三浦-高崎戦は、高崎五段の「ゴキゲン中飛車」に三浦八段が急戦を挑んでいる。図は3四の歩をタダ取りしたところ。駒をタダ取りできれば先手が成功しているようだが、後手も銀をぶつけて交換する「さばき」が狙いになっている。考えなければならないのは互いの陣形で、後手は堅陣と名高い「美濃囲い」に囲っているが、先手は少々心もとない陣形。したがって、盤面の右半分では先手がポイントを上げ、左半分では後手がひっそりと後半戦に向けて「貯金」をしている状態だ。先手の積極的な攻めの姿勢と、後手の狙いすましたカウンターにご注目。
木村-大石戦は、最初に戦略的な駆け引きが行われて、ちょっと珍しい戦型になった。純正の矢倉ではないが、互いに居飛車でじっくり駒組みをする「持久戦」になりそうな気配。趣向を凝らしてきた大石四段、ここからどんな作戦を採るのか要注目だ。いっぽうの木村八段は「千駄ヶ谷の受け師」の異名を持つ受けの達人。「ギリギリ崖っぷちの局面から綱渡りのようにしのぐ」、そんな将棋を期待したい。
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