桐山九段のコメント(30手目△9四歩)
立会人の桐山九段に現局面についてのコメントをいただきました。
「すぐに戦いにはならないでしょう。先手の2六銀と後手の3四銀・5四銀の3枚の駒がどう動くか注目です。先手は▲3七銀と引くか、2六銀と置いたまま指していくか。後手は△4三金右~△4二玉~△3一玉まで指せれば離れ駒もなく、がっちりした形になりますが攻める手ではないです。△4五銀右と先手にプレッシャーをかけるような手もありますね」
(翔)
立会人の桐山九段に現局面についてのコメントをいただきました。
「すぐに戦いにはならないでしょう。先手の2六銀と後手の3四銀・5四銀の3枚の駒がどう動くか注目です。先手は▲3七銀と引くか、2六銀と置いたまま指していくか。後手は△4三金右~△4二玉~△3一玉まで指せれば離れ駒もなく、がっちりした形になりますが攻める手ではないです。△4五銀右と先手にプレッシャーをかけるような手もありますね」
(翔)
【五段向け担当:北島忠雄六段】
後手の一手損角換わり対先手棒銀の戦いになりました。
昼食休憩の局面、先手は一歩を手持ちにしたことと、後手の陣形を乱したことが主張ですが、手数を多くかけて進出した銀ですから、この程度の得では、まだ元手を取り戻したとは言えません。具体的には▲3七銀~▲5六歩~▲4六銀~▲5五銀と銀を立てなおし、中央に使って行く順が一例で有力な変化です。
対する後手は、乱された陣形を、いかにまとめて行くかが力の見せ所。あと、△8一桂の活用や、先手の飛のこびんを狙う角打ち(△6五歩から△6四角)が有力な狙い筋となります。
現局面は7月9日に行われた棋聖戦、羽生ー木村と同一局面になっています。その将棋は、結果は先手を持った羽生さんが勝ちましたが、内容的には後手の木村さんが押している将棋でした。羽生さんが、どのような修正案を準備してこの対局に臨んでいるか楽しみですし、今後の解説で詳しくお伝えして行きたいと思います。
【初段向け担当:片上大輔六段】
梅田さんこんにちは。この局面のポイントはただひとつ、2六の銀をどう活用するかです。
常識的には▲3七銀と引いて2筋交換。しかし後手はそれに対して、△4五銀右~△3六歩という反撃を狙っているのです。それで、羽生王座は銀の動きを保留しているのでしょう。
この局面で後手の候補手は△4二玉(玉を囲う)、△6五歩(△6四角を見せる)、△9四歩(桂の活用を見せる)のいずれかです。羽生王座は相手の次の手によって、攻めの構想を変えていくことになりそうです。特に△4二玉の場合は、玉が近づいたということで▲1六歩~▲1五歩の攻めも有力になります。
【5級向け担当:遠山雄亮四段】
先手の羽生王座は棒銀で攻めの姿勢を見せました。後手の山崎七段としては序盤で一手損をしているので、しばらくは受けにまわる方針になるでしょう。お互いの方針がハッキリしています。
棒銀の場合、▲2六銀が5段目に出られると成功となります。例えば▲3五歩に△同歩▲同銀となれば成功といえるでしょう。以下△3四歩には▲2四歩(参考図)で、△3五歩には▲2三歩成、△同歩なら▲同銀△同銀▲同飛で攻めの銀が守りの銀と交換になって先手有利といえます。
そこで後手の山崎七段は、「△1四歩」そして「▲3五歩を取らない」事で棒銀を5段目に出させないようにしました。
この場合、先手の羽生王座としては▲3七銀と引いて立て直しを図る事になります。銀が2六の地点に取り残される事だけは避けなくてはいけません。
まだまだじっくりした戦いで、夕食休憩までは本格的な戦いにならない事が予想されます。
昼食の注文を見ても、羽生王座も山崎七段もご飯物で、じっくりした戦いを想定していそうです。これが麺類やパン系だと、昼食休憩後に激しい戦いになると考えている場合があります。
5級の方だと手の意味などが分かりにくい点もあるかもしれませんが、そうして盤上だけではなく盤外にも注目しながら観戦されると、なお一層面白さが増すと思います。
図の局面で昼食休憩に入りました。ここまでの消費時間は▲羽生1時間4分、△山崎1時間30分。
先ほど現地に梅田望夫さんが到着しました。午後からは梅田さんと自宅解説棋士のやり取りもお届けする予定です。
(翔)
24手目△5四銀の局面は、4年前の王座戦第1局と同じ局面です。
第53期王座戦五番勝負第1局(千日手指し直し局)
平成17年9月1日
▲王座 羽生 善治
△棋聖 佐藤 康光
▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △3二金
▲7八金 △8四歩 ▲2五歩 △8八角成
▲同 銀 △2二銀 ▲3八銀 △3三銀
▲6八玉 △7二銀 ▲7七銀 △6四歩
▲2七銀 △6三銀 ▲2六銀 △1四歩
▲3六歩 △5四銀 ▲3五歩 △4四歩(上図と同じ局面)
▲3四歩 △同 銀 ▲7九玉 △4一玉
▲1六歩 △9四歩 ▲3七銀 △3三金
▲9六歩 △3二玉 ▲5八金 △5二金
▲4六歩 △3五歩 ▲3六歩 △同 歩
▲同 銀 △3五歩 ▲4七銀 △4二金
▲6六歩 △7四歩 ▲6七金右△2二玉
▲8八玉 △3二金寄▲5六歩 △4五歩
▲同 歩 △同 銀右▲4六歩 △5四銀
▲4一角 △7五歩 ▲7四角成△7六歩
▲同 銀 △6五歩 ▲7五馬 △6六歩
▲同 馬 △7二飛 ▲7四歩 △4四角
▲同 馬 △同 金 ▲2四歩 △同 歩
▲7七角 △3三金 ▲6八飛 △6二飛
▲6六角 △4三金引▲7七金寄△6五歩
▲8四角 △6一飛 ▲7三歩成△9三角
▲同 角成△同 桂 ▲8三角 △7一飛
▲7四角成△5七角 ▲3八飛 △7五歩
▲6七銀 △4五歩 ▲6四歩 △4六歩
▲5八銀右△4七歩成▲同 銀 △3六歩
▲6三歩成△3七歩成▲同 桂 △3六歩
▲同 銀 △4六角成▲3五歩 △2三銀
▲4四歩 △同 金直▲7二と直△3一飛
▲5三と △3六馬 ▲4二と △3二飛
▲同 と △同 銀 ▲7五馬 △4六歩
▲4八歩 △4七歩成▲同 歩 △2七馬
▲3九飛 △3八歩 ▲2九飛 △3七馬
▲8一飛 △4一歩 ▲6四歩 △2七桂
▲7九飛 △1九桂成▲9一飛成△6三銀
▲4六香 △7四香 ▲9三馬 △7七香成
▲同 桂 △6四銀 ▲4四香 △同 金
▲4六香 △3五金 ▲6一竜 △7五銀打
▲7六歩 △6六香 ▲7五歩 △6七香成
▲同 金 △6六歩 ▲同 金 △4七馬
▲4九香 △5七馬 ▲6四竜 △7九馬
▲同 玉 △5九飛 ▲6九歩 △4九飛成
▲2四竜
まで、165手で羽生 善治王座の勝ち。
(消費時間=▲4時間58分、△4時間59分)
(翔)