お~いお茶杯第62期王位挑戦者決定戦 
2021年5月24日 (月)
両者の将棋グッズ
両対局者の扇子や書籍など、多くのグッズが販売されています。関西将棋会館1階の販売課や東京・将棋会館、日本将棋連盟オンラインショップなどでお求めいただけます。
(羽生九段の扇子。左は永世七冠王の記念扇子)
(羽生九段は今年の5月に、久々の定跡書を執筆した)
『現代調の将棋の研究』(浅川書房)
羽生九段の猛攻
後手の堅陣を崩せるか
王位戦での対戦
両者が王位戦で相まみえたのは1局のみで、第59期の挑戦者決定戦以来となります。その一戦は角換わりに進みました。豊島八段の仕掛けに対して、羽生竜王も手抜いて戦いを起こします。
上図は最終盤の局面です。ここで羽生竜王が▲5四飛寄と歩を取ったのが敗着。代えて▲6六角がまさりました。以下、△3三桂▲7一飛上成△6一歩▲6二竜△同歩▲3四桂という順があり、以下△1三玉なら▲1一飛成△1二金▲同竜△同玉▲1一金(変化図)で、後手玉に即詰みの変化があり、先手が指しやすかったようです。
▲5四飛寄以降は形勢が後手に振れ、そのまま豊島八段が勝ちを収め、菅井竜也王位への挑戦権を獲得しました(文章中の肩書・段位は当時のもの)。
【当時の中継ブログ】
(この結果、豊島八段は挑戦権を獲得し、そのままタイトルを奪った。撮影=八雲記者)

上図は17時40分の局面です。この局面での残り時間は▲羽生57分、△豊島58分。後手が先手の飛車を捕獲し、▲桂香△飛車の2枚換えとなりました。先手は金銀を玉に近づけ、堅さを維持しつつ、桂を打って反撃します。対して後手は飛車成りが約束されており、上部脱出も視野に入ります。先手が攻め続けられるかどうかが、明暗を分けるポイントとなりそうです。

桂の交換後、端から1歩を入手して▲3四歩と打った局面です。代えて単に▲2六同飛と銀を取るのは、△3四桂の飛車銀両取りが嫌みでした。また、△3四同金左(直)と取らせて、▲2六飛と取ったあとの▲3五銀の当たりを強くする効果もあります。先手が細い攻めをつないで、局面をリードできるでしょうか。


羽生九段が3手連続で歩を突き出したのに対して、豊島竜王も反撃を見せます。上図は▲3五歩を手抜いて△8五歩と銀取りに突いて、銀の対応を問いました。
端攻めに備えて先手は▲9七銀と引きました。銀の働きに制限をかけた後手は、逆サイドからの攻めを考えたい局面です。