【伊藤王座の談話】
――戦型選択について。
伊藤 王位戦(先週8日の七番勝負第6局)に続いて、早繰り銀を指してみようかなと。そのあと△5四銀(22手目)~△7四歩は前例もある指し方だったと思いますが、あまり深く考えたことがなかったので、手探りで指していました。
序中盤の形勢判断について。
伊藤 ▲2四歩(37手目)は長考になったんですけど、△同歩にいちばん指したかったのは▲同飛でした。いずれにしても、どれがいちばん仕掛けに備えているかの判断がつかなかったです。本譜の△6五桂(40手目)も軽視していて、午後から形勢判断がよく分からないまま指していました。
――夕食休憩後の終盤について。
伊藤 耐える展開になって、少しずつ自信がなくなっていました。終盤は際どいですけど、少し足りないと思いながら指していました。
――最後、作ったような詰みがあった。
伊藤 △7七歩(102手目)に代えて△7七銀から△7八飛成をずっと読んでいて、それも手段が見えていませんでした。本譜は、たまたま詰んでいました。
――これでシリーズは1勝1敗のタイになった。
伊藤 2連敗となると、かなり苦しくなってしまうので、タイに戻せてホッとしているところです。
【広瀬九段の談話】
――作戦については。
広瀬 前例が少ない形なので、どういう将棋になるか分からないと思いながら指していました。
――中盤の辺りは攻勢を採っていた。
広瀬 △6五桂(40手目)と跳ねた以上は攻める展開にならざるを得ないところもあり、2筋、3筋で借金を抱えているので、常に自玉の反動を気にしながら。形勢は分からなかったです。
――最終盤の詰む、詰まないの辺りは。
広瀬 △7七歩(102手目)のところでは勝っているのかなと思っていましたが、こんなきれいに詰む筋があるのは気がつかなかったです。詰めろのかけ方の選択を、ひょっとしたら間違えたかもしれないと思いましたが、判断がつかなかったですね。
――次局以降の抱負について。
広瀬 自分らしい将棋は指せていると思うので、第3局まで日にちは空きますけど、また頑張りたいと思います。
(玉響)

▲伊藤匠-△広瀬戦は115手で伊藤匠王座が勝ちました。終局時刻は20時30分。消費時間は▲伊藤5時間0分、△広瀬5時間0分。急転直下の逆転劇で伊藤匠王座が制して、対戦成績を1勝1敗としました。第3局は10月2日(金)に北海道虻田郡ニセコ町「ニセコ温泉郷いこいの湯宿いろは」で行われます。
(琵琶)
控室では図の△7七歩に代えて、△7七銀▲5九玉△7八飛成で後手勝ちと見られていました。本譜は△7七歩でしたが、▲6三桂成△同金▲8二飛△6二銀▲6一銀△同玉▲7二角△5一玉▲5三香不成△同銀▲8一飛成(参考図)以下の詰みがあります。もし後手が最初に△7七銀から角を入手していれば、上記の▲8二飛に△6二角と合駒できました。すなわち参考図の5三銀が角ならば、△7一歩の受けが利いて詰まないという寸法です。ほかにも読むべき変化はありますが、実戦は後手玉に詰みが生じていると結論づけられました。
