伊藤沙恵新女流名人への記者会見
感想戦終了後、伊藤沙恵新女流名人への記者会見が行われました。
―― 改めまして、初タイトル獲得の思いをうかがえますでしょうか。
伊藤 実感が湧かないですね。すごく長かったような気がします。
―― 長かったというのは歳月やそれとも何度も何度もチャレンジというところもあるかと思うのですが、そのあたりについてはいかがでしょうか。
伊藤 苦しかったんで、タイトル戦に挑戦できるっていうことはそんなに何度も経験できることではないのでうれしいんですけど、やっぱり負けたりするときついので、今回は結果を残せてよかったなあと思います。
―― 支えてくださっているお母様から戦前に、「沙恵のまだ見ぬ景色を見てみたいという強い願いがかないますようにと切望しています」とのメッセージをいただきました。そのお言葉を受けて、どのような思いでいらっしゃいますでしょうか。
伊藤 ずっと応援してくれて、サポートもしてくれて、すごく感謝しています。ようやく親孝行できたなって思いますね。
―― 第3局で、ちょっと完敗という内容だったかと思うんですが、そのあと公式戦で結果も伴わないという状況で本局を迎えられたと思うのですが、その間、心の揺れ動きなどはなかったのでしょうか。
伊藤 いや、結構ありました。3局目は見せ場も作れなくて早い段階で形勢を悪くしてしまいましたし、2月は勝っていなくて、正直、これじゃーダメだなと感じだったんですけど、でも、師匠から言葉をもらって、すごく勇気づけられたんですよね。やっぱり応援してくれている人の気持ちに応えたいなというのはずっとあったので、気持ちを切らさずに頑張りたいなと思いました。
―― その師匠の屋敷伸之九段からうかがっていまして、「大変なことが長く続いて、多かったと。ただ、それは無駄ではなかった。何故ならその経験が生きるからだ。結果というものが出ればさらなる修行というものは続けられるものだ。里見さんや西山さんはまだまだ高い壁で、逸れに迫る活躍をしてほしい。おめでとう」という言葉をいただきました。その師匠に対して、存在というか、お言葉をうかがえますでしょうか。
伊藤 (涙をながしながら)めちゃくちゃありがたいです。本当に感謝しかないですね。お会いするといつも通りなんですけど、応援してくれているのも分かりますし。お言葉もありがたいですし。お会いしてもいつも通りに接してくれるのもありがたいですし、すごく大きい存在なので。1つ結果を残せて、少しは恩返しできたのかなと思います。
(最後はマスクを外しての撮影。記者のリクエストに応え、一冠のポーズを取った)
以上で第48期五番勝負第4局の中継を終了いたします。第48期女流名人戦の中継をご観戦いただきましてありがとうございました。第49期もどうぞお楽しみに。
(潤)