第57期王位戦七番勝負第4局
前夜祭(3)
(対局者と対局関係者の紹介が行われ、そのあとに日本将棋連盟常務理事・片上大輔六段が挨拶)
「本日、私は広島から移動してまいりました。第15期村山聖杯将棋怪童戦という将棋大会が行われたのですが、過去最多の参加人数でした。近年、将棋をメディアに取り上げていただき、普及が進んでいる証かと思っております。福岡県からも多くのご参加をいただき、皆さん非常に強くて活躍されました。
今年1月、福岡県に研修会ができました。飯塚市さんはもとより、各地でタイトル戦が数多く行われています。全国には「将棋の街」といわれる街がいくつかありますが、福岡県もそういってよいのではないかと思うほど、将棋が盛んになっております。
人と人が力を振り絞って戦うのが将棋の対局です。特に王位戦は夏の暑い時期に全国を転戦いたしますので、気力や体力も重要になると感じております。対局者が死力を尽くして戦う姿をファンの皆さまに見ていただいて、西日本新聞さまにも多く取り上げていただいて、それが熊本県の地震の復興に少しでも力になれば、またプロを目指す少年少女の目標や参考になればと願っておりますし、また、きっとそうなるとお約束いたします」
(写真=紋蛇、書き起こし=牛蒡)
前夜祭(2)
(開会の言葉 田中秀哲・飯塚市副市長)
「羽生王位、木村八段、ようこそ飯塚市においでくださいました。明日から2日間、当地飯塚でアツい戦いが展開されることを期待しております」
(前夜祭主催者挨拶 齊藤守史・飯塚市長)
「飯塚市の合併10周年にあわせて、王位戦を開催していただきましたことを感謝いたしますとともに、本当にうれしく思っております。飯塚市では平成19年(2007年)から10年連続で女流王位戦を、当地の観光名所「旧伊藤伝右衛門邸」で開催していただいております。今年は合併10周年を記念いたしまして、伝統のある王位戦を開催させていただくことになりました。これも関係者の皆さまの尽力のたまものであると、厚く御礼を申し上げます。
飯塚市は、古くは長崎街道の宿場町、近代は石炭産業で栄えた街でございます。これらの歴史遺産を生かした観光事業に力を入れ、多くの人たちに訪れていただこうと取り組みを進めています。明日の対局場「麻生大浦荘」もまた観光名所のひとつとして、秋の紅葉や春の雛祭りの時期にあわせまして、特別公開されております。多くの観光客の皆さまにご支持をいただいている場所でもあります。大正末期に贅を尽くして建てられた建物です。最高の対局場であると自負をしております。
さて、王位戦は七大タイトルのひとつであります。多くの名勝負が繰り広げられてきました。今年は羽生王位が18期目の王位獲得を、木村八段は3度目の挑戦で初タイトルを目指しています。第4局は羽生王位が3連勝を決めるか、木村八段が五分に戻すかという大事な一戦です。一進一退の白熱した攻防が繰り広げられると期待しております。飯塚市といたしましても、両者が集中して対局に臨んでいただけるよう、最大の努力をしてまいります。王位戦の飯塚開催を契機といたしまして、当市の観光誘致に弾みがつきますことを期待するとともに、両者の健闘を願っております」
「王位戦は1960年、昭和35年に始まりました。弊社、北海道新聞、東京中日新聞、この三社連合が中心となって現在に至ります。飯塚開催は初めてということで、王位戦を通じて飯塚市の魅力を全国に発信していただけたらと切に願います。
さて、新聞社と将棋界は昔から関係が深うございます。七大タイトルのすべてを新聞社、もしくは通信社が主催しております。将棋ファンが新聞の読者だからというだけでなく、新聞社として日本の伝統文化「将棋」をいかに守っていくか、そこに尽力したいという思いがあります。
いまは将棋も新聞も転機に立っております。インターネットの普及により、紙の新聞は苦戦しています。将棋界におかれましても、人工知能と人のどちらが強いかということが世間の関心を集めています。新しい波の中で、将棋も新聞もどう立ち向かい、どう進化していくかが問われています。ただ、将棋も新聞も人工知能も、すべて我々人間が作りだしたものです。どんなに科学が進歩しても、日本の伝統文化、知的財産は失われるものではないと思っています。そういう意味でも、新聞社はこれからも将棋を全力で応援していきたいと思います」
(ご協賛社挨拶 唐池恒二・九州旅客鉄道株式会社代表取締役会長)
「飯塚市の合併10周年、まことにおめでとうございます。王位戦第4局が明日開催されます。一将棋ファンとして胸が高鳴っております。羽生王位、木村八段、立会の森下九段、副立会の豊川七段、大盤解説聞き手の香川女流三段、将棋界のスターがここに集まりました。私もワクワクしております。
羽生王位の2勝1敗で第4局を迎えました。羽生王位はオールランドプレーヤーでありまして、将棋の格調や品位、あるいは将棋そのものレベルをここまで上げてきた最大の功労者であります。木村八段は「受けの木村」といわれておりまして、受けの強い、しぶとい棋士であります。明日は木村八段の顔面受けが見られるかどうか、また、羽生王位がそれを打ち破れるかどうか、大変楽しみな一戦です。猛暑が続きますが、体調を崩されないように気をつけていただいて、歴史に残る対局をしていただければと思います」
「夏の甲子園が終わり、リオオリンピックも間もなく閉幕。明日からは王位戦が始まります。王位戦が地元で開催されるのは本当にうれしいことです。飯塚市の名前が全国に広まればと思います。
10年以上前、文部科学省の副大臣をしておりましたときに、東京・将棋会館にご挨拶に行ったことがあります。そのときに「実力は初段なのですが、地元では名誉五段でやっております」と調子に乗りましたら、ひと月ほどして立派な五段免状をいただきました。人前では指せないなと思った次第であります。
羽生王位と木村八段の対局を目の当たりにできる。こんなにうれしいことはありません。明日、明後日は素晴らしい対局になりますよう、心からお祈りしております」
(写真=紋蛇、書き起こし=牛蒡)