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2025年9月 3日 (水)

記者会見(2)

Dsc_8034_243(石川 浩司・駐シンガポール日本国特命全権大使 )
「将棋は日本における長い歴史の中で発展し、受け継がれてきた伝統文化です。その将棋のタイトル戦がシンガポールで行われるのは、日本文化をシンガポールのみなさまに紹介する貴重な機会であるとともに、両国の文化交流のさらなる進化につながるものと確信しております。本年2025年はシンガポール建国60周年であり、またちょうど今週、アジア文明博物館では将棋を含むさまざまな盤上ゲームに関する特別展が開幕すると承知しております。さらに来年2026年は日本とシンガポールの外交関係樹立60周年です。今回の対局は日本とシンガポールのさらなる友好関係の発展に大いに寄与するものと確信しております。今回、藤井聡太王座と挑戦者の伊藤匠叡王による真剣勝負は、将棋に初めて触れる方々にも大きな感動を与えることでしょう。シンガポールではシャンチーという日本の将棋によく似た盤上競技が広く楽しまれていますが、この機会にぜひ将棋ならではの奥深い魅力を感じていただければと思います」

Dsc_8041_244(クレメント オン・アジア文明博物館館長)

「シンガポールと日本は、長きにわたり、相互の尊敬と共通の価値観、そして豊かな文化交流によって築かれた友情を分かち合っております。知的探究であり、生きた芸術でもある将棋は、その絆を象徴的に表すものといえます。本日の藤井聡太王座と伊藤匠叡王、二人の卓越した棋士による対局は、古来の伝統を現代に引き継ぐものであり、戦略の妙のみならず、将棋という文化がもつ奥深さを私たちに示してくれることでしょう。
アジア文明博物館では、このお祝いの場に加われることを誇りに思います。9月5日開幕の企画展『Let’s Play! Art & Design of Asian Games』では、将棋をはじめとする伝統的な遊びが、アジア諸文化の創造性や価値観、精神をいかに体現しているかを探ります。今回、実際に王座戦で使用される将棋盤と駒を展示できることは大きな名誉であり、来館されるシンガポールの方々や海外からの訪問者にとって、まさに歴史がつくられる瞬間に立ち会う稀有な機会となることでしょう。
また、32年前にシンガポールで対局された佐藤康光九段を再びお迎えできることも大きな喜びです。佐藤先生のご臨席は、将棋が知力や競技にとどまらず、世代や地域、人々の心、時空を超えて結びつける架け橋であることを示す生きた証であります。この対局と展示が、シンガポールの人々に日本文化へのさらなる関心を呼び起こし、両国の友好と協力の新たな機会を生み出すことを願ってやみません。
 『遊び』の美しさ、『伝統』の力、そして芸術と文化が生み出す永続的な絆を、共に祝い続けてまいりましょう」

Dsc_8048_245(長谷部剛・株式会社日本経済新聞社代表取締役社長)

「将棋の王座戦は1952年に、囲碁の王座戦ともに創設され、今年で第73期を迎えました。73年の歴史の中で海外対局は今回が3度目となります。1度目は2000年の第48期で舞台は中国・広州、2度目はその2年後で、両対局者がお生まれになった2002年の第50期で中国・上海で、今回のシンガポール対局は将棋王座戦としては23年ぶりの海外対局となります。
近年、日本文化には海外から熱い目が注がれています。日本経済新聞社では文化芸術分野の報道・紹介にも力を入れており、日本の伝統文化の一つ、将棋のタイトル戦を海外で行うことは日本文化の海外発信や文化交流の促進にもつながると考えております。
当社はグローバルメディアを掲げており、とりわけアジア報道に注力しています。30年前から『アジアの未来』と題したシンポジウムを毎年開いており、亡くなられたリー・クアンユー元首相は、亡くなる数年前まで欠かさず、お越しになられておられました。
文化交流という面でも、オペラを日本に呼んだり、パリのオルセー美術館の収蔵作品の展覧会を企画、開催したりしておりますが、一方で日本の文化である能の舞台をパリで公演しております。、八冠のうち七冠を持つ藤井王座と、残り一冠を持つ伊藤叡王ですから、まさに現時点での頂上対決になります。ぜひこれを機会にシンガポールでも将棋のへの関心が高まって、文化交流が進んでいければと願っております」

(紋蛇、書き起こし=武蔵)

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