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2024年2月24日 (土)

前夜祭(5)

2118

(棋士による見どころ紹介)

2126

(立会人・糸谷哲郎八段。父親が宮島出身)

石本「糸谷八段は、宮島がほぼ地元ということで」
糸谷「父が宮島の生まれ育ちで、宮島には何度も来させていただいています。ですから来ている回数は棋士の中で一番多いと思います」
石本「ゆかりの地で開催されることについては」
糸谷「本当にうれしいですね。この宮島にたくさんの将棋好きの方が来てくださり、盛り上げることができれば故郷の人間として、それにまさる喜びはないなと思いつつ、少しどこかで『自分も対局者になりたいな』という思いで来ております」
石本「今回、おそらく県外からもたくさんの方が来ておられるかと思いますので、ぜひ、宮島のほうも堪能していただきたいですね」
糸谷「そうですね。今回の大聖院には鹿がたくさんいますし、特に初めて来た方は色々なところを巡って、美味しいものを食べて、ぜひ宮島を堪能してください」

2133

(大盤解説・黒田尭之五段。今回が初めての大盤解説出演だそうだ)

石本「黒田五段は宮島に来られるのは」
黒田「初めてだと思っていたのですが、どうも子どもの頃に一度来たことがあると両親から聞きました。記憶がないのが残念ですけど」
石本「今日は愛媛から」
黒田「はい、松山からフェリーで楽しく来ました」(注:黒田五段は愛媛県松山市在住。松山観光港から広島港経由で宮島入りできる)

2121

(大盤解説聞き手・石本さくら女流二段)

石本「今回、西山女流名人戦の1勝2敗で迎える第4局ですが、ここまでのシリーズをどのように見ていますか」
糸谷「福間女流四冠が第1局、第2局と連取したのですが、最近の西山-福間戦は、福間女流四冠が変化をつけると言いますか、自分の土俵に持ち込んでいるイメージが強いです。序盤で福間女流四冠が乱戦に誘導し、それに西山女流名人が対応している。第1局と第2局は福間女流四冠がペースをつかみ、そのまま勝ちきったのですが、第3局では西山女流名人が粘って勝利したと。ですので明日は、また福間女流四冠の工夫が見られるのではないかと思います」
石本「確かに第2局、第3局は福間女流四冠が相振り飛車模様から独特の駒組みでした」
糸谷「ほかの棋士では見られないような、非常に面白いタイトル戦になったなと思います」

石本「黒田五段はどのように見ていますか」
黒田「今、糸谷八段がおっしゃった通り、福間女流四冠が独自の路線で、特に今期は何が飛び出してくるか分からない序盤が多くて、見ていて楽しいなと思います」
石本「具体的にはどういった将棋になると思われますか」
黒田「福間女流四冠が初手に▲5六歩と突かれることが多いので、そこから相振り飛車になるのか少し変わった対抗形になるのかが、最初のポイントですね」
石本「糸谷八段は」
糸谷「どこで工夫をつけるかが一番興味の湧くところで、そこから先の未知の局面を考えるのが楽しいゲームですから。研究を教えるわけではないので、どこで未知の局面が出てくるかは分からないのですが、そこは大盤解説で黒田さんがビシッと解説してくれるでしょう」
石本「ということですが、いかがでしょう」
黒田「ちょっとハードルを上げられましたが、頑張ります」
石本「西山女流名人が福間女流四冠の駒組みを警戒して自分から変化するのか、それとも福間女流四冠が新たな工夫を見せるのか。目が離せない面白い戦いになるのかなと、私も思っております」

(撮影=翔、書き起こし=夏芽)

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