終局直後
【里見女流名人の談話】
――一局全体の感想をお願いします。
里見 早い段階で戦いになったんですけど、さばき合いになったところはまずまずかなと思っていて、それ以降も一手一手考えながら、力を出しきれたかなと思います。
――ゴキゲン中飛車ではなく急戦向かい飛車でした。途中は昨年11月の第2期ヒューリック杯女流順位戦A級▲伊藤沙恵女流三段-△里見香奈女流五冠戦でも指された局面もありましたが、念頭にあったのでしょうか。
里見 そうですね。ちょっと迷っていたんですけど、本局はこれでいこうかなと思っていました。
――△2四歩から2筋の折衝がありましたが、どのように考えていましたか。
里見 前に経験のある形だと思うんですけど、自然に対応して悪くないと思っていました。ただ、やっているときは何が飛んでくるかわからなかったので、慎重に指していました。
――昼食休憩のあたりはどう見ていましたか。
里見 自分の棋風から考えていちばん間違えない選び方をしていたんですけど、途中は難しくてもう少しいい手があったかもしれないですけど、その時々で最善は尽くせたかなと思います。
――△2五飛のところで△2六飛もあるかといわれていました。
里見 そうですね。ちょっと△2五飛のほうが控えめな手なので多少、妥協はしていたんですけど、考えた結果△2五飛のほうで戦おうかなと思いました。
――午後に桂香で攻め込む展開になりました。
里見 だいぶ斬り合う順を考えていたんですけど、あまりうまくいかないので無難に指そうと思っていました。
――△4六歩から△3五歩、△3四角の組み合わせはいかがでしょうか。
里見 一気に寄せにいく順も考えていたんですけど指し切れなかったです。曲線的にはなるんですけど、どう対応するのかわからなかったです
――勝ちを引き寄せた局面は?
里見 最後のほうですね。相手玉が見えてきたあたりなので、△6六香と走ったところです。
――五番勝負を連敗スタートから1勝あげました。
里見 第1、2局は反省の多い内容で、今日は力を出し切れてよかったなと思います。ただ苦しい状況は変わらないので、一局一局頑張りたいと思います。
――結果と内容、どちらも手ごたえを感じた
里見 第2局はよくなってからやれなかったので、そこはよかったなと思います。
――野田市は13期連続の対局です。
里見 野田対局は地元支部の方をはじめとし、長年に渡ってご尽力いただいていて、地元の温かさを感じているので、今日は一生懸命、対局に専念しようと自然と思わされるような本当にいいところだなろと思っています。
――第4局はホームの大阪です。その抱負をお願いします。
里見 目の前の対局に集中できるように、コンディションを整えたいと思います。
【伊藤沙恵女流三段の談話】
――全体を振り返って。
伊藤 何となく描いてはいたんですけど、途中で誤算があって、そこから形勢を損ねてしまったので、悔いの残る一局になってしまいました。
――前例から銀冠ではなく穴熊を選ばれましたが、序盤はどうでしたか。
伊藤 対応を多分間違えていて、そこに悔いが残りますね。(▲2三角のあたりは)もうちょっと戦えるかと思っていたんですけど、進めてみたらうまい攻めがなかったです。
――タイトル獲得まであと1勝の勝負が続きます。次局の抱負をお願いします。
伊藤 そうですね。切り替えて頑張りたいと思います。
――野田対局は3期ぶりでした。
伊藤 毎年、対局環境を整えていただいて感謝しています。こういう状況のなかでも快適に対局することができましたので、本当に感謝しているところです。
(紋蛇)