2023年1月

2023年1月27日 (金)

検分のあとは、色紙の揮毫と主催紙による個別のインタビューが行われました。

羽生九段
(インタビューを受ける羽生九段)

藤井王将
(別室では藤井王将が色紙に揮毫していた)

飛翔

羽生九段
(続いて羽生九段)

落款
(力強く落款を押す)

色紙
(完成。羽生九段は「玲瓏」、藤井王将は「飛翔」と記した)

関係者一行が金沢東急ホテルに到着し、16時ごろから対局室の検分が行われました。

検分

島朗九段
(立会人の島朗九段から用意の駒が渡される)

藤井聡太王将
(藤井聡太王将)

羽生善治九段
(羽生善治九段)

駒
(駒はダイトクコーポレーション・小畠寛祐社長が所有する品)

藤井王将

羽生九段

検分
(特に問題点は指摘されず、検分は数分で終了した)

藤井聡太王将に羽生善治九段が挑戦中の第72期ALSOK杯王将戦七番勝負は、第1局を藤井王将が、第2局を羽生九段が勝ち、両者1勝1敗で並びました。先に2勝目を挙げるのはどちらでしょうか。

第3局は1月27、28日(土、日)に石川県金沢市「金沢東急ホテル」で行われます。立会人は島朗九段、副立会人は高見泰地七段、記録係は福田晴紀三段(中川大輔八段門下)です。

対局は9時に始まり、持ち時間は各8時間。先手は藤井王将。昼食休憩は12時30分から13時30分まで。1日目の18時を過ぎた時点で手番の棋士が「封じ手」を行い、翌日の9時に指し継がれます。

金沢東急ホテル
(対局場の金沢東急ホテル)

【主催】毎日新聞社スポーツニッポン新聞社
【特別協賛】綜合警備保障株式会社(ALSOK)
【協賛】囲碁・将棋チャンネル株式会社立飛ホールディングスinゼリー(森永製菓株式会社)
【特別協力】株式会社ダイトクコーポレーション
【協力】金沢香林坊ロータリークラブ
【後援】金沢市北國新聞社

インターネット中継は、棋譜コメントを紋蛇、ブログを夏芽が担当いたします。よろしくお願いします。

2023年1月22日 (日)

Fin01(勝った羽生九段は1勝1敗と追いついた)

Fin03 (敗れた藤井王将)

Fin05(終局直後、インタビューが行われた)

―先手番で相掛かり。序盤から中盤にかけての手応えは?

羽生 途中までは前例がある形で進んでいたのですが、△3三銀(36手目)くらいから間口が狭くなって、こちらがどう手を作っていくところかと思っていました。

―▲8二金(59手目)のあたりは?

羽生 ゆっくりしていると攻めが切れてしまうので、筋が悪い手なのですが、しょうがないかなあと思って指していました。

―▲8二金はどこから見通していたのか?

羽生 2一に飛車を打ったとき(51手目▲2一飛)に▲8二金くらいまでは進むかなあと思っていました。

―2日目に入ってからの感触は?

羽生 攻めが細い形なので、あまり自信はなかったのですが、ほかの手も分からなかったので、本譜を選びました。

―△7七銀(74手目)と攻めてこられたあとの対応は?

羽生 ちょっと受け間違えるとすぐ負けそうな局面なので、かなり慎重に考えていました。どの変化もギリギリだったと思いましたね。

―対して▲7七同金は1時間以上の長考でベストとの結論か?

羽生 そのあとどうするのがよいかはよく分からなかったのですが、▲7七同金はしょうがないかなあと。

―▲4六歩(79手目)も長考だった。

羽生 代えて銀を使えば長い将棋になるかもしれませんが、ちょっと分が悪そうなので、歩を突いて勝負したという感じでした。

―勝ちが見えたのは?

羽生 最後も怖かったので、何かあったら「もう、しょうがない」と思っていたのですが、詰まなくてよかったなという感じです。

Habu09(インタビューに答える羽生九段)

―対藤井戦2勝目を挙げた(通算対戦成績2勝8敗になった)ことについて。

羽生 1つ好結果が出てよかったなというところですかね。内容的にも、ずっと将棋になっていなかったので、ちょっとホッとしています。

―1勝1敗になり、第3局に向けて。

羽生 いい将棋が指せるよう、自分なりにしっかり調整して臨みたいと思います。

Fujii09(続いて藤井王将にインタビュー)

―後手番の本局、相掛かりは予想していたか?

藤井 予想していたというわけではないのですが、序盤が途中まで前例がある形だったので、それに沿って指していました。

―1日目から激しくなった。▲8二金(59手目)への対応は?

藤井 その前に▲1三歩(43手目)と垂らされたときに角をどこに打つか迷ったのですが、本譜は▲8二金まで進んでみると、思った以上に嫌な形なのかなという印象を持っていました。

―2日目午前、△7七銀(74手目)からは攻め合うしかない?

藤井 本譜、▲5七銀打(77手目)と受けられてからはハッキリしてしまったかと思うので、その前に何かあったかだと思います。

―2日目は厳しい戦いが続いていたのか?

藤井 そうですね。考えてもなかなか思わしい変化が見つかりませんでした。

―78手目は△9八飛でなく7八に飛車を打った狙いは?

藤井 本譜のように追ったとき、5筋から6筋に逃げ込まれる手を防いではいるのですが、4筋のほうに逃げ込まれて詰まないので、この局面自体はすでに本譜でダメかなあと思っていました。

―第3局への意気込みを。

藤井 すぐ来週にあるので、しっかり調整して何とかいい状態で臨めるようにしたいと思います。

Ousho202301210101101第72期ALSOK杯王将戦七番勝負第2局、▲羽生-△藤井聡戦は101手で羽生九段が勝ちました。終局時刻は17時56分。消費時間は、▲羽生6時間58分、△藤井7時間51分。この結果、羽生九段が1勝を返してどちらも1勝1敗となりました。
第3局は1月28、29日(土、日)石川県金沢市「金沢東急ホテル」で行われます。

Ousho202301210101_78後手は飛車を9八からと離して打つと見られていたところ、藤井王将は7八と近づけて打ちました。▲6九銀が飛車に当たるのはワナで、△6六金で後手勝ちとなります。羽生九段は▲4六歩と受けました。玉を4七に上がってしまえば馬取りになり、角を持てば▲5一角が厳しいという理屈です。当初は△4六同角(下図)に▲6九香で先手有望と見られていました。

Ousho202301210101_80しかし、検討が進むと△6八馬▲同香△5七角成▲同玉△4六銀▲同玉△4四香(変化3図)の順が発見され、先手玉が詰むや詰まざるやの際どい変化となっています。

_88飛車を7八から打ったことで、変化3図で▲5五玉なら△4六銀▲6六玉△7五金▲同歩△同飛成までの詰みがあります。

Fujii04

Habu04 (難解な変化を乗り切るのはどちらか)

山水館では、終局後の恒例として両対局者の顔を模したケーキが振舞われます。食べるときにナイフを入れることに抵抗の声も聞かれ、まさに芸術といえるでしょう。1日目午前、羽生九段が頼んだ雪うさぎも似顔絵ケーキのパティシエ謹製です。

Cake01 (前期は当時の渡辺明王将と藤井竜王、それぞれの好みを採り入れて)

Cake02 (第69期の当時、▲広瀬章人八段-△渡辺明王将戦は両者ノリノリ)

Cake03 (中でもひときわインパクトのある写真)

Cake04 (山水館初回対局となった第68期は現物を撮影)

Cake05 (当時は渡辺明棋王として挑戦者だった)

Cake06 (当時の久保利明王将もよく似ている)