王-広瀬五段戦の勝者とプレーオフに
(2)佐藤九段が負けの場合……渡辺竜王-広瀬五段戦の勝者が決定戦に進出

次は白組。3勝は羽生名人・丸山九段・戸辺六段の三者。決定戦進出に絡むのは、羽生名人-丸山九段戦、橋本七段-戸辺六段戦の二局だ。

(1)戸辺六段が勝ちの場合……羽生名人-丸山九段戦の勝者とプレーオフに
(2)戸辺六段が負けの場合……羽生名人-丸山九段戦の勝者が決定戦に進出

今日の対局結果だけでは決まらない可能性も高い。

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