第61期王位挑戦者決定戦 Feed

2020年6月23日 (火)

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控室では△5四桂(74手目)に対するうまい対応を探していました。平凡に飛車を追うなら▲7六歩ですが、△8五飛▲8六歩△4六桂▲8五歩△7七歩(参考図)で7筋の空間に歩を打たれます。

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参考図で▲7七同金は、△7九角▲5九玉△3八桂成▲同金△3五角成と銀を抜いて技が決まります。

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本譜は▲6七桂(75手目)が妙手。以下△4六桂▲7五桂と取り合いになれば、△7七歩が生じない仕組みです。永瀬二冠は△4五飛と逃げましたが、藤井七段は▲3七桂△4六飛▲同歩△6六桂▲2九飛(81手目)と桂を跳ねて催促し、飛車を下段に引く余地を作りました。

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不安定な先手玉ですが、飛車が受けに働いてなかなか耐久力があります。藤井七段はこの複雑な組み立てを時間切迫の中で読んでいました。

藤井七段の残り時間が10分を切り、指し手のペースが上がってきました。控室には竜王戦の観戦記を担当する高野秀行六段も訪れて検討に加わっています。永瀬二冠の攻めに藤井七段側はどう対応するか、継ぎ盤で活発に駒が動かされています。

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永瀬二冠が端を絡めて攻める中、藤井七段は▲4八金(図)と離れている金をじっと寄せました。戦場になっている左辺を放置するので大胆な一着です。控室の検討陣も驚いています。藤井七段の残り時間は10分になりました。

対局を終えた室谷由紀女流三段が控室に訪れました。鈴木九段、観戦記者の内田さんと継ぎ盤を囲みます。室谷女流三段は第31期女流王位戦挑戦者決定リーグで挑戦を目指して戦いました。本局は永瀬二冠が歩の手筋で攻め、藤井七段が受けに回る展開になっています。本格的な戦いに入り、検討が活発に行われています。

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じりじりとしたにらみ合いが続いていましたが、永瀬二冠が△3八歩(図)と手裏剣を放ちました。放っておけばと金ができ、取れば守りの金が玉から離れます。技をかける準備でしょうか。いよいよ戦いに入るかもしれません。

控室に日本将棋連盟常務理事の鈴木大介九段が訪れました。継ぎ盤の前に座り、「昭和の人間ならこっち(永瀬二冠)を持ちたいですよね」と話しています。なお、永瀬二冠と藤井七段は平成生まれ。どのように局面を見ているのでしょうか。

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