インタビューを終えた両対局者は、ファンの待つ解説会場へ。佐藤七段の質問に答える形で、簡単に一局を振り返った。
里見 最初はうまくいったかなと思ったんですが、読んでるうちに大変だなと感じました。
清水 苦しいなら出ていく、五分ならじっとするところだったと思うんですけれども、力戦形なのでその辺りの判断が難しかったですね。
佐藤 ここで▲6一香成はどうでしたか。
清水 指しきれなかったですね。危なくて。
佐藤 里見さんは香を成られたらどうするつもりでしたか?
里見 (先手玉が)寄ってなかったら仕方ないと思っていました。
清水 本譜は(▲6六銀打に)△5六歩~△5七歩成が詰めろにならないのでなんだろう、と思ったんですけど、5五の銀を抜かれてしまうんですね。
(文)
終局後、両対局者にインタビューが行われた。
―― 戦型として四間飛車を使うかどうかが気になっていなんですが、中飛車を選択されました。
里見 うーん、作戦として決めていたというか、今回は中飛車でいこうと思ったので。変化したとかそういうわけではないです。
―― 第1局に敗れて決めたというよりは、最初から決めていたということでしょうか。
里見 そうですね。
―― 序盤は指しやすいのではないかという声があったんですけども。ご自分ではいかがでしたか。
里見 自分では指しやすいかなと思っていたんですけども、難しくなったのかなと。
―― 中盤から終盤にかけて、清水女流六段のほうがいいという声もあったんですが、その辺りは。
里見 ちょっと苦しくしたかなと思っていました。
―― 終盤はかなり激しくなりました。難しかったと思うのですが。
里見 最初はよかったと思うので、ゆっくりしたほうがいいのかなと思っていたのですが……。途中は悪くなる変化もあったと思います。
―― これで1勝1敗、第3局が大事な対局になってくるかと思うのですが、これに向けての抱負をお願いします。
里見 また改めて作戦を用意して、一生懸命指せたらいいなと思います。
―― 里見女流名人が中飛車を選択されたときに、1分くらい時間をとって対応されていたかと思うんですけども、この中飛車については。
清水 中飛車だな、と。タイトル戦なのでいちいち驚いていられないですね。
―― 序盤は里見女流名人がいいのではという声があったんですけれども、清水女流六段としてはどのようにとらえていましたか。
清水 乱戦の、手探りの形になったので、形勢判断が難しかったですね。
―― 途中で香を2枚並べたところでは、逆に清水女流六段がよくなったと言われていました。
清水 優勢の局面を引き寄せる手順が見つけられなかったですね。
―― これで星が並んで、大事な第3局になるかと思うんですけれども、それに向けて。
清水 どの対局も一局一局全部大事な対局なので、特にそうは思わないのですが、まだ対局が続くので、これからもしっかり指したいと思います。
(文)
い
102手まで里見女流名人が制し、女流名人位戦は1勝1敗となった。終局は16時14分、消費時間は▲清水2時間59分、△里見2時間20分。第3局は2月5日(日)岡山県真庭市「湯原国際観光ホテル 菊之湯」にて行われる。
(吟)
清水女流六段の▲6六銀打(図)の受けに対し、里見女流名人は△5六歩で勝負に出た。以下▲5五銀△5七歩成▲6一香成と進み、後手玉は受けが難しい状態に。あとは先手玉が詰むか、もしくは詰めろ逃れの詰めろをかけることができるか、という勝負だ。中継スペースでは「先手が残しているのでは」という意見、「相当際どい」という意見が飛び交っている。
(文)
後手の指し手にやや無理があるのでは? と思われていた局面から進み、里見女流名人は△5六歩(図)と突いた。次の▲6一香成にはどう応じるのだろう? 大盤解説会では、以下△6七歩に▲8五桂(参考図)と進んだ局面を変化の一例として挙げており、「こうなると後手玉に受けがない」と説明されていた。
参考図では後手玉に▲7一銀からの詰めろがかかっているが、受けても一手一手になりそうだ。しかし実戦の進行を見るに、この局面に合流してもおかしくない。ともかく形勢は先手優勢で間違いないようだ。
(文)