――1勝3敗の土俵際から防衛。いままでの防衛と比較してどういった心境か。
藤井 1勝3敗でシリーズとして厳しい状況になってしまい、少しでも長く七番勝負を続けられればという気持ちでやっていました。結果として防衛できたということは非常にうれしく思いますし、また幸運でもあったかなと感じています。
――第7局はどのあたりまでが想定か。
藤井 40手目△7五歩と仕掛けられる手をいままで考えたことがなかったので、そのあたりから一手一手が難しいと思っていました。桂得ですが壁銀で馬を作られるので、判断が難しかったです。ただ57手目▲3五歩と突いた手に期待をして、際どいですけどこちらも楽しみのある局面なのかなと考えていました。
――第5局から3連勝、内容も含めて第4局までと異なるものを表現された。その間に何か変化はあったか。
藤井 第4局まで結果も、内容的にもかなり押されていて、第5局も中盤でミスが出て苦しい形勢でした。結果としてそれを勝てたのが大きかったと、改めて振り返っても感じます。第6局、第7局と内容的にも上向きにできたのかなと感じています。
――対局1日目の朝にinゼリーが右側にあると気づかれた。違和感があったのか。
藤井 第5局からそういう形にとしていたので、今回も同様にということで。深い理由があるというわけではないですが、カメラに映るような位置にとお伝えはしました。
――年末の会見で、今年の目標「歴史に残るような対局、棋譜を残す」と仰った。本シリーズはどうか。
藤井 このシリーズを振り返ると、結果は幸いしましたけど、内容は永瀬九段にうまく指されて、チャンスを作れない将棋もありましたし、そういう課題も多く残ったのかなと思っています。シリーズを長く続けられればという気持ちで指していて、実際にフルセットに持ち込めて自分としてはよかったかなと感じています。
――第5局から流れが変わった。その対局はどのような気持ちで臨んだか。具体的にどのようなところが大きかったか。
藤井 その前に棋王戦五番勝負第3局と叡王戦トーナメントでいずれも敗れてしまったので、あまり自信の持てる状況ではないかなと思っていました。苦しさを感じる局面もありましたが、終盤は際どいですけどしのげている展開にできました。内容的には反省点も多い将棋でしたが、そこで1勝を返せたことで気持ちとしては上向きになり、第6局と第7局によい状態で臨めたかなと思います。
――普段スコアは気にしないと仰る。今回ほどの大逆転、メンタルはどうだったか。
藤井 第5局の前の時点では、客観的に見ても厳しい状況かなとは正直感じていました。振り返ってみると、やはり後手番の第5局を勝てたことが大きかったと思います。
――将棋に詳しくない方でもワクワクするような結果。
藤井 客観的に厳しい状況だったのは確かです。防衛を目指すというよりは目の前の一局を頑張る、シリーズを長く続けたい、という気持ちでした。途中は防衛が厳しいと感じるところもあったので、いまの実感としては「不思議な気持ち」がいちばん近いと思います。
※インタビュー書き起こし:虹/写真撮影:夏芽
以上でALSOK杯第75期王将戦七番勝負の中継を終了いたします。すでに第76期の予選は始まっており、誰が挑戦者になるのでしょうか。本日はご観戦ありがとうございました。





